imaseインタビュー「歌も楽器も上手じゃないから、“凡才”なりの戦い方をしてきた」 | Numero TOKYO
Interview / Post

imaseインタビュー「歌も楽器も上手じゃないから、“凡才”なりの戦い方をしてきた」

旬な俳優、アーティストやクリエイターが登場し、「ONとOFF」をテーマに自身のクリエイションについて語る連載「Talks」。vol.114はimaseにインタビュー。

全世界のSNSで累計100億回再生を記録し、世界が注目する新世代アーティストimase。20歳で本格的に音楽制作を始め、わずか3年で世界のヒットチャートを席巻するまでになった3年間の楽曲を収めた1st Album『凡才』がリリースされる。どこにでもいる青年が5畳半の部屋から、どのように世界的アーティストの階段を駆け上がったのか。サッカーに熱中していた学生時代から、現在の音楽スタイル、そしてこれからについて聞いた。

初めて自分について歌った新曲『BONSAI』

──今回の撮影は、バランスが取りづらいポーズも難なくこなしてましたね。

「昔、サッカーをやっていたので、体幹が強いほうかもしれません。ボールの上にも立てますよ」

──サッカーはどのくらいやっていたんですか。

「小学5年生から始めて高校までやっていました。中学生のときまでは本気でプロを目指して、県内でも強豪のクラブチームに所属して毎日練習していました。高校でもサッカー部ではありましたが、強豪ではなかったので、プロを目指す意識ではなく、みんなでサッカーを楽しんでいました」

──ポジションは?

「MFです。中学生のときは右サイドハーフが多くて、サイドからドリブルで切り込んだり、クロスを上げたり。そのクラブチームが“ドリブルチーム”だったので、足元をしっかり鍛えられました。だから僕も“ドリブラー”で、ボールを持ったらドリブルで前線まで駆け上がって、そのままゴールを決めちゃうようなプレーが好きでした。高校ではサイドかボランチが多かったですね」

──その頃、憧れていた選手は?

「日本代表では松井大輔選手です。とにかくテクニックが素晴らしくて。海外ではメッシ、イニエスタ、クリスティアーノ・ロナウド、ルイス・フィーゴ、ロベルト・カルロスなど、とにかく足元が強い選手に憧れていました」

──サッカーで学んだことで、今に活きていることはありますか。

「勝ちにこだわるところですかね。もともと負けず嫌いの性格ではあるのですが、サッカーは勝負の世界なので、そこで誰にも負けたくない気持ちは強くなったかもしれません」

──学生時代に夢中になっていたのはサッカーと…?

「ゲームです。Apex、グランド・セフト・オートはかなりやりこんでました。学校ではサッカー、家に帰ったらゲーム…という生活をしていました(笑)」

──本格的に音楽制作を始めたのは、高校卒業後ですか。

「社会人になって2年くらい経った頃です。友人の影響で僕もギターを始めて、そのあと、DTMで曲を作り始めました。最初はYouTubeに歌なしのトラックを上げていましたが、それはあまり反応がなかったものの、自分で歌ってみたら反響があったんです。それで、歌ありなら聴いてもらえるんだと思い、それからは歌をTikTokやインスタのストーリー、YouTubeショートに投稿していきました。その時は、まだ1曲をフルで作れなかったので、ちょうどショート尺のプラットフォームがぴったりだったんです」

──社会人を経験したことは、今も役立つことはありますか。

「ものすごく役立ってます。社会人としての常識が身についたことはすごく大きかったと思います」

──オーディション番組に参加したのは、2021年の冬でした。

「オーディションへの参加は、すぐに決心できたわけではなかったのですが、これはチャンスかもしれない!と思い切って参加することにしました。番組に参加する前は地声と裏声を混ぜていたのですが、この番組でファルセットが自分の武器になるとわかって。このスタイルに辿り着いたのは、オーディション番組のおかげですし、これがひとつのターニングポイントになったと思います」

──今回の1st Album『凡才』のラストに、オーディション番組でも披露した『Have a nice day』が収録されています。

「アルバムの1曲目『BONSAI』は、初期の頃の楽曲をイメージして、初心にかえることと、いろんな経験を重ねた今の自分を表現しました。アルバムの最後の収録曲には、その対極として、最初にリリースしたこの曲がいいと思ったんです」

──『BONSAI』は、いつ頃制作したんですか。

「今年の2月の始め頃です。本当に最近出来たばかりです」

──歌詞が面白いですね。「見つかんねぇ 何者? 探してる/そうやって 5畳半の部屋に/うっかりと 音符が転がる」というのは実体験?

「5畳半の部屋というのは、岐阜の実家にいたころの僕の部屋で、そこで楽曲制作を始めたんです。上京したのも最近なので、1年ぐらい前まではここで曲を作っていました。これまで、自分の経験を交えた歌詞は書いていなかったのですが、このアルバムをリリースするにあたって、自分のことを振り返ってみようと、初めて自分について歌いました」

──アルバムタイトルに『凡才』という言葉を選んだ理由は?

