飯島望未の挑戦ダンス公演「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」 | Numero TOKYO - Part 2
Culture / Post

飯島望未の挑戦
ダンス公演「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」

夢を追い求める女性をサポートする「コアントロー・クリエイティブ・クルー」に日本人として参加するバレエダンサーの飯島望未が、マルチメディア・パフォーマンスに挑戦。イギリスの振付家ダレン・ジョンストンが手掛ける「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」の高知公演に密着した。

高知公演の本番では、プロジェクションマッピングやモーションキャプチャなどを舞台やダンサーの身体に映し出すことで、さまざまなシーンや感情を表現。公演には3人のバレエダンサーと8人のコンテンポラリーダンサーが出演し、「誕生」「創造」「再生」など、輪廻転生の思想をなぞるかのようにストーリーが展開されていく。中でも、飯島さんが演じるのはアンドロイドのような、メカニックなキャラクター。マユ玉のような透明な球体に入り、スモークの中から登場するシーンは、コンセプトのひとつであるリバース(再生・輪廻)を連想させる。

3人のバレエダンサーとして出演した、酒井はなさん(左)と飯島望未さん、安岡由美香さん(右)。酒井さんは、夫でありコンテンポラリーダンサーの島地保武さんとユニット「アルトノイ」として活躍。飯島さんは、ヒューストンバレエ団時代に、振付家ウィリアム・フォーサイスの作品でメインパートを担当。さらに安岡さんもコンテンポラリーのダンスカンパニー「Lasta」に所属するなど、3人ともバレエに留まらない幅広い表現力が魅力。リハーサルでも仲が良く、酒井さんが3人のリーダー役としてレッスンを進行。

この公演を最後に、飯島さんは8月からスイスのチューリッヒバレエ団に所属。すでに現地での新生活がスタートし、新たなカンパニーでの舞台練習に励んでいる。約1年間という短い日本滞在中は、表現者としてだけでなく、感度の高い私服やライフスタイルも話題になり、従来のバレエダンサーのイメージを良い意味で覆してきた。海外でパワフルに挑戦し、道を切り開いていく、彼女の今後にさらに注目していきたい。    

ZERO POINT/ゼロ・ポイント
振付・演出/ダレン・ジョンストン
作曲/ティム・ヘッカー
出演/酒井はな、島地保武、近藤美緒、浅井信好
飯島望未、大手可奈、辻田暁、中間アヤカ、
水野多麻紀、鈴木奈菜、安岡由美香 
インタラクティブ照明/マーカス・ドーリング(PMD-ART)
プロジェクションマッピング/ゲール・アベッグゴーティ
照明/イーシュン・リー
舞台監督/尾崎聡
クリエイティブ・プロデューサー/ブリン・オームロッド
プロジェクト・マネージャー/ファニー・デローフ
広報/マイルズ・エヴァンズ
制作協力/スタジオ アーキタンツ
主催/高知県立美術館
HP/http://kochi-bunkazaidan.or.jp

Ms.COINTREAU

Photos:Satomi Yamauchi
Text:Anri Murakami
Edit:Yukiko Shinmura

Profile

飯島望未(Nozomi Iijima)バレエダンサー。大阪出身。6歳からバレエを始める。13歳で『ユース・アメリカ・グランプリ』3位に入賞し、奨学金を獲得。07年15歳で単身渡米する。ヒューストン・バレエ団の研修生になり、翌年同バレエ団とプロ契約を結ぶ。13年米ダンスマガジンにおいて「25人のいま観るべきダンサー」に選出。14年ソリストに昇格し、『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などのクラシックバレエの作品だけでなく、ウィリアム・フォーサイス振り付けの『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレベイテッド』などのコンテンポラリー作品でも高い評価を得る。15年同バレエ団を退団。帰国後は、日本を中心に精力的に活躍。16年8月よりスイスのチューリッヒ・バレエ団に所属。

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