ロウンインタビュー「言葉にすれば夢は叶う。僕は人生を楽しみたい」 | Numero TOKYO
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ロウンインタビュー「言葉にすれば夢は叶う。僕は人生を楽しみたい」

旬な俳優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.128は俳優のロウンにインタビュー。

ドラマ『婚礼大捷』や『恋慕』『偶然見つけたハル』などで、日本でも人気の高い俳優・ロウンが、『映画ラストマン -FIRST LOVE-』で日本映画に初出演する。日本語での演技や共演者との交流、俳優として活動していることや、入隊前の心境についても聞いた。

日本作品に挑戦して、新たな方向性を見出すことができた

──『映画ラストマン -FIRST LOVE-』で、日本映画に初参加されました。オファーを受けた理由は?

「やはり最初は少し心配でした。日本語と英語でのセリフ、しかも自分にとって新たな環境の中で演じることが、果たして自分にできるんだろうかと不安があったのですが、思い切って挑戦することで、結果的に自分の新たな方向性や可能性が開けたのではないかと思います」

──ドラマ『ラストマン』はご覧になりましたか?

「仕事柄、飛行機をよく利用するんですが、実は、機内で偶然、ドラマ『ラストマン』を見たことがあったんです。今回、オファーをいただいて、改めてドラマを拝見して、とても面白い作品だと思いました。これが映画化されるということは、物語は2時間に圧縮されるから、展開が凝縮されて確実に面白いだろうと思います」

──今回演じるのは、FBI特別捜査官であるクライド・ユンという人物です。彼の魅力を教えてください。

「あらゆることに意欲の高い人です。監督から、彼はアメリカから派遣された人物なので、自ら積極的に行動を起こす人物なのではないかとアドバイスをいただきました。コミカルな部分もシリアスな表情もあるので、みなさんに楽しんでいただけるんじゃないかと思います」

──この作品は豪華キャストで知られていますが、共演者と現場ではどのようなコミュニケーションが?

「日本語をうまく話せるわけではないので、最初は不安もあったのですが、大泉さんが積極的に声をかけてくださって、とても楽な気持ちで現場に臨むことができました。それに、福山(雅治)さんや大泉(洋)さんをはじめ、みなさんが僕を気遣ってリラックスさせてくださいました。とても学ぶべき点の多い方々だと思います。みなさんと連絡先を交換したので、日本に来たときに一緒に食事ができるような、そんな仲間になれたんじゃないかなと思います」

──今回のセリフはすべて日本語と英語でしたが、役づくりはどのように?

「まず、自分のセリフだけでなく相手役の方のセリフも翻訳していただいたものを読み、内容を理解した上で覚えました。セリフの間合いに関しても、韓国語とは異なる部分があったのかもしれませんが、感覚的に上手くできたんじゃないかと思います。英語のセリフに関しては、英語圏の友人が声を録音して送ってくれたり、日本語の部分は日本事務所のスタッフの方が助けてくれたので、言葉に関しては大きな心配というのはなかったです。ただ、いつもは、相手役のリアクションを計算せずに芝居に臨んでいるんですが、今回は外国語ということもあって、ある程度、相手はこういう反応をするんだろうなと頭に入れた上で演技をしました。本来、自分がしている演技のスタイルではなかったので、撮影序盤は少し違和感もあったのですが、共演者のみなさん、監督やスタッフさんとの距離感が縮まるうちに自然な気持ちで演じることができました」

──今回、北海道でのロケもありましたが、撮影中に北海道で食べたものや滞在中のエピソードを教えてください。

「北海道にはとても感動しました! カニ丼や豚丼、蕎麦……、美味しいものをたくさんいただきました。共演の永瀬廉さんと一緒にお寿司屋さんに行ったのですが、そこで食べたお寿司がとても美味しくて。ウニもそうですし、全ての海鮮が最高でした。実は、北海道は豚肉でも有名だとは知らなかったんですけど、豚丼は3杯も食べてしまったくらい。いつもはそんなに食べないんですよ。今、思い出していたらお腹が空いてくるくらい、本当にあれもこれも全部、美味しかったです」