「特別に歌が上手かったわけでも、楽器が弾けたわけでもない自分が、凡才なりに、どうしたらたくさんの方に聴いてもらえるのかを考えて作った曲が詰まったアルバムであること。そして、海外でも人気のある“盆栽”のように、国内外問わず聴いてもらえたらという気持ちを込めて、このタイトルにしました」

ひとつのフレーズから世界を広げていく

──いつも、どんな時に曲作りをしているんですか。

「岐阜にいた頃は運転中にメロディを考えることが多かったですが、上京してからは散歩をしながら作ることも多いです。家にいるとほかのことをしてしまうので、音楽制作に集中できる環境を作っています」

──車の運転といえば、歌詞にもたびたび使われていますが、新曲の『Rainy Driver』には首都高が登場しました。曲の舞台も東京が増えてきたのかなと。

「この曲は、まず冒頭のメロディが浮かんで、言葉の響きとして“首都高”というフレーズがハマるなと。そこからイメージを膨らませて、雨の日の首都高を走る車中の1シーンを歌詞にしました。なので、東京を想定したわけではないのですが、言われてみると、少しずつ東京を想像した曲が増えてきているのかもしれません」

──1フレーズから広げていくことはよくあるんですか。

「そうですね。CMソングや主題歌はテーマに沿って作るのですが、それ以外は、浮かんだフレーズから膨らませることが多いです」

──音楽は、普段どんなジャンルやアーティストをチェックしていますか。

「テーマが決まってる曲を制作するときは、作りたいものに近い楽曲を大量に聴くので、邦楽も洋楽も問わずにとにかくたくさん聴きます。最近はマーヴィン・ゲイさんやモータウンものをよく聴いています。ソウルやR&Bは僕の声に合う気がするので、歌い方の参考になるんじゃないかと思っています」

──『Shine Out』は4つ打ち、『Rainy Driver』はブレイクビーツを取り入れていましたが、ダンスミュージック系は?

「『Shine Out』は、2010年代のEDMをたくさん聴いていたときに制作した曲です。『Rainy Driver』はUKガラージも最近は好きなので、2ステップを取り入れてみました」

──『NIGHT DANCER』はTikTokでダンス動画がバズりましたが、踊りたくなる曲が多いですよね。そこは意識していますか。

「ハウスやUKガラージが好きなこともあって、トラックはリズムを重視しています。歌も、歌詞の内容よりも語感を大切にしていて、洋楽のように聴いてもらえるように作っているので、ノリやすい曲になってるのかもしれません」

──この19曲の中で特に思い入れが強い曲は?

「やはり『NIGHT DANCER』です。海外の方にも聴いていただけるきっかけにもなりましたし、この曲があったから海外でライブすることもできました。これも、ターニングポイントになった曲です。それから最初にリリースした『Have a nice day』も思い入れが強い曲です。この当時でしか生まれない表現もあると思っていて、当時のファルセットはまだ不安定で、それゆえの儚さがこの曲の良さだと思っています」

──ファルセットといえば、ボイストレーニングをしているそうですが。

「声の使い分けがもっとできるようになりたくて。ライブではパワーがある裏声が必要なので、それを身につけたいですし、ボイトレをすることで地声の音域がどんどん広がっているので、以前より歌える曲の幅も広がりました。最初からファルセットという変化球だったので、今後は地声のストレートでも勝負できるようになれたらいいなと思っています」

──3〜4月に、初のライブツアー『imase Tour 2024 “Shiki”』がありましたが、いかがでしたか。

「初めて訪れる地域もあったのですが、ありがたいことにみなさん待っていてくれて、すごく歓迎してくれました。どの都市も楽しかったですし、ライブの経験を重ねることで、自分なりのライブのやり方も掴めてきた実感があります」

──今回のツアーは、名古屋で始まって最後が岐阜でしたね。

「やはり地元は大切にしたいので。最近は、岐阜にあまり帰れていなかったのですが、友達がみんな来てくれて楽しかったです。同窓会みたいでした(笑)」

──6月からは6都市をまわるアジアツアーも控えています。

「これまで、SNSのコメントなどで海外の方々から、いつ来てくれるの?とメッセージを多くもらっていたので、ようやくツアーが実現できてすごく嬉しいです。今回、初めて行く場所もあるのですごく楽しみです」

リゾートを体験してみたい

──忙しい日が続きますが、プライベートではどうやって気分転換していますか。

「最近はよく買い物をしています」

──好きな街は?

「原宿、青山、表参道あたりにはよく行きます」

──最近、ゲームはしていますか。

「最近は、ゲームをする時間がないので全然できてないですね。オンラインゲームだと地元の友達とも遊べるので、時間ができたら友達を誘ってやりたいなと思っています」

──もし、まとまった休みがあったら?

「まだ人生で1度もリゾート地で過ごした経験がないので、リゾート地に行ってみたいです。ハワイが理想ではありますが、沖縄や温泉地などでゆっくりしたいです。あと、ヨーロッパにも行ってみたいですね」

imase 1st Album『凡才』
価格/
初回限定盤(CD+Blu-ray) ¥4,950(税込)
初回限定盤(CD+DVD) ¥4,400(税込) 
UMストア限定盤(CD+フォトブック) ¥3,850(税込)
タワーレコード限定盤(CD+グッズ) ¥3,850(税込)
通常盤(CD) ¥2,750(税込)
発売日/2024年5月15日(水)
URL/https://sp.universal-music.co.jp/imase/bonsai/

Photos : Maciej Kucia Hair & Makeup : Daisuke Mukai Interview & Text : Miho Matsuda Edit : Naho Sasaki

Profile

イマセimase 岐阜県生まれ。2021年12月に『Have a nice day』でメジャーデビュー。『NIGHT DANCER』は韓国配信サイトMelonでJ-POP初のTOP20入りを果たし、SpotifyバイラルチャートTOP50に31カ国ランクインするなど世界各国でもヒット。「第65 回 輝く! 日本レコード大賞」にて優秀作品賞を受賞。韓国のMMA 2023、CCMA 2023に日本人アーティストとして初出演、初受賞を果たす。初の全国ツアー『imase Tour 2024 “Shiki”』はチケットが即完売。6月からは初のアジアツアー『imase 1st Asia Tour “Shiki”』の開催も決定。

Magazine

JUNE 2024 N°177

2024.4.26 発売

One and Only

私のとっておき

オンライン書店で購入する