FANTASTICS 中島颯太インタビュー「初心にかえる上で拠り所となる作品と出合えた」
旬な俳優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.124は中島颯太(FANTASTICS)にインタビュー。
ダンス&ボーカルグループ「FANTASTICS」のボーカルで、俳優としても活躍する中島が出演する『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』が7月4日(金)に公開。映画出演への感想や撮影秘話に始まり、俳優業が音楽活動に与える影響や仕事観について聞いた。
自分の「好き」を言葉にする大切さ
──昨年話題を呼んだドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(以下、『おっパン』)が映画化されました。今作の見どころを教えてください。
「映画版は完全なオリジナルストーリーなのですが、ドラマ版から引き続き、『“好き”っていいな』というメッセージが伝わるシーンがたくさん詰め込まれています。最初から最後まで、登場人物が全員魅力的でいい人しかいません。こんなに平和で素敵な作品はなかなかないんじゃないかな? ドラマ版を応援してくださった方も、映画版を初めてご覧になる方も間違いなく楽しめる内容だと思います」
──この作品は、原田泰造さんが演じる“おっさん”の沖田誠が、中島さんが演じるゲイの青年・五十嵐大地に出会って、自分の常識をアップデートしていくというストーリーです。中島さんから見た、大地という役柄の魅力は?
「彼のすごいところは、自分の『好き』という想いをきちんと言葉にして伝えることです。そんな彼に影響を受けて、周囲の人たちがどんどんアップデートされていく。僕も『大地くんみたいな人間になりたいな』と思いながら、日々を過ごしています。僕自身、初めての連続ドラマ単独出演だったので、今後お芝居を続けていく上で、この役は自分が初心にかえる上での拠り所になると思うんです。それが大地くんというすばらしい人物であることが、誇らしいですね」
──映画版ではドラマ版最終回から1年後の日々が描かれるそうですね。
「本作では大地くんが初めて見せる人間味ある一面に注目してほしいです。ドラマ版の彼はみんなに頼られる太陽のような存在だったのですが、映画版では彼のパートナーである円先輩との遠距離結婚が始まって、すごく寂しそうなんです。そんな彼が自分の寂しさを『好き』という気持ちでどう乗り越えていくのかが、ストーリーでは描かれていきます」
──この作品をどんな方に観てほしいですか?
「できれば親子で観てほしいです。実は『おっパン』を観た方から『このドラマを一緒に観た日からお父さんの態度がすごく変わりました。ありがとうございます』といったコメントをいただくことが多くて。僕の両親もこの作品を観てから、僕のスマホに送ってくる言葉がアップデートされた気がするんです。この作品にはそれだけ多くの人の心を変える力があると感じます」
──撮影現場はどのような雰囲気だったのでしょうか。
「とにかく楽しかったです! キャスト陣も撮影スタッフさんもドラマ版とほぼ同じ布陣でした。だから、久々の撮影現場も『ただいま』『おかえり』と言い合うような感じで。約1年ぶりの再会なのに、2、3日ぶりに会ったようなテンションでした。泰造さんも普段は撮影のブランクが空くと少し人見知りをしてしまうタイプらしいんですが、僕が積極的に話しかけすぎたせいか、『今回は壁が一切できなかった。うれしい』と言ってくださいました(笑)」
──プロダクションノートには「中島さんが率先して現場を盛り上げていた」というエピソードも書かれていました。
「現場でそんなふうに見えていたならうれしいですね。実は新メンバーのキャストは以前から面識のある方が多かったんですよ。誠さんの元部下で大地が働くペットショップの店長・佐藤を演じた曽田陵介くんはフットサル仲間ですし、野球部を目指す女子高生役の池田朱那ちゃんもドラマで共演したことがありました。ドラマ版メンバーがみんな和気あいあいとしているなか、新メンバーとして新たに参加する。自分がその立場だったら間違いなく緊張するので、『この場の空気を和らげるのは僕しかいないだろう!』と思う部分はありましたね」
──現場でも“リアル大地”のような存在だったんですね。中島さんはいつもポジティブな印象がありますが、そのマインドを維持できる秘訣は?
