【連載】まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド vol.4 いざというときに遅くない身体に! 妊娠前に知っておくべきこと | Numero TOKYO
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【連載】まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド vol.4 いざというときに遅くない身体に! 妊娠前に知っておくべきこと

毎月の生理、デリケートゾーンの悩み……我慢できてしまう小さな不調を見逃していませんか。不調があって当たり前と見過ごしていると、思わぬ病気や妊娠時のトラブルの原因に。連載「まさき先生が導く全女性のためのウェルネスメソッド」では、産婦人科医の安部まさき先生が、専門的な視点から女性の体と心に寄り添うアドバイスをお届けします。

TOPICS
1.妊活を考える前にしておくべきことは?
2.具体的なコンセプションケアは?
3.子宮頸がんのワクチンについて
4.セルフケアでできること

「特に何も症状がないと婦人科に行くことはハードルが高いかもしれませんが、ぜひ健康診断のような感覚でオススメしたいのがプレコンセプションケアとしての婦人科の受診。自分の健康状態のチェックにもなるだけでなく、将来的に妊娠したいと思ったときにスムーズなスタートが切れるというメリットがあります」(安部まさき先生)

妊活を考える前にしておくべきことは?

──プレコンセプションケアって?

「プレコンセプションケアは、Pre(前)、conception(受胎・妊娠)という意味からなる言葉。将来の妊娠や出産に備えて、早めに自分の体と心を整えておくケアのことです。

“妊娠を考えている人だけのもの”と思われがちですが、私としては妊娠可能年齢すべての女性のためのものだと思っています。

妊娠する・しないにかかわらず、自分のカラダを知り、健康な生活習慣を身につけるきっかけとなるので、ぜひ多くの方に知っていただき、受けてほしいのです。そして、もうひとつお伝えしたいのが、プレコンセプションケアは、あなただけの問題ではありません。パートナーがいる方は、ぜひ一緒に取り組んでみてください

──プレコンセプションケアが必要な理由は?

「生まれてくる赤ちゃんの健康には、妊娠前のお母さんの体の状態が大きく関わっています。例えば、2023年のデータでは、1年間に生まれた赤ちゃんの約6%が早産で、約9.6%が低出生体重(2500g未満)で生まれています。小さく生まれた赤ちゃんは、将来、糖尿病や高血圧などの病気になりやすいことがわかっています。また、妊娠中の合併症などが原因で、赤ちゃんが亡くなってしまうことも。

リスクを高める主な原因は、肥満・痩せすぎ、喫煙、アルコール、糖尿病、高血圧、甲状腺機能異常、感染症、葉酸不足など……これらを事前にチェックしておくことで、トラブルや生まれてくる赤ちゃんの将来のリスクを下げることができるのです」

──いつ頃から、始めるべき?

「できるだけ早く始めるのが大切です。『妊娠するかどうかはまだ決めていない』という方も大丈夫。ただ、将来子どもを望んだときに、そこから体の準備を始めるのでは遅れてしまうこともあります。妊娠だけではなく、病気の発見につながることもあるので、今からケアするのがオススメです」

──では、何から始めればいい?
「まずは“プレコンセプションケア”で検索。プレコンセプション用のメニューのあるクリニックは多く、カップルプランがあったり、東京都など各自治体では助成金が出たりするところもあるので、チェックしてみてください」

具体的なコンセプションケアは?

「今の状態を知るために、カウンセリングのほか、身長や体重、血圧などを測ったり、血液検査や尿検査を行います。もし疾患が見つかった場合、まずはその治療が最優先です。普段から生活習慣を整え、栄養バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスのコントロールが基本になります。知識を若いうちに身につけることで、将来の妊娠や出産に対してだけではなく、自分自身やパートナーの健康維持にもつながるのでぜひ!」

バランスの良い食事を

特に若い世代は、タンパク質やカルシウム、食物繊維などが不足しがち。筋肉量や骨量の低下を招くとともに、月経トラブルや不妊の原因にも繋がるため、意識して摂取を。また妊活を始める前には、妊娠初期の胎児の神経系障害の予防に有効な葉酸の積極的な摂取が推奨されています。

適性体重をキープ!

18〜49歳の女性の適性体重の範囲はBMI値で18.5~24.9。太りすぎ、痩せすぎはホルモンバランスや妊娠に影響することがあるため注意が必要です。体重をキープするには、週に150分の運動時間を目安に、軽い有酸素運動と筋トレに加えて、階段の上り下りを積極的にする、バスやタクシーに頼らず歩くなど日常生活での運動量アップを意識しましょう。

生活リズムを整え、ストレス管理

寝不足や強いストレスを溜めないように。難しいかとは思いますが、なるべく自分に合ったストレス発散法を模索し、見つけておくのがオススメです。

喫煙、過度な飲酒に注意

喫煙は流産や早産、低出生体重児などのリスクを高めるため、妊娠を考えるのであれば、禁煙が大切です。飲酒も注意が必要で、妊娠初期は胎児の大切な器官がつくられる時期のため、妊娠を希望した段階から禁酒がすすめられます。また、飲酒は男性の精子の質にも影響するため、男性も節酒を心がけましょう。週に2回以上の休肝日をつくり、飲む量は1回あたりビールなら500mL程度までが目安です。

