ユニコーン インタビュー
「50代になった今が一番楽しい」
旬な俳優、女優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。 vol.25はアーティスト、ユニコーンにインタビュー。
──でも“これはユニコーン用に”と持ってこられるんですよね。
手島「まあ、それなりの覚悟で曲を持ち寄るわけですから」
奥田「そうなの?」
手島「そうですよ。まず、ざっくばらんに酒を飲みながら聴きましょうという会があり、それに間に合うように各々が曲を作る。それから、レコーディングの日程が決まるんです」
──ダメ出しもあるんですか?
手島「基本的にないですね」
奥田「ダメ出しされた人が傷付くじゃないですか。そんな時は、ただ何も言わない」
一同「(笑)」
手島「ノー・コメンテーター(笑)」
奥田「何も言われなかったら、そこですでに傷付きますけど」
遠くの夢より、手の中にあるもので何ができるのか
──50代になった感想と、これから50歳に向かう方へのアドバイスをお願いします。では、年齢順に川西さんから。
川西「50歳の頃に何を思っていたか、もう忘れました」
奥田「もう6年も経っているから」
川西「60代が見えているしね」
──では、60代に向けての意気込みは?
奥田「お、それは俺たちが参考になるね」
川西「そうですねぇ…。ライヴやレコーディングに対する意識が変わりました。僕らを見てくれている人たちがいる、ということに気がつきましたね、今頃」
奥田「遅っ!」
川西「そりゃ、もちろん分かっていましたよ。でも、その方々の人生に影響を与えている部分があると気付いたんです。昔はそれに対して“責任を取る”というより、僕らがどう生きるのかを見せようという気持ちだったんですけど」
奥田「いろんなことを考え始めたんだね」
川西「同級生と飲みに行くと、病気や健康の話題ばかりになって、僕自身も昨年、病気を経験して。これからの人生をどう生きるかと考えたときに、まず、僕らは音楽をやり続けていて、真剣に面白いことに取り組める今の大切さを…、ええと、何の話でしたっけ?」
──60代に向かっての意気込みです。
川西「ああ、そうだ」
手島「ゴールのない話やったんや…!」
川西「人生のゴールについて話しているのに、話のゴールは見えませんでした。次はテッシー」
手島「30代40代の頃に比べると、今の方が断然楽しいです。肩の力が抜けたというか、魂が抜けたというか」
川西「それじゃ抜け殻だよ!」
手島「若い頃は多くの可能性があるけれど、30歳頃までにはある程度自分のポジションを絞り込みますよね。でも音楽をやっていると、夢見がちのままでいられるところがありまして。50歳になって『俺は頑張ったけど、こんな感じなんや』と気が付いたんです。だから見果てぬ夢より、手の中にあるもので何か面白いことができるんじゃないかと。でも、まだ夢はたくさんありますよ」
──例えば?
手島「野球選手になりたいとか」
奥田「ずいぶん前に諦めた夢やないかい!」
手島「ヨットレース出場。船酔いするんですけどね、僕」
奥田「口から出まかせ!」
手島「まあ、でも今まで色んな出会いがあって、これから会う人たちもいるでしょう。この先、面白いことがありそうだという期待は大きいです」
誕生日プレゼントにダイソンのドライヤーを
川西「次は民生さん」
奥田「体力は40代後半から落ちましたけど、精神的には何も変わりません。僕は年齢を節目に、振り返ることもしませんね」
川西「誕生日なんてどうでもいいと思ってるんでしょ」
奥田「そんなことないよ、モノをくれたりするから。でも、このメンバーは誰もくれやせんのですよ」
手島「『おめでとう』と言うとるやないかい」
EBI「まあ、でもそれはお互い様じゃない?」
川西「ライヴやレコーディングが誕生日に重なると、スタッフがお祝いしてくれることはありますけど。メンバー同士で『今度の誕生日に何かする?』と相談するなんて、考えたこともないですね」
EBI「他のバンドはやっているよ」
奥田「じゃあ、こっちもやれ」
手島「いくつになってもプレゼントは嬉しいもんです。自分は8月生まれで夏休み中だから、小学校の頃から何も貰えんのですよ」
川西「それで哀愁の歌詞を…」
ABEDON「テッシーはプレゼントすることはあるの?」
手島「…………。ほぼないですな…」
奥田「お前ってやつは! 俺はあげることが少ないから、貰うことも少ないだろうと覚悟しているからね。でも今年もらって嬉しかったのは、ダイソンのドライヤーです」
ABEDON「虫眼鏡みたいなやつ?」
奥田「筒みたいになっている」
手島「ワシは昨日ケーズデンキで試した。風量がすごいな」
EBI「音は?」
奥田「掃除機と同じ」
EBI「今、音が小さいのを探しているんだよね」
川西「『50歳』がテーマなのに、なんでこんな流れに…」
──手島さんは、ダイソンのドライヤーを買うんですか?
