世の中に渦巻くありとあらゆる“不都合”な出来事や日常の些細な気づき、気になることなどをテーマに、人気クリエイターのパントビスコがゲストを迎えてゆる〜くトークを繰り広げる連載「パントビスコの不都合研究所」。第21回は、映画『禍禍女』で映画監督デビューを果たしたゆりやんレトリィバァが登場!

パントビスコ「こんにちは、今日はお会いできてうれしいです。よろしくお願いいたします」
ゆりやんレトリィバァ「こちらこそ、本当にありがとうございます。いつも見てます! あ、そのスウェットは!?」
パントビスコ「はい、ゆりやんさんを描いてみました」
ゆりやんレトリィバァ「めっちゃ可愛いです!ありがとうございます!」

パントビスコ「まずお互いの似顔絵を描いていただきたいのですが、お願いできますか」
ゆりやんレトリィバァ「はい、うれしいです!お願いします」
パントビスコ「先ほど撮影のときにメガネをかけていらっしゃいましたけど、役割によって切り替えているのですか?」
ゆりやんレトリィバァ「そうなんです。映画監督を真面目にやったということで、普段の私とは違って見えるように、メガネをかけることにしたんです。ビートたけしさんが映画監督のときは、北野武さんになるじゃないですか。私は本名の吉田有里にすると、ちょっと字面とかに弱みが出るので」
パントビスコ「杉本高文さんみたいな感じですよね?」
ゆりやんレトリィバァ「そうです、そうです。(明石家)さんまさんですね。本名とかお詳しいんですね」
パントビスコ「はい。僕もお笑いが好きなので」
ゆりやんレトリィバァ「本当にそれは感謝いたします!」
似顔絵完成!

(左)ゆりやんレトリィバァが描いたパントビスコ
(右)パントビスコが描いたゆりやんレトリィバァ
「ありがとうございます!めちゃくちゃうれしいです!! 夢のようや」
「恐れ入ります。僕はちょっとプロレスラーみたいですね。ありがとうございます」
恋バナがホラーに!? 初の監督作誕生のきっかけ

「まずは映画のお話からお伺いしましょうか。今回、ゆりやんさんが監督された『禍禍女』を拝見しましたが、本当に素晴らしい作品でした。フラットに拝見したいなと思って事前情報を一切入れずに観たら、度肝を抜かれたと言いますか。これはジャンル分けするとしたら、ホラーになるんですかね」
「そう言っていただけてうれしいです。そうですね、ホラー映画ですね」
「ゆりやんさんの普段の振る舞いや活動からすると、真逆なジャンルのように思えるのですが、映画を作りたいと思ったきっかけは何だったんでしょう」
「ずっと映画が好きだったので、映画監督になりたいですっていうのを、5年ぐらい前にテレビで言ったんです。生意気なんですけど。そしたら、たまたまプロデューサーの高橋さんが見てくださってまして、すぐに吉本にお電話くださったんです」
「えぇ、直接ですか?」
「そうなんです。めっちゃスピーディーで。それで、高橋さんとお会いして、原作なしでオリジナルの映画を作るとしたら何にしますか、ということで。私は元々ホラーは好きだったんですけど、やっぱり自分が熱もって喋れることって、当時は恋バナだったんですね」
「そんなイメージはあります」
「それで、今こういう人が好きでとか、振り向いてくれなくて、前はこんなんで、あんなんで…て言って恋バナしてたら、高橋さんが『それホラーです』と(笑)。そこで、じゃあ自分の実際の恋愛を元にしたホラー映画にしましょうっていうことになりました」
「でも確かに、ネタや普段の発信の中で、たまに垣間見える闇というか、失礼なんですけど人間の怖さとか憎さとか。そういうところが割と随所に見られたので、それがめちゃくちゃ良かったです」
「うれしいです!ありがとうございます」
「あと場面がめちゃくちゃ多いですよね。撮影ってどのくらいかかったんですか」
「撮影自体は1カ月ほどでした。結構お時間をいただけてたと思うんですけど、時間はあんまりなかったです」
「映画監督だけではなくて、別の仕事もやられている中で、どうやって時間を捻出して作ったのかなと、制作サイドの思いも気になって」
「最初は5年前からスタートしたんですけども、1〜2年は高橋さんと脚本の内藤瑛亮さんと3人でただ恋バナだけをするような時間がありまして。そうやって形作って、そこからメンバーが増えていきました。脚本を固めて。ロケハンと言いますか、場所を決めたり、キャスティングしたりとかありましたので、この何年かはもうほとんど監督業だけをやらせていただくっていう感じで」
「そうだったんですね。それはやっぱり必要なときだけ行くのではなくて、キャスティングだったりオーディションだったりもゆりやんさんが入って」
「そうなんです。原案から仕上げまで全部一緒に携わらせていただきました」
「だから、濃度が濃い作品だったんですね。すごく納得できますね」
振られて出た言葉は「R-1チャンピオンですよ」
「映画のコピーにも『復讐劇』と書かれていますけど、それを描きたかった理由ってあるんですか。好きなのに、復讐してやれというか」
「あります。最近気づいちゃったんですけど、恋愛って2人でするものなのに、私の場合、よく考えたら全部片思いだったんです。なんでずっと好きなのに振り向いてくれないんだろうっていう。たとえば3年間片思いしたなら、この3年間、自分の中の心の紆余曲折があるんですが、人から見たら全く何も進んでない(笑)。その心だけで言うと、勝手に恋愛をしていたっていうことがまずあって。そんな中で自分を振った人に対して、いかに私を振ったことが間違っていたかっていうのを言いたかったんですね」
「なるほど」
「昔振られた人にも『いいんですか?』と。映画の中にも『私にしかこんなことできないよね』っていうセリフがあるんですけど、私振られたときに『R-1チャンピオンですよ』って言いました(笑)。『このあと誰と付き合うか知りませんけど、誰か好きになった女性に、R-1グランプリエントリー料の2000円あげるから、握りしめていってください』って。『1回戦2分間のネタやって、どうせ舞台上でスベって顔真っ赤になって、ネタ飛んで泣いて帰ってくるだけですよ』って言ったんです」
「(笑)」
「そしたら、『いやいや、好きな彼女にそんなお笑いとか求めてないから』って言われて振られたりとか。いかに自分が振ったことが間違ってたか、それを知らしめたいという思いでこういう復讐映画を作りました」
「いや、面白い。世界で1人しか言えない言葉ですね。」
「(笑)。あとはだいたひかるさんと…」
「そうですね、初代チャンピオンだ」
「結局出来上がったものを観て、間違っていたのは自分だったというのに気づきました」
「そうなんですね。過去の好きだった人に観てほしいとかありますか? それとも観てないでほしいとか」
「ぜひ観ていただきたくて、何人かに観てもらったんです。そしたら、皆さん怖かったとか言ってくれる中で、私が元々好きで追いかけてた人たちは、口を揃えて懐かしかったと。『めっちゃゆりやんやったわ』っていう風に言ってくれました(笑)」
「本人と重なったんですね。それはリアリティがありますね」
不都合だらけのトイレ事情