検診で病気が見つかったら早期治療を

乳がんや子宮がんなどの定期検診は、ぜひ受けておきましょう。がんや生活習慣病は、早期に見つけて治療することがとても大切です。さらに、甲状腺の病気は若い女性にも多く見られ、甲状腺ホルモンのバランスが崩れると不妊や流産の原因になることもあるので注意が必要です。

口腔環境を整える

妊娠すると、口腔環境が悪化しやすくなります。妊娠する前から、定期的な歯科検診もぜひ習慣づけましょう。

ワクチンの接種

風疹は、妊娠中にかかると赤ちゃんに先天的な障害を引き起こす可能性があるため、過去にかかったことがない方や抗体がない方は、妊娠前に予防接種を受けておきましょう。インフルエンザは、妊婦さん自身が重症化しやすく、発熱などによって流産や早産のリスクが高まることがあります。妊娠中でも接種できる安全なワクチンがあるため、予防接種を受けることをおすすめします。

子宮頸がんのワクチンについて

──子宮頸がんワクチンについて詳しく教えてください。

「プレコンセプションケアとは少し異なりますが、将来を考えると子宮頸がんワクチンの接種をぜひ受けてほしいと思います。子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉によって感染します。若い方でも発症する可能性があるため、初めての性交渉の前にワクチンを接種しておくと、感染予防=子宮頸がん予防につながります。
また、ワクチンを接種していてもしていなくても、ぜひ年に1回は子宮頸がん検診を。早期発見につながるだけでなく、子宮や卵巣の状態も確認できます」

──卵子の数を調べることができるって本当?

「はい、卵巣にどれくらい卵子が残っているかを調べるための血液検査“AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査”は、プレコンセプション検査に含まれていることもあります。AMHは、卵巣内でこれから育つ卵胞から分泌されるホルモンで、値が高いほど卵胞が多く、低いと少なくなっていることを示します。

そのため“卵巣年齢を知る検査”とも呼ばれ、将来的に排卵できる期間の目安になります。
ただし、妊娠できるかどうかを正確に判断できるものではなく、卵巣機能の目安を知る参考程度のものです。検査を受ける際は、その点を理解しておくことが大切です」

──では、妊娠したいと思ったら、妊活はどれくらいから始めるべき?

「妊娠のしやすさは年齢とともに少しずつ下がっていきます。たとえは、1回の排卵で妊娠する確率は、20代~30代前半では約25~30%(4人に1人ほど)ありますが、35歳~39歳では約18%、40代に入ると5%(20人に1人)以下にまで低下します。不妊治療を含めても、1人の子供を授かれた人の約90%は、35歳までに妊活を始めていたというデータもあります。妊娠を希望するときは、できるだけ早めに体の状態を知っておくことが大切です」

セルフケアでできること

「妊活を始める際には、飲んでおきたいのが葉酸サプリです。葉酸は妊娠の1ヶ月以上前からの摂取が推奨されているため、これから妊活を始めようとしている方は、ぜひ摂取を」

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アロベビー 葉酸サプリ120粒(1日4粒目安、約1ヶ月分) ¥4980/SOLIA
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厚労省が推奨している吸収率の高いモノグルタミン酸型葉酸に加え、妊娠&妊活中に必要なビタミン、ミネラルをたっぷり配合。無添加にこだわった処方も魅力。

安部まさき先生からひとこと

「プレコンセプションケアを受けることは、健康な自分でいることにつながり、子供を産むという選択をしたとしても、しなくても、将来の人生の選択肢を広げてくれるはずです。先送りせず、ぜひ一度チェックしてみてくださいね」

なのはなレディースクリニック
住所/埼玉県さいたま市見沼区東大宮5丁目33-12 柏洋ビル1F
TEL/048-878-8338
公式サイト/https://nanohanalc.com/

まさき先生が導く
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Photo:Kouki Hayashi Styling:Ako Tanaka Hair &Makeup:Kei Kouda Interview & Text:Hiromi Narasaki Illustration:Akari Kuramoto Edit:Saki Tanaka

Profile

なのはなレディースクリニック院長。産婦人科医。金沢医科大学医学部卒業後、自治医科大学産婦人科学講座 病院助教、国際医療福祉大学病院産婦人科などを経て、すべての女性がなんでも気軽に相談できるクリニックを目指し、なのはなレディースクリニックを開院。2026年夏頃には出産可能な病院を新設予定。女性特有の病気はもちろんのこと、ライフステージなどにもよって変化する悩みに寄り添い、最適な医療を提案。Numero TOKYOを愛読するファッショニスタでもあり、中でもコムデギャルソンをこよなく愛するという一面も。
 

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