中野裕太インタビュー
「ラブストーリーのほうがじつは僕、得意なんです」
旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。Vol.31は、俳優、中野裕太にインタビュー。
先の見えないトンネルにいる感覚は、今も続いてる
──今回のような役どころは今までなかったですが、この役が決まった経緯は?
『ウロボロス〜この愛こそ、正義』というドラマに出演していた時に、この映画の関係者から「ぴったりの役があるんだ」と声をかけられました。それも10分くらいで決まったので、あまりの速い展開に自分でも実感がわかなくて。監督と会って原作もらって読んで。モギさんとリンちゃんご本人と上野でコーヒー飲みながらいろいろ話して。でも、「本当にやるんだ」という実感がわいたのは、台湾での衣装合わせの時かな(笑)。
──ほんわりした恋愛モノ、中野さんにとってはどうですか? 新鮮?
どちらかというと、僕はこっちのほうが得意なんです。この顔だちで、語学ができるとかバラエティ時代のキャラクターもあってバイアスかけて見られがちだけど、素の僕は特殊な人間でもないから。エキセントリックな役のほうがむしろ苦手(笑)。ものすごく頑張って役づくりしている感じです。
──ちょっと意外です。30歳で生まれ落ちたその後の人生は今、どんな感じですか?
うーん。自分の中ですべてのことが定まっているわけではないです。今年の秋で32歳になりますが、この1年は迷いながらやってきた感じ。でも、最近は作品にも恵まれて、中国、ポルトガルと海外から声をかけられることが続いています。海外の作品に出て…と言うと派手に聞こえるかもしれないけど、生活自体は地味です。先の見えないトンネルにいる感覚っていうのはずっと続いていて、いきなり光が差して、「こっちおいでよ!」って言われる感じ。
──不安もありますか?
不安だらけですよ。不安とストレスと我慢と根性と辛抱と努力と(笑)。それが基本です。
家に帰ってお湯が出るだけマシ
Photos:Kenji Yamanaka
Interview&Text:Atsuko Udo
Hair&Makeup:Aiko Ono
Edit:Masumi Sasaki