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Beauty Item

香水を重ねて楽しむ、香りのシナジー

ペアフレグランスやレイヤリング。2つの香水を重ねるとシナジーが生まれ、親密な香りの楽しみ方ができる。香水評論家の平田幸子が、モダンな香りのシナジーを提案。(「ヌメロ・トウキョウ」2018年7・8月合併号掲載)

1. 時間と香りのシナジー

「季節によって香水の感じ方が異なってくるように、時間によってもその感度は変わります。例えば午前中はシトラスやネロリ系など、キラキラと朝の光を感じさせるフレッシュでライトな香水が似合います。精神的にだんだんと落ち着いてくる夕方は、人との対話や自分ひとりのくつろぎを楽しめる時間帯。フランスでは“パリの宵”と名付けられた香水が誕生するほど夕暮れは特別な瞬間のようで、特に香りは夕方から夜にかけての情景に似合うように作られているそうです。ローズやパウダリーなイリス、華やかなフリージアなど、夕刻は豊かな花の香りと調和するとき。また夜は、愛する人との時間を大切にするときだから、ウッディやシプレー、ムスクなど心に響く香りを」

MORNING

木に例えれば、葉の爽やかなグリーンや果物の部分が朝の香り。シトラスやネロリ系のフレッシュな光を感じさせる香りを楽しんで。

Guerlain

パッションフルーツ、ベルガモット、レモンの目覚めるように爽やかな柑橘の香りがトップに際立ち、ミドルはどこまでも透き通ったアクアノートに。降り注ぐ太陽のように明るい香り。アクアアレゴリアパッシフローラ[75ml]¥8,200/Guerlain(ゲラン 0120-140-677)

Jill Stuart

緑が輝き、花々がみずみずしいこの季節の美しい情景を表現。グリーンブリーズノートが幸福感あふれる花々と混ざり、ほのかな甘みと透明感ある芳香へ。クリスタルブルームブリスフルブリーズオードパルファン[50ml]¥7,500(限定発売中)/Jill Stuart(ジルスチュアート ビューティ 0120-878-652)

Roger & Gallet

青々しいイチジクの葉、透明感あるベルガモット、幸福感を与えてくれるベンゾイン(安息香)が奏でる、煌めくグリーンノート。イチジクの果肉の甘さが時おり顔を出し、フェミニンな印象をプラス。フィグリーフパフュームウォーター[100ml]¥6,000/Roger & Gallet(ロジェ・ガレ 0120-405-000)

Atelier Cologne

カリフォルニアのクレメンティン(みかん)、イタリアのマンダリンオレンジがトップに光を降らして輝き、八角や花山椒のスパイスやサンダルウッド、サイプレスが豊かなフルーティグリーンを生み出す。クレメンティン・カリフォルニア[100ml]¥19,000/Atelier Cologne(フォルテ 0422-22-7331)

DUST

精神的に落ち着いてくる夕刻は、花々の香りを楽しみたい時間。

Issey Miyake

花の深奥から生まれたキラキラ輝く蜜が、洋梨のジューシィな水気を含むトップノートに包まれる。蜂蜜みたいなとろりとした甘みも合わさり、夢中になってしまう香り立ち。ピュアネクタードパルファム[30ml]¥8,300/Issey Miyake(イッセイ ミヤケ パルファム 0120-110-664)

Jo Malone

マリーゴールドのフルーティでアロマティックな側面が、ジャスミンサンバックのみずみずしい自然なトーンと対比。インドの花市場の活気を彷彿とさせる。ジャスミンサンバック&マリーゴールドコロンインテンス[100ml]¥21,500/Jo Malone(ジョー マローン ロンドン 03-5251-3541)

Kai

白いエキゾティックな花々の香りで包み込まれたローズアブソリュート。グリーンノートと一緒に香る、そのさりげなさと清潔感がとてもモダンなローズのフレグランス。オーデパフュームローズ[50ml]¥10,500/Kai(レイジーワークス)

Miller Harris

F・スコット・フィッツジェラルドの小説「夜はやさし」から着想を得た香水。グリーンヒヤシンス、ブラックチューリップ、ローズなど花のミストに包まれた、光と影を合わせ持つ表情豊かな香り立ち。テンダーオーデパルファム[100ml]¥24,000/Miller Harris(インターモード川辺 フレグランス本部)