「悩む前にやればいい。悔しいと思ったら相手を見返せるまで頑張ればいい。そんなマインドを持ち続けているからですかね……。両親から『何事もなるようになるよ』と言われながら育ったので、自然と僕自身もポジティブなメンタルが備わっているんだと思います。たまに『もっと悩んだほうがいい』と言われることもあるんですけど、悩む前に自然と体が動いてしまうみたいです」
“アーティスト・中島颯太”では届きづらい領域に言葉を届ける
──近年は俳優のお仕事も増えていますが、ご自身が考える俳優業の魅力とは?
「自分以外の人生を経験できる点です。誰しも人生は1回だけですが、俳優業を通じて他者の人生を追体験できる。あと、作品を通じてメッセージを多くの人に届けられるのもこの仕事ならではの魅力ですよね。“アーティスト・中島颯太”では届きづらい領域に役柄を通して言葉を届けられるのもやりがいの一つです」
──俳優の仕事がアーティスト活動に影響する部分もありますか。
「すごくあると思います! 僕と一緒にFANTASTICSでボーカルをしている八木勇征くんもお芝居の仕事をしているのですが、彼も僕もいろんな役を演じた後、アーティストのお仕事に戻ると、歌う時の表情が大きく変わりますね。僕らの歌はバラードからアップテンポなものまで曲調が異なるものが多いんですが、世界観が違う曲でもパッとモードを切り替えて歌い分けられるようになったのは、お芝居の影響が大きいと思います」
──八木さんは中島さんにとってどんな存在ですか。
「お互いに足りないところを補い合うような関係……ですね。音楽面はもちろんですが、お芝居でもすごくいい影響をもらっています。勇征くんは僕の出演した作品を全部観てくれているし、僕も彼の作品は全部観ているので、『ここのシーン、良かったね』などと感想を言い合うこともあります。めったにない運命的な出会いだなっていつも思います」
──オフの日はどのように過ごされるんですか?
「とことん趣味に時間を使います。休みがとれたら、お笑いの公演情報を調べて、行けるエリアの劇場に足を運びます。あとは、カメラを持ってふらりと旅行に行くことも。オフの日が早めにわかっているときは、メンバーを集めてサウナに行ったり、フットサルをしたりもしますね」
──『おっパン』は「アップデート」がひとつのテーマですが、最近特に力をいれてアップデートしているものは?
「カメラの知識を日々アップデートしています。先日、行きつけのお店でニコンの望遠のオールドレンズという新しいレンズを買いました。そこの店員さんは『おっパン』に出ていただきたいくらいに優しくていい方なんです。先日も店で販売していないような貴重な品を譲っていただいて……。写真は撮れば撮るほどに、知れば知るほどに、その奥深さに圧倒されるので、まだまだアップデートしていきたいです」
──今後、新たに挑戦したいものはありますか?
「サックスです。以前からジャズの動画やステージを観るたびにかっこいいなぁと憧れていて。ライブの演出にも合うと思うので、いつか吹けるようになったらぜひみなさんにも見てほしいです」
『映画 おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』
出演/原田泰造、中島颯太(FANTASTICS)、城桧吏、大原梓、東啓介、渡辺哲、曽田陵介、トータス松本、松下由樹、富田靖子ほか
原作/「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!」練馬ジム(「LINEマンガ」連載)
主題歌/「青春」ウルフルズ(Getting Better/Victor Entertainment)
オープニング/「アプデライフ」 FANTASTICS(rhythm zone)
挿入歌/「おっさんのダンスが変だっていいじゃないか!」ウルフルズ(Getting Better/Victor Entertainment)
7月4日(金)全国ロードショー
https://gaga.ne.jp/oppan-movie/
Photos:Ayako Masunaga Styling:Takuto Nakase Hair & Makeup:YOUNGSUN PARK (Luana) Interview & Text:Haruna Fujimura Edit:Miyu Kadota
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