小泉孝太郎の決意
「芸能人として生きようと決めたんです」
自分自身の今に影響を与えた人物や、ターニングポイントとなった出来事、モノ、場所との出会い。それをきっかけに変化し成長した自分を振り返る。小泉孝太郎のビフォー&アフター。
──これまでの俳優人生を振り返ってみて、今の思いは?
「積み重ねが大事だと思います。今年38歳になりましたが、この世界で充実した30代を過ごせるのは本当に幸運なこと。30代って社会の枠組みからいうと、新人でもないしベテランでもない中途半端な年頃じゃないですか。でもそんな時期に、やりがいのある面白い役をたくさんいただけています。演じる難しさはありますけど、喜びもひとしお。その意味で悪役をいただけるようになったのはとても大きいし、もし20代で俳優人生が終わっていたら、篠田のような役には巡り合えなかった。ここ2年ほど、自分はすごく幸せだと実感しています」
──最近では俳優だけでなく、リオデジャネイロ・オリンピック番組のメインキャスターなど、違うジャンルにも挑戦していますね。
「役者以外の仕事も増えましたね。MCは役者の仕事と全く違うのが面白いです。役者の仕事は作家が書いた脚本を自分の言葉にする作業ですが、MCでは自分の言葉だけが頼り。いただいた言葉を自分の言葉にする面白さと、自分の言葉で勝負できる面白さ、どちらも楽しんでいます。まさかMCのオファーが自分に来るとは思ってもみなかったし、できるとも思いませんでした。今でもなぜ僕に来るのかが不思議です。ただ一つ、30半ばを過ぎて、意識が大きく変わったのは事実。俳優としての自分にこだわりもありますが、芸能人として生きてみたいという気持ちが出てきました。ドラマの忙しさは並大抵でなくて、撮影に入る前に準備すべきことも多く、撮影は朝から晩まで長時間にわたります。その上、バラエティ、ラジオ、スポーツ番組に出るとなると、忙殺されてしまって、俳優にこだわるのであれば、両立はできない。もっと大きな目で見ないとやっていけないなと。そのとき、芸能人として生きようと決めたんです」
──俳優業だけに特化しなかった理由は?
「やはり、人とのご縁でしょうか。未知の領域で成功するかどうかわからない僕に賭けてくださった。それならお引き受けしたいという気持ちが強いです」
──最近、プライベートで刺激になったことはありましたか。
「オリンピックの素晴らしさを肌で経験できたことは、一生の財産だと思いました。最初は不安もありましたが、原地で生で見たら、なんて素晴らしい祭典だろう!と。東京オリンピックについて、金銭面などいろいろと物議を醸していますが、オリンピックとサッカーのワールドカップは、国力があるなら開催したほうがいいと実感しました。選手たちが試合にひたむきに取り組む姿に、毎日が感動の連続でしたし、自分の意識を大きく変えてくれた。4年後に東京で開催すると思うと、心が躍ります。日本でみんなと共有できる日が待ち通しいですね」
Photo:Yasuyuki Ishii
Styling:Katsuhiko Kitamura
Hair & Makeup:Takeshi Ishikawa
Interview & Text:Maki Miura
Edit:Saori Asaka