07
Culture Post

ヨシダナギが選ぶおすすめの本
活字嫌いの人生を彩った一冊

さまざまな分野で活躍するクリエイターやアーティストに聞いたとっておきの一冊。

Photo:Kouki Hayashi  Interview & Text:Miho Matsuda

『BEFORE THEY PASS AWAY 彼らがいなくなる前に』ジミー・ネルソン/著 ¥4,200(パイ インターナショナル)

アフリカ少数民族のファッション写真

小さな頃から、私にとってアフリカ人はスターです。2009年から現地で少数民族を撮り始めたのも、アフリカの貧困をジャーナリズムとしてフォーカスするのではなく、もっと彼らの格好よさを広く知ってほしいと思ったから。どうしたらアフリカに興味のない人にも届けられるのだろうかと模索していた3年前、友人に教えてもらった写真集がジミー・ネルソンの『BEFORE THEY PASS AWAY』でした。

その頃、少数民族の魅力を広く伝えるためにポートレイト風など様々な方法に挑戦していたのですが、そんな時に見たジミー氏の写真が、心の中でシミュレーションしていた表現に最も近いものでした。ジャーナリズムとしてではなく、ファッション写真のように撮ってもいいんだと背中を押されたような気がしました。学術的にまとめた彼と違うことをするのなら、私はもっと奥地へ行けるし、アフリカ人との距離を縮めることができる。自分なりの色彩感覚で作品に仕上げるから、ジミー氏とは違うアプローチで私なりの表現ができるんじゃないかと試みて、現在の作風に至ります。

この作風になってから、アフリカに興味がなくてもファッション写真の感覚で写真展に足を運んでくれる人が増えました。私が撮影するときには、彼らの普段の仕草、普段の癖、例えば後ろ重心で立つ時は右足なんだと観察してポージングをつけるので、装飾品まで気にしていないこともあるんです。写真展に訪れた人は彼らの表情から、服、装飾品までじっくり見てくれる。文化として捉えてくれるのでうれしくなります。

私はもともと読書が苦手で、ページをめくることすらつらいので、写真集もほとんど手に取りません。つい先日、あまりにフライト時間が長すぎて、人生で初めて1冊まるごと完読できたくらい。そんな私がこの本に出合えたのは奇跡のようなもの。ジミー氏にはまだ直接お会いしていませんが、勝手に恩人だと感じています。

テーマにまつわるその他の3冊

『ナチュラル・ファッション 自然を纏うアフリカ民族写真集』
ハンス・シルヴェスター/著 ¥2,200(DU BOOKS)
「エチオピアには80以上の民族が存在し、12回訪れてもスリ族の存在を知らなかった。妖精みたいな民族がいるなんてと衝撃を受けた一冊」

『岡崎に捧ぐ 3』
山本さほ/著 ¥787(小学館)
「現代版『ちびまる子ちゃん』。長距離フライトがつらくて空港で購入。作者と同世代だからゲーム名や遊び方に懐かしさを感じる」

『ブスの本懐』
カレー沢薫/著 ¥1,000(太田出版)
「カレー沢薫さんとはひねくれ方が似ている気がして、人生で初めて完読したのも彼女の本。気持ちのいい毒の吐き方を学べる」

Profile

ヨシダナギ(Nagi Yoshida) 1986年生まれ。フォトグラファー。独学で写真を学び、09年にアフリカへ。現在はアフリカをはじめとする少数民族の作品を発表。2017年5月〜6月、松坂屋名古屋店、西武渋谷店で写真展「HEROES」開催。nagi-yoshida.com

Recomended Post