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黒木華インタビュー「隙のある色っぽい悪女に憧れる」

旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。 vol.28は女優、黒木華にインタビュー。

女優・黒木華が2017年2月、シアタートラムにて江戸川乱歩原作の舞台『お勢登場』に出演する。今回は悪女の役。周りを惑わす魅力があり、時に人を殺めるほどの強さを持つ「お勢」に「やりがいがある」と語る彼女に、憧れの「悪女」や、インドア派というプライベート、実は不器用だという恋愛観に至るまで話を聞いた。

合唱部の幽霊部員から演劇部、そして女優へ

──デビューは舞台NODA・MAP番外公演の『表に出ろいっ!』ですが、黒木さんにとって舞台とは?

「女優になるきっかけだったので原点と言いますか、自分の中では大事なものです。観客の方と直に会うことが出来るし、キャストの皆さんと演出家さんとで作り上げていく時間やその空間が心地良くて。年に1、2回は挑戦したいと思っています」

──映画やドラマにも出演されてますが、舞台との違いはありますか?

「舞台は稽古期間があって、本番では仕上がっている状態なので、あまり緊張しないんです。むしろ、映像の方が緊張します。カメラがあるというのは非日常ですし、現場に行くまではひとりで考えて、その場で監督とキャストの方の意見を聞きながらベストな働きをしなくてはいけない。舞台は幕が降りれば終わりですが、映像は残るものですし。でも、演じるモチベーションは、どちらも同じです」

──高校から演劇部だったんですよね。そもそも、なぜ演劇部に?

「なぜかやりたいと思ったんです。中学は合唱部の幽霊部員で、サボって校庭でバレーボールしてたり(笑)。小さい頃から、母がいろんな経験をさせてくれて、そのひとつに、地元の子どもが集まってミュージカルを上演するという活動があったんです。その頃の記憶もあって、高校で自分が何をしたいのか考えた時に、お芝居をすることが浮んで。そこから、大学も映画学科の俳優コースを選びました」

“悪い女”という響きに惹かれる。憧れは大人の色気がある宮沢りえさん

──今回は悪女役です。「悪女」についてどういう印象を持っていますか。

「とても楽しみです。そもそも、みんなどこかしら悪い部分、ずるいところはありますよね。『悪女』って、ずるい女性のことだと思うんです」

──その「ずるさ」とは?

「『この人だったら、しょうがない』と人に許してもらえるずるさ。そういう隙を意識的に作ることができる人が、“悪い人”だなと」

──自分には隙はあると思いますか?

「どうなんでしょうね。隙だらけといえばそうなんですが、私の場合はそれより“適当さ”や“だらしなさ”なのかもしれません。たとえば、意識的に服をはだけさせるというより、うっかりボタンを掛け違えていた!とか(笑)。でも、“悪い女”という言葉の響きは好きなんです。魅力的ですよね」

──憧れの「悪女」はいますか?

「悪い女ではないですけれど、宮沢りえさんは様々な経験をされた上での大人の色気があります。お酒を飲みながらお話ししていると、酔えば酔うほど可愛らしくなって、私も女なのにドキっとしてしまう瞬間がありますね。舞台の上では、その色気が “悪女”にもなるから、りえさんを見ていると、いい女、悪い女とは、こういう人のことを指すのかなと。私も今回の悪女役で、いろんな面をお見せできるようになりたいです」

実はカーテンコールが苦手

──普段はどんな役作りをしていますか?

「作品の中でその役として存在できる女優さんが目標なので、参考文献や資料を読んだりはしますが、私は自分自身には、さほど興味がないので現場で監督と共演者の方と一緒に作り上げていくことが多いですね」

──「興味がない」というのは?

「女優という仕事をしている以上、自分の中から引き出すしかないので、全く興味がないわけではないのですが、たとえば泣く演技をしても、その自分に酔うのが苦手なんです。『悦ってる!』と思ってしまって。いわゆる“憑依型”というより、常に冷静に見ている第三者的な自分がどこかにいる感じなんです。だから、演じる時はなるべく“自分”を意識せずに、客観的でありたいと思っています」

──舞台期間中、映画撮影中は役が抜けないなんてことはありますか?

