注目のシンガーゆう姫(Young Juvenile Youth)
独自に切り開いた音楽の道
電子音楽家のJEMAPURと共に、エレクトロニック・ミュージック・ユニット「Young Juvenile Youth (YJY)」として活動するシンガーのゆう姫(Yuki)にインタビュー。
Young Juvenile Youth (YJY)は、シンガーのゆう姫(Yuki)と電子音楽家JEMAPURによるエレクトロニック・ミュージック・ユニット。2015年iTunesが選ぶ「NEW ARTIST スポットライト」に名を連ねるなど、デビュー4年目にして着実に存在感を増している。松田優作と美由紀夫妻の娘という俳優一家に生まれ育ちながらも、そのバックグラウンドに驕れることなく、そして誰の力を借りるわけでもなく音楽の道をひたすら突き進む。彼女のその強い意志と原動力に迫った。
Young Juvenile Youthの誕生
──電子音楽家であるJEMAPURさんが紡ぎ出すトラックに、ゆう姫さんの繊細なヴォイスを乗せていくという、Young Juvenile Youth(以下YJY)独自のスタイルはどのように確立していったのでしょうか。
「バンド時代はギターで作曲してたのですが、もともと電子音やトイサウンドには興味がありました。YouTubeで見つけたJEMAPURの曲に興奮して、会いに行って、初めて一緒に曲を作ったときに、もっともっと作りたいって思ったんですよね。直感で、私がやりたいのはこれだったんだって。まだこの世にない、今まで聴いたことのない曲ができたという実感があったんです」
──2012年のデビュー以来、YJYの活動内容を客観的に見てどう感じていますか? これまでの世間の反応に対して感じている手応えは?
「自分としてはまだまだ。もっと多くの人を魅了していきたい。そのためにはまずは積み重ねていく時間が必要かな。もっともっと曲を作りたいし、聴いてくれる人を増やしていきたい。ただ『Animation』という曲のリリースは、そのひとつのきっかけになったとは思います」
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『Animation』
2015年6月にリリースされたミニ・アルバム。iTunes エレクトロニック・チャートにおいて最高7週1位を獲得。iTunesが世界中のニューカマーから厳選する「NEW ARTIST スポットライト」の第1弾アーティストに選出されるきかっけとなった。
──曲はどうやって生み出すのでしょうか。インスピレーション源となるものは?
「自分の中から湧き出てくるもの。きっと、そのソースは日常生活にあって、例えば電車に乗っているときに耳に入ってきた音とか。どんどん溜まっていったものをピックアップして自分のフィルターに通して、再生して、別の形にしていく。だから結局は全部自分なんですが、でも最近、人と人との交差で生まれるものがあるなってことに気づきはじめたところです。人と会話しているときって目には見えないけれど『DNAを交換している』って聞いたことがある。無意識だけど確実に作用し合っていて、変化して、繋がっていく。だから人との対話で変化したものを、きちんと自分の生み出すものに反映させていくようにしています。曲を作るってそういうことかなって」
──エレクトロニックミュージックは、日本ではまだ聴き慣れないジャンル。あえてメジャーではないジャンルに挑戦することへの不安や怖さはなかったですか?
「挑戦することへの不安や怖さは全くなかったです。けれど、最初の頃はなかなかいいって言ってもらえない時期があって、なんでダメなんだろう?って結構考え込んでしまうことがありましたね。だって、絶対いいのに。絶対いいという自信はずっとあるんです。基本的にはポジティブシンキングだし、自分がいいって思うものを純粋に伝えていけば、絶対にいつか周りにいる人にもいいって思ってもらえる。そう信じてきましたから」
──そのポジティブシンキングを支えてきたものは?
「それはやっぱり今の音楽の形。JEMAPURとの創作って揺るぎないものだし、自分たちが納得したものを届けているだけ。 JEMAPURとは音楽以外にも、アートとかファッションとか、いいなと思えるものがかなり近いんです。そういう感覚を共有し合える仲間ってなかなか出会えない。そうでないとお互い納得いくものを作ることはできなかったと思うし、だからこそYJYを結成できたんだと思います。バンドも何回もやりましたが、ここまで一致することってなかったんですよね。それでいて、彼は私の範囲を優に超えて物知りだし、誰も考えつかないようなアイデアをたくさん持っている。私は常に自分のリミットは破っていきたいから、自分の前を走っている存在がいることは心強いです」
Photos:Akihito Igarashi(TRON)
Styling:Motoko Hayashi
Hair & Make:Tomomi Fukuchi
Interview&Text:Etsuko Soeda
Edit:Yukiko Shinmura