新木優子インタビュー「壁を乗り越えることで自信がついた」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出合い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。新木優子のビフォー&アフター。(「ヌメロ・トウキョウ(Numero TOKYO)」2019年3月号掲載)
──放送中の月9ドラマ 『トレース〜科捜研の男〜』 では、新人研究員の沢口ノンナを演じています。錦戸亮さん演じる科捜研の先輩・真野礼二と事件を解決していきますね。
「科捜研の中だけではなく、被害者に直接会い気持ちに寄り添って真実を追求する役柄です。真野は感情の見えないミステリアスなキャラクターですが、内側には事件解明への情熱を持っています。最初は真野に振り回されていたノンナも、彼の情熱に触れて尊敬する先輩であり、相棒のような、なくてはならない存在になっていくと思います」
──『SUITS/スーツ』に続いて、月9に連続出演になります。
「初めて月9に出演したのが2017年の『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 3rd season』だったので、今回、3回目の月9になります。きっと、10年前の自分に将来こうなるよと教えても信じないでしょうね(笑)。数年前には考えもしなかったことが今、起きている感覚です」
──10年前というと、女優としてデビューされた時期ですね。
「そうですね。その頃も一生懸命だったけど、たくさんお仕事があったわけでもないですし、学生との二足のわらじでどこか部活のような感覚で、ただ楽しんでお仕事をしている感覚でした」
──女優として生きると決心したのはいつ頃だったんでしょうか?
「『女優』というより、この世界で生きていこうと決めたのは高校卒業の少し前でした。高校を卒業すると、それぞれ進学か仕事か、進む道が分かれますよね。その時の私には、芸能界で生きていく自信はありませんでした。特に芸能界は努力が必ずしも実るとは限らない世界です。でも、進学しても学業と仕事が両立できるのか不安もあって、すごく迷っていたんです。結局、大学に進学して学生を続けながらお仕事にも挑戦して、この4年間で結果を出そう、そこで目標を見つけられなければ、もう女優は諦めようと決めたんです。それからは仕事への姿勢も変わりました」
──より真剣に仕事に取り組むようになったんですね。
「仕事への意識が変わりました。例えば、それまでは役のオーディションに受からないとスタート地点に立てないと思っていたけれど、もしオーディションの10分しか演じられなくても、そこで得るものがあるから、オーディション段階からより役を深く考えて演じるようになりました。もし落ちても、失敗を積み重ねることで成功につながりますから」
──その積み重ねが今回の月9連投につながったんですね。今回の沢口ノンナは科捜研に入所したばかりの新人ですが、女優を始めた頃の自分と重なることは?
「演技レッスンを始めた頃、付いていくのにやっとだったり、一生懸命やっているのに失敗して怒られてしまったり、必死だった自分を思い出しながら演じています」
──その頃に比べたら、今は気持ちに余裕もあるのでは?
「でも、要求されることも高度になって、できて当たり前と言われることも増えていくので、年々難しくなると感じています。ここ数年、他の人と比べて『あの人はできるのに、どうして自分はできないんだろう』と焦ったこともあったんです。でも、昔に比べれば成長していると気付いてからは気持ちが楽になりました。以前、小栗旬さんとドラマで共演させていただいたとき、『小栗さんも緊張することがありますか?』と聞いてみたんです。そしたら『俺はない』とおっしゃっていて(笑)。だからこそ自然体なんですよね。私は自分のことで精一杯になってるときがあるので、そんな時は、『頑張れ自分!』と自分で励ましています」
──小さな頃から真面目なタイプ?
「よく真面目すぎると言われます(苦笑)。力の抜き方がわからないので、いつも無我夢中でやるしかなくて。きっと不器用なんですね。気を張りすぎないことを覚えたいとは思うんですが」
──現在、モデルとしても活躍していますが、女優は別のものですか?
「商品をいかに素敵に伝えるかがモデルの役割だとしたら、女優は自分の中からキャラクターを生み出して共感してもらうものだと思っています。モデルでも、学生や恋愛などシチュエーションのある撮影は、女優の経験を生かすこともありますが、基本的には別です」
──これからも女優とともに、モデルも続けていくのでしょうか。
「私自身ファッションが大好きで、新しい服を着たり、ショーを見たり、モデルは生きる楽しみにもなっているので、その役割をいただけるなら、ずっと続けられたらと思っています」
──毎日とても忙しいと思いますが、オフのリラックス方法は?
「家にいるより外出することが多いです。犬を飼っているので、よくドッグランに行きます。幼なじみが飼っている犬とうちの犬齢が半年違いなので、一緒にいろんなドッグランに行って遊ばせています。もはやママ友ですよね(笑)。東京では大型犬、中型犬、小型犬とエリアが分かれているのに、都心を離れるとみんな一緒だったり、時間帯によって来ている犬もいろいろだったり。自分の犬が楽しそうにしているのを見て、私も癒やされています」
──2018年12月で25歳となり、大人と呼ばれる年齢になりましたが。
「それがまったく実感がなくて。20歳の頃、25歳はすごく大人だと思っていたけど、そうでもないですね(笑)。20歳から25歳までは、失敗や失望、悔しさをたくさん経験して、壁にもたくさんぶつかりました。大変でしたけど、でも、スムーズな人生よりも、自分には良かったと思うんです。壁を乗り越えることで自信がついて、成長を実感することができました。でも、もう少し余裕を持ってアラサーを迎えたいです(笑)」
──大人の女性には、仕事、結婚、出産をどうするかという問題も出てきますよね。
「まだ先だと思いますが、仕事も続けたいし、女性としての人生も楽しみたい。これまでは自分のことで精一杯でしたけど、ひとりで自分の人生を謳歌するだけでなく、いつかは誰かと支え合う人生を送りたいし、家族を持ったら、家族に自分の人生を捧げたい。きっと、自分の環境が変わることで、いただける役も変わってくると思うんです。今はそういう変化も楽しみにしています」
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Photo: Masato Moriyama Styling: Natsuki Takano Hair&Makeup: Tomoe Nakayama Interview&Text: Miho Matsuda Edit: Sayaka Ito, Saki Shibata