手島「プレゼントをお待ちしています!」
EBI「僕はルンバがいいな」
川西「あれはかわいい。でもルンバが部屋を綺麗にしてくれるというより、ルンバが動きやすいように片付ける習慣がつくんだよね」
奥田「そしたら今度の誕生日に、マキタのロボット掃除機をプレゼントするわ」
EBI「大きいね」
ABEDON「結構なサウンドを奏でるよ」
健康は大事、無理すんな
──EBIさんは50歳についていかがですか。
EBI「僕にとって50歳は、人生を振り返る良い節目でした。それまで健康優良児だったんですが、50歳を目前に体調を崩したんです。肩も首も痛いし、目も見えにくくなるし。体が弱ると心も折れやすくなって、自分の人生、これで良かったんだろうかと」
奥田「めちゃめちゃ、へこんどるな」
EBI「天冲殺も重なってね」
──占いはお好きなんですか?
EBI「落ち込んでいるときにはね。これまでの人生を振り返って後悔ばかりだったんですが、節分の頃から運気が上昇してきて、腕も上がるようになって。今は前向きに色々と考えるようになりました。若いときは全く何も考えていなかったのでね」
──“全く”ですか?
奥田「EBIは相当なレベルでしたからね」
手島「元々おおらかというか、まあ“宇宙”なんですわ」
EBI「だからね、僕がみんなに言いたいのは『健康に気をつけろ、無理すんな』ということです」
奥田「配布されるスケジュール表も、僕らはA4なのにEBIだけB3なんです」
EBI「見えないからね」
──最後に50歳になりたてのABEDONさん。
ABEDON「若い頃に思い描いていた50歳の自分は、あくせく働かず悠々自適というイメージだったんですが、今すごく働いていますね。予定とは違うけれど、それでいいと思いますし、年上の方々からは『まだまだこれから』と言われます」
──欲しいプレゼントはありますか?
ABEDON「壁際に置いてタテに映るプロジェクター。それで優雅に時計を映したり」
川西「アーティスティックやね」
ABEDON「無駄に使うのがいいんだよ。体力は無駄に使えないのでね」
50歳からの体力作り
──9月3日からユニコーンツアー2016『第三パラダイス』がスタートしますが、体力作りはされていますか?
川西「毎日7kmくらい走っています」
EBI「僕もウォーキングを始めました」
川西「YO-KING?」
EBI「ウォーキングですよ!」
──どのくらい歩いてるんですか?
EBI「1日2回」
T「風邪薬か!(笑)」
EBI「近所を30分から1時間くらい歩くようにしたら、すごく体調がいいんです。みんなにも歩いてもらいたいな」
奥田「さっきから、みんなに薦めとるな…」
──歩きながら音楽を聴いたりしているんですか?
EBI「聴きませんね。道端の花を眺めたり、こんな巨木があったのか!と感動したり」
手島「ピュア!」
奥田「毎日、同じところを歩いているのに…」
EBI「ルートはショートとロングで5種類あるよ」
奥田「川西君もいくつかコースはあるの?」
川西「今は3パターン。それにツアー先でも走るよ。札幌の豊平川沿いが最高だった」
EBI「いわきには山羊がいたよ」
ABEDON「次のツアー先で一緒にやったら?」
川西「歩きと走りじゃ速度が違うから。EBIが歩いているところを『おつかれー』って何度も追い抜いたりして…、って俺は惑星か!」
──奥田さんは何か運動はしていますか?
奥田「やったりやらなかったり」
川西「でもゴルフや釣りとか、趣味は多彩だよね」
──手島さんはいかがですか?
手島「ドン・キホーテで買った腹筋マシーンはありますけどね」
奥田「やってないでしょ」
手島「もう無理はできんから」
──ABEDONさんは?
ABEDON「何もしてないですね」
川西「サーフィンは?」
ABEDON「忙しくて行ってない。休みがあればね」
──皆さん食事も気をつけていますか?
川西「野菜を摂るようにしています。自炊なので自分で気をつけないと。野菜から先に食べるといいと教えてくれたのは、民生なんですよ」
EBI「今はテレビも健康情報を教えてくれますしね」
奥田「昔からそうだけどね」
川西「内容は時代によって変わるよね。この前、半身浴はダメって言ってた」
EBI「10分間、しっかり湯船に浸からないと効果がないんだよ」
手島「右半身がいいですか。左半身がいいですか」
川西「そっち?」
Photos:Kouki Hayashi
Text:Miho Matsuda
Edit:Masumi Sasaki