ファッションとバレエが融合した夢のような舞台「BALLET TheNewClassic」
先日3日間にわたり上演されたクラシックバレエのガラ公演「バレエ ザ・ニュークラシック(BALLET TheNewClassic)」にご招待いただいたので、衣装にフォーカスしながらレポートしていきたいと思います!
こちらのバレエ公演は、高貴なイメージのバレエを世界的なダンサーやファッション界で活躍するクリエイターが再解釈し、新しいバレエの世界観「The New Classic=新しい定番」を提案するためのプロジェクト。キャストとして名を連ねるのは、今回舞台監修をしたKバレエカンパニーのプリンシパル・堀内將平さんや日本を代表するプリマ・中村祥子さんなど、今を代表する個性豊かなダンサーたち。クリエイターチームは小誌でもお世話になっているヘアのKENSHINさん、メイクの鷲巣裕香さん、衣装デザインは「Chika Kisada」のデザイナーを務める幾左田千佳さんです。
まず会場に入ると真っ白な長方形の舞台が。いわゆるバレエの会場はステージと客席の間にオーケストラピットがあり、ダンサーと観客が切り離された空間なのですが、本公演ではフラットステージで距離も近い! そんなサプライズに、始まる前からドキドキです。
1部はそれぞれのダンサーが輝く作品がラインナップされたプログラム。『眠れる森の美女』のローズ・アダージョは、渋めのピンクに身を包んだオーロラ姫が登場。普段のオーロラ姫の衣装は白いチュチュに淡いピンクの色が乗ったピュアなイメージなのですが、一発目から予想の斜め上を行くクリエーションに驚きました。ビスチェも煌びやかな装飾がなくマットなピンクに構築的なデザイン。ヘアメイクもピンク縛りで、どこか今っぽさを感じます。
こちらは『ジゼル』のパ・ド・ドゥ。ジゼルの白のロマンティックチュチュは、さまざまな長さのチュールがミックスされていて踊った時のシルエットが美しい……チュチュの下にはレースのグローブ付きトップをレイヤードしており、もうジゼルに触れることのできない切なさを感じます。アルブレヒトの衣装もふわっとしたチュール素材で、2人が重なった時のシルエットが綺麗で思わず鳥肌が立ってしまいました。
『瀕死の白鳥』は真っ白なクラシックチュチュ。ハリのある生地感で、生へ強い意志を感じます。よく見るとPVC素材のビスチェを重ねており、立体的なデザインでスタッズの装飾も。死に瀕した白鳥の2分ほどの演目ですが、ロックな人生(鳥生?)だったのかなと勝手に想像してしまいました。
1部では古典の他に、『HOMEM』『Moment in Time』『ボレロ』とコンテンポラリー作品も。 フラットなステージなのでバレエダンサーとの距離も近く、ダンサーの息遣いや、身体や衣装の織りなす音までも鮮明に聞こえます。
なかでも、二山治雄さんの踊る『ボレロ』は圧巻! 円形ではなく四角い舞台で踊っているのも新鮮です。まるで袴のような黒のワイドパンツと美しい肉体が相まって、存在がアート作品のよう。生命力を表現する力強い踊り方ながらも、どんなに高く跳んでも着地の際には無音。身体の軸の強さに驚愕してしまいました。
そして2部の『ライモンダ』は11名が総出演する前代未聞の演出。難易度の高いバリエーションが多く盛り込まれていて、華やかなフィナーレとなりました。女性はボディにボーンが立体的に張り巡らされ、男性はショルダーコンシャスなデザイン。最後まで抜かりなく幾左田さんらしいアプローチです。
幾左田さんのバレエ経験とモダンな解釈、そしてKENSHINさんと鷲巣裕香さんの抜け感のあるヘアメイクでそれぞれのキャラクターに親近感が沸いたガラ公演となっていました。
また『眠れる森の美女』や『瀕死の白鳥』のビスチェは個人的に欲しい…。Tシャツやドレスにレイヤードしたいなと、勝手に妄想しております(笑)
実は私、バレエが好きでバレエ公演をよく観に行くのですが、衣装やヘアメイクでここまで印象が変わるとは驚きでした。大きな舞台があり、壮大なオーケストラの演奏、煌びやかな衣装、キツく縛ったシニヨン、キリッと引いたアイラインといったこれまでのバレエの概念を、モダンな解釈で良い意味で覆された「Ballet TheNewClassic」。今までになかったバレエ公演で、バレエとファッションが融合した素晴らしいスペクタクルでした!
そして「Ballet TheNewClassic」の衣装監修を手がけた幾左田千佳さんのポップアップストアが開催決定。なんと実際に使用された衣装が展示されます。
この機会をお見逃しなく!
BALLET TheNewClasiic Official Photo by Hidemi Seto, Fukuko Iiyama, Yuji Aizawa
Chika Kisada × MIDWEST TOKYO POP UP
会期/2022年8月26日(金)〜9月4日(日)
場所/MIDWEST TOKYO
住所/〒150-0041 東京都渋谷区神南1丁目6−1
営業時間/(月〜土曜日)12:00〜20:00 (日・祝日)11:00〜19:00
定休日/木曜日