NIGHT

太陽が沈んだ夜の時間帯は、心に響く香りを楽しみたい。ウッディーや湿気を帯びたシプレー、ムスクがよく似合うとき。

Givenchy

純粋さや高貴さを表す花、マグノリア(木蓮)を中心にジャスミン、ローズの神聖な花々がムスクと優しく溶け合う。素肌に纏いたいまろやかな温かさが魅力。ダリアディヴァンオーイニシアルオーデトワレ[50ml]¥9,500/Givenchy(パルファム ジバンシイ〔LVMHフレグランスブランズ〕03-3264-3941)

Narciso Rodriguez

ナルシソロドリゲスがこだわり続けるムスク。何層にも重なるローズの香りがムスクの温かさに包み込まれ、モダンな気品のオーラを生み出す。フォーハーフルールムスクオードパルファム[100ml]¥15,400/Narciso Rodriguez(ナルシソ ロドリゲス パルファム 0120-110-664)

Bvlgari

軽やかで明るい印象から、ミステリアスで官能的な魅力へと変化するマグノリアのありのままの姿を香水に体現。甘くスパイシーなのに、光輝くカリスマ性を感じさせる大人の女性に似合う香り。スプレンディダマグノリアセンシュアルオードパルファム[100ml]¥17,300/Bvlgari(ブルガリ パルファン事業部 03-5413-1202)

Le Cercle Des Parfumeurs Createurs

2013年にパリで生まれた香水ブランド「サークル・デ・パフューマー」。高貴に香るイリスをサフランやムスクにブレンド。品の良いパウダリーな甘みを帯びた香りが、レザーのように変化する。ア・イリス[75ml]¥12,000/Le Cercle Des Parfumeurs Createurs(フォルテ 0422-22-7331)

2. 同じブランドの“らしさ”をカップリング

「男女がそれぞれの香りを楽しみながら、二人が寄り添ったときに香りが絶妙なハーモニーを生み出すペアフレグランス。そのブランド“らしさ”や“レジェンド”ともいえるメゾンのDNAを調香師は意識して作っているので、同じブランドのフレグランスを選べば、香りが引き立て合い、惹かれ合い、より豊かなハーモニーを演出することができます。ヨーロッパでは、男性が女性の香水を使うなど香水の境界線があまりなく、ペアフレグランスの楽しみ方も日本よりもずっと豊か。人肌を通して香るものが同じ…二人で同じ香水を楽しんでも素敵です。“二人でどこか合わせていく”という、そのセンスを共有して楽しめる感覚も、恋人同士ならではですよね」

Emporio Armani

エンポリオアルマーニから、ミレニアル世代に向けたペアフレグランスが登場。2つの香りが重なり合って共鳴することで、甘いバニラの新しいハーモニーが生まれる設計に。
(右)ジューシィなラズベリーやネロリが情熱的なローズアブソリュートに融合。やがてバニラの甘みが誘惑のリズムを奏でる。ビコーズイッツユー[50ml]¥9,000
(左)カルダモンやピンクペッパーのスパイシーなトップに始まり、爽やかなセージからスモーキーなバニラへと変化。ストロンガーウィズユー[50ml]¥8,000/ともにEmporio Armani(ジョルジオ アルマーニ ビューティ 03-6911-8411)

Maison Francis Kurkdjian Paris

香料の使い方がどこか似ているから、同じ調香師が作った香りは重ねづけビギナーにおすすめ。
(右)調香師は今をときめくフランシス・クルジャン。フィレンツェのイリスと呼ばれるニオイイリスにオレンジ、ベチバーが沈みゆく太陽の温かさを表現。アミリスファムオードパルファム[70ml]¥20,800
(左)水の表情を捉えた新作。エジプト産ジャスミンとイタリア産プチグレンビガラードが、湧き出る泉のような静穏なみずみずしさを香らせる。アクア セレスティア フォルテ オードパルファム[70ml]¥33,000/ともにMaison Francis Kurkdjian Paris(ブルーベル・ジャパン 0120-005-130)