「ロウン」として長く活動したいから、自分を第一に考えるようになった

──今回、日本映画に挑戦されましたが、アメリカでは3月に行われた「第97回アカデミー賞授賞式」に出席されました。いかがでしたか。

「僕が信じていることのひとつに、『自分の夢を周りの人に話すと、実現に近づく』ということがあります。まるで夢が現実になったかのように、ありとあらゆることを想像して言葉にするんです。そういった意味で、アカデミー賞授賞式に参加したことは、とてもいい経験になりました。現地では、俳優の方々だけでなく、監督やカメラマン、メイクアップなど、映画に関わる様々な方とお会いしました。授賞式というのは映画を愛する人たちの集まりでもあるんですね。だから、僕はそういった方々に名刺を配ったも同然なんです(笑)。一言で表現するなら、すごくいい勉強ができましたね」

──ボーイズグループSF9の活動と並行しながら俳優を続け、2023年に演技を始めとする個人活動に集中することになりました。それ以降、ご自身の「表現」に変化はありましたか。

「俳優活動に本格的に転向することで、グループから自分ひとりでの活動になりました。自らを信じて、自らを試し続けることが、とても楽しいと感じています。自分の行動が全て自分に返ってくるので、自分自身に厳しくなったところもあるかもしれません。“ロウン”としてこれからも長く活動していきたいと思っているので、これは自分にとってプラスになるかどうかを、深く考えて判断するようになったし、はっきりと主張できるようになりました。それから、“キム・ソグ”を最優先に考えて大切にしていくことが大事なんだとも考えるようになりました。“キム・ソグ”というのは僕の本名です。それを念頭に入れて、いろんなことを判断することは、結果的にファンの皆さん、友人や家族を守ることに繋がっていくんだと思っています」

──変化の早い芸能界に流されず、自分自身を保つために意識していることは?

「本を読んだり、映画をたくさん観たりして、芸術的なものからインスピレーションを得るようにしています。それから、ひとりで過ごす時間を大切にしています。心配することも悩むこともあるんですが、悩みの原因を探って解決策を考えます。そうしないと気が済まない性格でもあるんですけど、自分が崩れてしまったら誰のためにもならないと思うんです。誰かのために生きるなら、自分がしっかりしていないと。自分をしっかり守ってこそ、周りの人にも手を差し伸べられる存在になれるんじゃないかと思います」

──ロウンさんが芸能界にデビューして以来、ずっと応援しているファンがたくさんいらっしゃいますが、どんなときにファンとの絆を感じますか。

「アイドル活動をしていたときは、ファンのみなさんと直接お会いする機会がたくさんありました。俳優活動に集中するようになると、その機会はとても貴重なものになるんですね。だからこそ、ファンミーティングを開催するんですね。みなさんにお会いして、直接、目を見ると、ずっと待っていてくれたんだなとわかるし、自分を恋しく思ってくれているんだな、自分の歌や演技を好きでいてくれるんだなと、感じることができるんです。すごくありがたいし、ファンのみなさんが送ってくださるメッセージが、僕の胸に突き刺さって切なくなることもあるんです」

──誠実な人柄が伝わります。努力家としても知られるロウンさんですが、演技や語学の勉強、トレーニングを続ける中で、挫けそうになったときはどうやって自分を奮い立たせるのでしょうか。

「一旦そこから離れてみるのもひとつの手だと思います。僕の場合は、あれもこれもやりたくないと思ったら、まず手を止めて、今日はSNSデイにしようと決めて、YouTubeばかりを見る日にします。それから、自分自身に『本当にやりたくないのか』と問い直す。本当に嫌なら辞めてもいいけど、リフレッシュすると、もう一度頑張ってみようかなと思えたりするんです」

──プライベートについてもお伺いします。好きなファッションや毎日の美容ルーティンを教えてください。

「ファッションはゆったりしたものが好きですね。Tシャツもオーバーサイズを選びます。それに、暑くても薄手のアウターを羽織るスタイルも好きです。美容は特別なことはやっていません。化粧水を塗るようになっただけでも、だいぶ進歩したんですよ。入隊してから、ちゃんとスキンケアを続けられるか心配です(笑)」

──日々のトレーニングはどんなことを?

