未来都市・東京の“光のデザイン”とは?照明デザイナー面出薫&LPAによる展覧会『Nightscape 2050』 | Numero TOKYO - Part 3
Art / Post

未来都市・東京の“光のデザイン”とは?
照明デザイナー面出薫&LPAによる展覧会
『Nightscape 2050』

そして、今回独自の企画として注目したいのが、都市としての「東京」をはじめ、「地下空間」「コンビニ」「隅田川」「災害」の5テーマから、2050年の東京のあるべき光のデザインを提案するプロポーザル展示。 「災害」編では、街頭の大型ビジョンやサイネージ広告を地震発生時に非常用の光源に切り替え、ビルの外壁や街路に避難誘導用の照明を整備するなど、防災用の照明計画を提案。 また、隅田川の水辺の魅力を光によってリデザインする試みや、繁華街や高級ショッピング街、オフィス街など、東京のエリアごとの特色を光によって演出するプランなど、都市の光のあり方を私たち自身が考え、デザインしていく必要性に気付かされる。
LPAの近作より、中国・成都市のショッピングモール「成都遠洋太古里(Sino-Ocean Taikoo Li Chengd)」の照明計画 ©ライティング プランナーズ アソシエーツ ©The Oval partnership Ltd
LPAの近作より、中国・成都市のショッピングモール「成都遠洋太古里(Sino-Ocean Taikoo Li Chengd)」の照明計画 ©ライティング プランナーズ アソシエーツ ©The Oval partnership Ltd
「建物や各種のインフラなど、必ずしも都市自体を作り替えずとも光との関係を見直すことで、街それぞれの文化的魅力を表現し、安全性を高め、環境への影響やエネルギー資源の問題に対処していくことができるはず。それにはまず、私たち自身がこの街の光の様相に気付くこと。そして、自ら考えていくことが大切です。2050年の東京がどのような光で照らされているか、それは私たちの姿勢にかかっていると言っても過言ではありません」 (展示に臨む面出氏の言葉より) ……思い返せば、「Numero TOKYO」2016年6月号の「歌舞伎町ギラギラバロック」記事。 あの目が潰れんばかりの電飾ガビガビ空間こそ、より強く威嚇的な輝きばかりに先走り、周囲から一目置かれたいという悪羅悪羅系マインドの頂点だとしたら!? LEDの輝度に目がくらみ、キラキラ系の明るさばかり求めがちな昨今の感性はと考えて、蛍光灯でムダ光りはなはだしいコンビニの軒先にしゃがみ込み、食べ物を食い散らかすヤンキー集団の姿が思い浮かんだ。 ——影を見ずして光なし。私たち自身の “光感度” がいま、問われている。 Nightscape 2050 未来の街 – 光 – 人 会期/2016年5月14日(金)〜6月10日(金)※会期中無休 会場/Temporary Contemporary 住所/東京都中央区月島1-14-7 旭倉庫2F 時間/13:00〜21:00(月〜金)    10:00〜18:00(土・日) TEL/03-3533-0880 URL/www.facebook.com/lpa.exhibition (LPA Facebookページ) ※会期中、面出氏と各界のスペシャリストとのトークや、子どもも大人も楽しめる参加型の光模型ワークショップを開催。詳細は上記Facebookページへ。

Text:Keita Fukasawa

Profile

深沢慶太(Keita Fukasawa) フリー編集者/ライター/『Numéro TOKYO』コントリビューティング・エディター。『STUDIO VOICE』編集部を経てフリーに。『Numéro TOKYO』創刊より編集に参加。雑誌や書籍、Webマガジンなどの編集・執筆、企業企画のコピーライティングやブランディングにも携わる。編集を手がけた書籍に、田名網敬一、篠原有司男ほかアーティストの作品集や、編集者9人のインタビュー集『記憶に残るブック&マガジン』(BNN)など。

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