注目のシンガーゆう姫(Young Juvenile Youth)
独自に切り開いた音楽の道
電子音楽家のJEMAPURと共に、エレクトロニック・ミュージック・ユニット「Young Juvenile Youth (YJY)」として活動するシンガーのゆう姫(Yuki)にインタビュー。
──TAICOCLUB、朝霧JAM、EMAF TOKYOといったフェスへの参加や、METAFIVEのオープニングアクトを務めたり、渋谷パルコの「シブカル音楽祭。」、表参道「IDOL」などイベントに出演したりと、ジャンルを問わず様々な場所でのパフォーマンスに挑戦している印象があります。ゆう姫さんにとってライブとは?
「ライブって一種のアートだと考えているんです。直接自分たちの音楽を披露する空間って特別でしょう。お休みの日とか、よくギャラリーに写真や美術を見に行くのですが、いつも、なんていうか…アートに問いかけられている感覚がある。見ている側だけれど、声をかけられている感じがしてドキドキしてしまうんです(笑)。受け身の単純な感覚じゃダメなんだ、もっとそこから自発的に何かを感じ取らなければ!って思考を巡らせる。ライブもそういう場所であってほしい。音楽で問いかけることで、聴いている人の思考をアクティブにさせたい。だから、どういう感覚で聴いてくれているんだろう?って常に皆(観客)の顔を見て考えながらパフォーマンスをしています。ライブってそれこそ『DNAの交換』ができる場所。一瞬で大勢の人と繋がることができるってすごいことですよね」
幼い頃に褒められた歌が、音楽の原体験
──どんな幼少期を過ごしたのでしょうか。
「皆と同じことをしたくない子どもでしたね。『せーの』で揃って全員でやることとかに興味が持てなかったんです。それって、目立つところがないじゃないですか。常に目立ちたがり屋でしたから(笑)。特に音楽の勉強は全然好きじゃなくて、合唱コンクールでも大勢に埋もれたくないという理由から3年連続指揮者をやりました。とにかく人と違うことばかりする子どもだったんです」
──YJYのイメージイラストやジャケットデザインを手がけていたり、絵のセンスにも注目している人が多くいます。美術の道は考えなかった?
「どうだろう、子どもの頃から絵は上手かったです(笑)。同じく歌がうまいねって、家族や周りの人に褒めてもらった記憶が強く残っているから。『ゆう姫、歌って』って言ってもらえることの喜びは昔から味わっていて、ひな祭りの歌を家族みんなの前で歌ったり。『私にはこれができるんだ』って思うようになっていった。歌える人なりたいって気持ちが少しずつ芽生えていったのはそういう体験からじゃないですかね。でも、歌手になりたいなんて、最初は家族にも友達にも、誰にも言い出せなかったんですよ。家族が家族だし、なんだろう、家族と比べちゃうと私なんて…っていう思いがあったのかも。でも楽しいからって続けていたら、そのうちに一人では抱えきれなくなっていって、そこから音楽の世界が広がっていったんです」
──高校時代は3年間カナダに留学されていて、その頃から友人と作詞や音楽活動をされていたとか。その後もアメリカでの生活が2年。海外生活はどうでしたか?
「音楽に関して言うと、カナダで過ごした時期に開けた感じはあります。単独行動をしなくなった(笑)。ピアノやギターができる子がクラスにいて、自分から積極的に友達を誘うことができたんです。自分が書いた曲を持っていって『私が歌うから、こういう感じで弾いて』とか、そういうことを自然にしていた。楽器は弾けないけれど、色んな人を巻き込みながら音楽活動をしていました」
──ファッションやヘアスタイルなどもゆう姫さんという個性を表す大切な要素かと思いますが、ゆう姫さんらしいファッションとは?
「もともとメンズファッションに興味があったんです。メンズの正装っていいな…って。憧れというか、どこか惹かれている自分がいたんです。カッコ良くて奥が深いけれどシンプルで、正装だけで毎日が成り立つっていいなって。それを女性のファッションに置き換えたときに私にはどんな服がふさわしいのかな?ってところから、自分のファッションを考えるようになりましたね。実は今日の私服もメンズのブランド。髪型もシンプルだけれど、どこかに自分だけにしかないエッセンスを加えたいと思っていたところから今のスタイルに行き着いたというか。でもそれもまた変わっていくかもしれないですね」
Photos:Akihito Igarashi(TRON)
Styling:Motoko Hayashi
Hair & Make:Tomomi Fukuchi
Interview&Text:Etsuko Soeda
Edit:Yukiko Shinmura