「それはあまりないですね。この舞台期間中に『お勢』を引きずったら、週刊誌沙汰になっちゃいますから(笑)。舞台や撮影が終わったら、日常に戻ります。だから、いつも困るのが、カーテンコール。今まさに演技が終わって、“私”に戻った瞬間だから、どういう表情でご挨拶すればいいのかわからないんです。気恥ずかしくって。観客側としては、カーテンコールも楽しみにしてくれてるんでしょうけど」

妄想が大好き。Mステの階段下りを空想した幼少期

──プライベートの時間はどうやって過ごしてますか?

「時間があれば、舞台に行きます。ジャンルを問わずいろんな作品を観ますね。映画も好きで、単館系の映画館にもしょっちゅう足を運びます。グザヴィエ・ドラン監督やミシェル・ゴンドリー監督の作品が好きなんです。タイプは違うけれど、グッとくるものがあって」

──映画館で顔バレしませんか?

「気付かれずに普通に観ています。時間があれば、映画や舞台を観たり、本を読んだり。あとは、最近『どうぶつの森』というゲームを始めました。アクティブな趣味を作りたいんですけど、地味な生活をしていますね(笑)。でも、ウィンドウショッピングは好きです。シンプルな服や黒い服が多いから、最近は赤いセーターを買ったり、雑貨はエスニック系にハマったり。部屋はモロッコ風のものやサボテンのクッションが置いてあったりするんです」

──趣味が映画や舞台鑑賞、読書となると、もしかして空想癖がある?

「妄想族です(笑)。小さい頃は、Mステの階段を下りてくる自分を想像していました」

恋愛は白黒ハッキリさせたい

──プライベートは“おひとり様”好きなんでしょうか?

「ひとりになりたいときと、賑やかにしていたいときと、波がありますね。ただ舞台や映画の期間中は、私も集中しているから周りに気をつかうことができなくて、LINEの返信が滞ったり。そうなると、気の合う人が、限られてくるところもあって」

──恋愛においても?

「この仕事を始める前、会えないことを理由にフラれたこともありました。私が仕事に集中したい期間には、『俺も自分のことを頑張るから、大丈夫だよ』と言ってくれるような人じゃないと、難しいかもしれません。お互いを支え合えるような、尊敬できる人がいいな。だから妄想の中で、大人の男性だったら、こういう私を許してくれるのかなと考えたりもします」

──得意の妄想が入りましたね。では、恋愛マンガもよく読むとか?

「恋愛系のマンガや映画が苦手なんです。大人のドライな恋愛ものは好きなんですけれど、『壁ドン! キャ!』みたいなのは、恥ずかしくなっちゃって。関西人だからかもしれないけど『オイ!』とツッコミたくなっちゃう。胸キュンシーンがもどかしく感じちゃうんですね」

──どちらかというと、好きになったら自分から告白するタイプ?

「自分から言っちゃいますね。性格がネガティブだからウジウジはするんだけど、その時間は苦しいし、ほかのことが手につかないのが嫌。だんだん片思いの時間が、面倒くさくなって、すぐに白黒ハッキリさせたくなります」

──黒木さんご自身と、今回演じる「お勢」は全く違うタイプなんですね。

「彼女は捉えどころがないけれど、とても魅力的です。今は台本を読み込んだり、江戸川乱歩の他の作品を読んだりして、彼女はどんな女性なのか自分の中で模索している段階です。でも、悪役はやりがいもあるし楽しいんですよ。舞台は観客の方がいて完成するものなので、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思っています」

ジャケット ¥90,000/ジェフリー ビー スモール(ジャーナル スタンダード ラックス 表参道店 03-6418-0900) スカート ¥39,000/ニードルズ(ネペンテス 03-3400-7227)

『お勢登場』の情報はこちらから

Profile

黒木華(Haru Kuroki)1990年生まれ、大阪府出身。2010年、大学在学中にNODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』でヒロインオーディションに合格し、野田秀樹、中村勘三郎との3人芝居でデビュー。映画『シャニダールの花』『小さいおうち』『舟を編む』『リップヴァンウィンクルの花嫁』、NHK連続テレビ小説『花子とアン』にも出演。2NHK大河ドラマ『真田丸』や主演ドラマ『重版出来!』、主演舞台『書く女』も話題に。2017年は2月から舞台『お勢登場』に出演。

Photos:Ayako Masunaga
Hair&Makeup:Katsuhide Arai
Styling:Yuriko E
Interview&Text:Miho Matsuda
Edit:Masumi Sasaki

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