Gucci

ジェンダーやルールに囚われることなく、愛の結びつきは自分で決定するメッセージが込められたアレッサンドロ・ミケーレと調香師アルベルト・モリヤスによるグッチのペアフレグランス。共通香料のゴールデンウッドが二つを結びつける。
(右)ウッディノートを革新的に表現し、どこまでも自由な男性を体現したメンズ用。ギルティアブソリュートプールオムオードパルファム[50ml]¥10,200
(左)神秘的なブラックベリーで幕を開ける、自由な女性のための香水。ギルティアブソリュートオードパルファム[50ml]¥11,500/ともにGucci(ブルーベル・ジャパン 0120-005-130)

3. 香料が奏でるシナジー

「カップリングの楽しみ方として、香水に使用されている香料を軸にフレグランスをチョイスするのも一つの方法。通常、メンズフレグランスにはバジルやベチバー、ベルガモット、サイプレスなど爽やかなハーブが使われていることが多く、最近のモダンな女性用のフレグランスにもグリーンのニュアンスや、どこかキリッとするスパイスの要素が入っています。お料理のときに直感でスパイスを組み合わせるように、香料となる原料が奏でるマッチングを本能的に楽しめたら、香りの世界も広がります。香水の原料のほとんどがハーブや葉、樹液など自然界のもの。本来はけんかし合うことなく自然と調和するので、あまり神経質にならず組み合わせの冒険を楽しんで」

Jo Malone

南国の太陽の光に包み込まれた、温かさと陽気さを漂わせるボディミストとコロン。
(右)ジョーマローン初のボディミストがお目見え。ランの女王カトレヤのフレッシュでエキゾティックなフローラルの香り。カトレヤフラワーボディミスト[100ml]¥6,800
(左)南米を原産とする、甘くクリーミーなチェリモヤは香り高い果物として有名。太陽あふれるパッションフラワーと溶け合い、美味しそうな心そそられるグルマンな香りに。トロピカルチェリモヤコロン[100ml]¥16,800(ともに限定発売中)/ともにJo Malone(ジョー マローン ロンドン 03-5251-3541)

Kenzo&Muscet Madame

全く違うテイストでも原料の由来が同じであれば、どこか同じハーモニーを香らせることができる。
(右)「ケンゾーワールド」シリーズの新作は、眩しいほどのピオニーと陽だまりみたいに暖かなアーモンドブロッサムがキー。光に満ちた明るさとフレッシュ感。ケンゾーワールドオーデトワレ[30ml]¥6,800/Kenzo(ケンゾーパルファム〔LVMHフレグランスブランズ〕 03-3264-3941)
(左)イランイラン、ジャスミン、ベルガモット、アーモンド、バニラなどの濃密な官能性にタバコの香りが時々顔を出す。YlangTabac[50ml]¥15,500/Muscet Madame(ミッドタウンプロジェクト 03-6455-4367)

Tiare Ala&Molton Brown

太陽の光が眩しい澄んだ海を想起させる2つの香りの共通の原料は、サンダルウッド。
(右)風や海を感じさせるラベンダーの穏やかさに、バニラとサンダルウッドが温かい甘みを添える。ボトルにはアクアマリンの天然石入り。植物由来100%の香水。フレグランスリラクシングノート[14.5ml]¥2,600/Tiare Ala(アマラ 03-6804-2822)
(左)ココナッツ、ジャスミン、サンダルウッドのフローラルオリエンタルなボディローション。しっとりなめらかな肌へと整えて。ココ&サンダルウッドボディローション[300ml]¥5,400/Molton Brown(モルトンブラウン ジャパン 03-3660-7996)

夏に煌めく新作フレグランス

Profile

平田幸子(Sachiko Hirata)フランス調香師協会日本支部会員。香水評論家の父、平田満男氏の後継者として香りの専門誌『パルファム』の編集長を務める。主な著書に『香水ブランド物語』(学習研究社)、『香水の本――香りへの招待』(新潮文庫)ほか。3ヵ月に1度、パルファムレクチャーサロンを開催。詳しくはHPにて。

Cutout Photos: YujiNamba Edit&Text: HisakoYamazaki

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