「週に5回ほどパーソナルトレーナーと一緒にトレーニングしています。気分転換にテニスをすることもあります! それから、鶏肉と水を混ぜた『鶏ジュース』もよく飲んでいます」

──世界を飛び回って活動する中で、韓国に帰ってホッとする瞬間は?

「お母さんが作ってくれた料理を食べるときです。でも今は、お母さんが日本旅行中なので、僕が先に韓国に帰って、猫に餌をあげないといけないんですよ」

──先ほど、北海道のグルメについて伺いましたが、読者におすすめの韓国料理を教えてください。

「おすすめは『テジコリ』という料理です。『豚のしっぽ』という意味なんですが、豚のお尻の部分からしっぽにかけての部位をスライスして焼いて食べるんです。ちょっと辛くて豚足にも似た食感なんですけど、ソメク(焼酎とビールで割ったお酒)に合わせると最高です。ぜひ一度味わってみてください!」

──最後に、これからについて伺います。現在、入隊を控えていますが、将来、挑戦したいことを教えてください。(取材は春頃に実施)

「演技だけでなく絵も描きたいし、音楽面ではアルバムもリリースしたいと思っています。それ以外にも、様々な分野に挑戦したいし、機会があれば日本やアメリカの作品にも出演してみたいです。世界中を旅してみたいし、これからも僕には楽しい人生が待ってると信じています。僕は、楽しむことを休んだりしませんよ。ファンのみなさんとは、しばらく直接お会いすることはできませんが、2年分のカレンダーを作りました。これを眺めながら、待っていてくださると嬉しいです」

『映画ラストマン -FIRST LOVE-』

どんな事件も必ず終わらせる最後の切り札・ラストマンの異名を持つ全盲の FBI 特別捜査官・皆実広見(福山雅治)と、警視庁捜査一課の護道心太朗(大泉洋)。
数々の難事件を解決してきた無敵のバディは、ある事件のために北海道へ。そこで出会ったのは、皆実の初恋の人、ナギサ・イワノワ(宮沢りえ)。
謎の組織から追われている彼女を守るため、FBI から新たに派遣されたクライド・ユン捜査官(ロウン)や護道泉(永瀬廉)、CIA、北海道警の合同チームと共に事件に挑むが、そこには世界を揺るがす陰謀が絡んでいた……。

脚本/黒岩勉
企画プロデュース/東仲恵吾
監督/平野俊一
出演/福山雅治、大泉洋、永瀬廉、今田美桜、ロウン、月島琉衣、寛一郎、谷田歩、黒田大輔、松尾諭、今井朋彦、奥智哉、木村多江、吉田羊、上川隆也、宮沢りえ

X/@LASTMAN_tbs
Instagram/lastman_tbs
TikTok/@lastman_tbstv

2025年12月24日(水)全国ロードショー
URL/www.lastman2025.jp/

Photos:Ayako Masunaga Styling : Lee Mingyu(FIRE STUDIO) Hair :Parkmihyoung(glosss) Makuep:Jung bo young (glosss) Interview & Text:Miho Matsuda Edit:Saki Tanaka

Profile

ロウン ROWOON 1996年8月7日、ソウル特別市生まれ。2016年、ボーイズグループ「SF9」でデビューし、同年ウェブドラマ「クリック・ユア・ハート」にて俳優デビューを果たす。『アバウトタイム~止めたい時間~』『輝く星のターミナル』など話題作に出演。『偶然見つけたハル』『先輩、その口紅塗らないで』『恋慕』『明日』『この恋は不可抗力』『婚礼大捷』にて主演を務める。2023年より俳優業を始めとするソロ活動に専念。高身長と端正なルックスに加え誠実で柔らかな人柄で人気を集め、ドラマや映画では幅広い役柄を演じ、活躍の場を広げている。主演作『濁流』は9月26日よりディズニープラスで配信スタート。『映画ラストマン -FIRST LOVE-』は日本での初出演作となる。
 

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