新しいシェフを迎えた、パレスホテル東京のフランス料理「エステール」へ | Numero TOKYO
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新しいシェフを迎えた、パレスホテル東京のフランス料理「エステール」へ

フランス料理の巨匠アラン・デュカス氏が設立したデュカス・パリをパートナーに迎え、日本のテロワールを表現するパレスホテル東京のファインダイニング「エステール」。2023年1月に新しいシェフに小島景さんを迎え、一新されました。小島シェフはヨーロッパの名だたる名店で経験を積み、ベージュ アラン・デュカス 東京では総料理長を務め、アラン・デュカス氏とは20年以上も一緒に仕事をしてきた輝かしい経歴の持ち主。そんな新生エステールのコースを体験してきました。

鎌倉出身の小島シェフは、毎朝自ら市場に趣き、新鮮な鎌倉野菜を仕入れるそうです。そんな鎌倉野菜を使ったアミューズ ブーシュからスタート。タコと鰹の一皿には、クルジュという野菜のソースが添えてあります。

続いて、お魚料理です。炭火焼したキンキにローストしたいちじくを合わせ、ソースはポワローネギのペーストに鯛のエキスを合わせたソースだそう。焼き目もパリパリっと香ばしく、いちじくの果実味とも意外なマッチです。

ふっくらと身厚な蝦夷鮑には、アーティチョークやキャベツを添えて。キャベツを一枚ずつミルフィーユのように重ね、サボイキャベツで包みさらにローストしたという、手の込んだ一品です。キャベツのシャキシャキした食感がとても心地よく、キャベツとアーティチョークのソースも爽やか。

メインは、熊本の赤牛です。スイスのシンメンタール種と和牛を掛け合わせた新品種で、赤みをしっかり楽しめるとして人気なのだそう。そこにペーストにした野菜やローストした鎌倉野菜、セップ茸などと一緒にいただきます。ソースは牛肉のエキスで、バター不使用なのにコクがあり、6時間ほどかけて抽出したという肉の旨味がしっかり出ています。緑のパウダーは野菜の葉をパウダーにしたもので、素材を無駄なく活かす取り組みも。

このお肉がとても軽く、もたれずに最後までおいしく味わえたのが感動です。フレンチのイメージをアップデートしていくとは、さすが小島シェフの手腕です。

デザートはアラン・デュカスさんのスペシャリテであるババ オ ラムを選びました。この銀食器がクラシックな気分! ラム酒のシロップをたっぷり染み込ませたしっとりした生地に、マルティニーク島のラムや自家製レモンリキュール、軽やかなホイップクリームを添えていただきます。

ちなみに、アラン・デュカスさんが手がけるブノワのババとは、ナパージュに違いがあるそうです。

この日はノンアルコールのペアリングでしたが、ロイヤルブルーティーの台湾の凍頂烏龍茶、京都宇治の緑茶(パレスホテル東京オリジナルラベル)、赤ワインのようなモクテルと趣向を凝らしたメニューに大満足でした。

カトラリーや器など、テーブルの上にあるすべてのものが素敵で、隅々に行き届いた美意識を感じました。また特別な機会にお邪魔したいです。

フランス料理「エステール」
住所/東京都千代田区丸の内1丁目1−1 パレスホテル東京 6階
営業時間/11:30〜13:30L.O.、18:00〜20:00L.O.
※当面の間の月・火(祝日は営業)
TEL/03-3211-5317
www.palacehoteltokyo.com/restaurant/esterre/

Profile

新藤友紀子Yukiko Shinto ウェブ・エディター。女性ファッション誌のウェブ編集などを経て2018年『Numero TOKYO』に参加。ファッションをはじめ、カルチャーやライフスタイルなど興味の赴くまま取材。Numero.jpでは連載「パン野ゆりのぶらりパン歩き」「パントビスコの不都合研究所」やスイーツの記事などを中心に担当している。最近は韓国ドラマやK-POPに目覚め、失われた青春を取り戻すかのように沼り中。

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