「そろそろ不都合の話に移ってもいいですか。世の中で不都合に感じることってありますか。僕も復讐ということでちょっと考えたんですけど、割と自分は道に外れずにというか、どちらかというと真面目に生きてきたつもりなんです。例えば、小中高とかに、悪い人がいるわけじゃないですか。ヤンキーとかそういう人たちって、やっぱりやったもん勝ちというか、当時悪さしたりとか、人のものを取ったりとかっていうのが、なぜか許されて、被害者だけが重荷を背負って大人になるのが嫌で」
「(笑)。私、パントビスコさんの大好きなところの一つ、多分そういうところで。我々大人になってもヤンキーに対してまだ少し恨みとかあるじゃないですか。学生時代にそういう思いをしてきたからこそ、大人になってアートにしたりとか、なんかそういうのに繋がってて、めっちゃ良かったって思います」
「だから僕も、映画の中で粋がってたやつらが制裁を加えられるのがすごく爽快でした」
「(爆笑)」
「現実では『憎まれっ子世にはばかる』じゃないですか。何も制裁を受けずに、成功したり。僕が小学校の頃に周りをいじめてた奴がいて、今何してるんだろうなってネットで検索したら、怪しいソーラーパネル売ってました。いい業者もいますよ。でも確実に老人を騙すタイプの感じでした」
「やっぱり(笑)。一時的には得してるように思えますけど、きっと我々がそっち側だったら、そのまま何も進化とか気づきもせずに、そういう怪しげな方に行ったりしてるかもしれないですよね。そういう意味では、実は長い目で見れば非常に制裁加えられてるのかも」
「そうですね。ちゃんとした輪には入れないというか」
「中学生のときに、いじめっ子がいたんです。最近それこそ私も何してるんだろうと思って、instagramを調べたんです。そしたら、まぁもちろん鍵アカウントだったので、内容は見れなかったんですが、プロフィールだけ見たんです。趣味が、クックパッドを見て料理することとかやったら素敵やと思うんですけど、『クックパッドを見ること』。見るのみ(笑)」
「作らないんだっていう。でも、それを知ってほしいんですよね、その人は。クックパッドを見る私を知ってほしい。超トリッキー。そういう人にもぜひこの映画を観ていただきたいですね」
「そうですね、観ていただきたいです」
「あの、不都合思い出しました。施設のトイレとかで、ドアを開けたとき、そのドアと便座の間がめっちゃ狭くて、1回膝が便座に当たるの、あれめっちゃ嫌なんです」
「わかりますわかります。ちょっと小さいカフェとか飲み屋とかもありますよね。あれって外開きダメなんですかね」
「そうですよね。なんでや。トイレ得意でないですよね?」
「得意じゃないです。トイレに得意・不得意ないと思います(笑)」
「めっちゃ早い人いるじゃないですか。私はまず便座を開けるときにトイレットペーパーで触って開けて、便座に敷くんですけど、ズボン下ろしたときに敷いてたトイレットペーパーが風でふわって落ちて、またもう1回やらないといけなくなっちゃうんです」
「しかも小さいお店だったら男女兼用で。出ようとしたら鍵の部分がびしょびしょになっていることがあります」
「やだぁぁぁ。あと、トイレットペーパーがなくなって、次の人が待ってるときにこの人が拭いてないって思われたら嫌なんで、カラカラカラとやります(笑)。トイレ苦手です」
「トイレだけでも不都合がいっぱいありそうですね。映画にもトイレのシーンがありましたし」
「そうでした。尿量が多いです(笑)」

『禍禍女』
監督/ゆりやんレトリィバァ
脚本/内藤瑛亮
出演/南 沙良、前田旺志郎、アオイヤマダ、高石あかり、九条ジョー、鈴木福、前原瑞樹、平田敦子、平原テツ、斎藤 工、田中麗奈
全国公開中
https://k2pic.com/film/mmo
配給/K2 Pictures
©︎2026 K2P
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Photos: kisimari Edit & Text: Yukiko Shinto
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