パントビスコの不都合研究所 vol.19 西野七瀬 | Numero TOKYO
Culture / Pantovisco's Column

パントビスコの不都合研究所 vol.19 西野七瀬

世の中に渦巻くありとあらゆる“不都合”な出来事や日常の些細な気づき、気になることなどをテーマに、人気クリエイターのパントビスコがゲストを迎えてゆる〜くトークを繰り広げる連載「パントビスコの不都合研究所」。第19回は、俳優の西野七瀬が登場!

パントビスコ「はじめまして、パントビスコと申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします」

西野七瀬「西野七瀬です。よろしくお願いします!」

パントビスコ「開始早々すみませんが、対談の始めにお互いの似顔絵を描き合う決まりになっておりまして。似顔絵は記事の中でアイコンとして使います」

西野七瀬「わかりました!」

似顔絵、完成!

(左)西野七瀬が描いたパントビスコ (右)パントビスコが描いた西野七瀬

(パントビスコ)「わぁ、すごくお上手ですね! 帽子のツバのめくれもきちんと表現していただいて。帽子にこだわりがあるのでうれしいです」

(西野七瀬)「ありがとうございます。ちょっと難しかったです(笑)」

“感情を持たない”役柄を演じてみて

「西野さんが今回出演される映画『君の忘れ方』を拝見しました。事前情報を全く入れずに拝見したのですが、本当に素晴らしい映画でした。いろいろな受け取り方ができる作品だと思います。西野さんの役柄は、主人公の亡き恋人・美紀役ですが、ちょっと不思議な立ち位置ですよね。演じるのも大変だったのではと思うのですが、いかがでしたか」

「そうですね。“幻影”なので、感情を持たないということが、やっぱり今までやったことがない経験だったので、難しかったです。動きに関しても、ゆっくり動いたり、瞬きをしなかったりとか、できることをやろうと思って挑戦しました」

「冒頭や回想シーン以外はほとんどセリフがなかったのも印象的でした。撮影は飛騨と高山をメインにロケをされたと伺いましたが、僕も大好きで何度も行ったことがあるんですよ。ロケーションも素敵でしたし、ああいう静かな中で物語が紡がれるのがとてもよかったです」

「本当に素敵なところでした。この作品は派手な出来事が次々と起こるわけではないのですが、ずっと目を離さずに観続けられると思います」

「映画の作りがすごく丁寧だったんですよね。順を追って、ただすんなり観れるというより、都度考えさせられるというか。これはどっちの考えなんだろうとか、どういう気持ちなんだろうっていうのを考えながら拝見しました。映画のタイトルにもなっている『忘れ方』ですが、西野さんは傷ついたときや喪失感を味わったときは、どのように向き合っていますか?」

「あまり引きずらないですね。ちょっと嫌なことや悲しいことがあったとしても、きっと自分に必要な時間なんだろうなって思うようにしているので、素直に受け入れて、あとはもう楽しいことをします(笑)」

「それは素晴らしい!」

「あまり後悔もしないタイプです。大阪ということもあって、母親がたとえば家電とかを買ってきたあとに、その後ネットでもっと安く売っているのを見て、嘆いていたり(笑)。反面教師じゃないですけど、『私だったら全然振り返らないのにな』っていうのは今でも続いてます。気持ちはわかるんですけど(笑)」

断捨離できる派? できない派?

「自分は物に固執することがあって、なかなか物を捨てられないんですよ。西野さんはそういうのありますか? 物に執着したり、捨てられないとか」

「結構断捨離はできる方なんですけど、中学生のときに買ったマフラーやハンカチはまだ捨てられないです」

「そうなんですね。平気で断捨離できるものと、残しておきたいもの明確な違いってあるんでしょうか」

「なんだろう。でも、そのマフラーとハンカチも、もうそんなに使っていないんですよ。今探してもなかなかなさそうな色で、かといって今の自分の服に合わせられるわけでもなくて。捨てようかどうしようかって考えるタイミングが何年かに一回来るのですが、何度も乗り越えてます(笑)」

「僕は断捨離できない派なんですけども、断捨離できる派の方にいつも質問しているのが、それって別に捨てなくても置ける場所なんてあるじゃないですか。自分の家とか、ご実家だったりとか。なのに、なんで捨てるか迷うんだろう。置いとけばいいのにって思っちゃうんですよね」

今でも愛用しているなら多分迷わないんですけど、そんなに使っているわけでもないので……。定期的に断捨離するぞってなったら、全部がその対象になるんです」

「オーディションをするんですね」

「全部1個ずつ見ていきますね」

「僕もイラストを描いているので、作ったグッズがどんどん増えていくのですが、ご自身が関わったイベントやグッズってどうされてますか?」

「実家に送ったりしていますね。Tシャツとかだったら、お父さんが着てたりします。私も着てたりするので。小物だったら多分実家の私の部屋に置かれていますね。漫画もやっぱり重たいし、どんどんデジタルしているので、手元にはなるべく物を少なくしていたいなと思います」

「勉強になります! 本当に物が捨てられないので、ちょっと参考にしよう」

ポジティブなフィルターを通して話す

「映画の中でも、グループカウンセリングが出てきたり、グリーフケアもテーマになっていますが、西野さんは仮にお友達が辛い思いをされていたとして、そういうときって積極的に察して声をかけるタイプですか」

「私は自分からいけない方ですね。周りの子も似たような感じの子が多いので、そもそも感知できないっていうのもあります。ポジティブじゃない話をするときには、1回ポジティブなフィルターをかけて、笑いながら話すのが、私もそうだし周りの子もそうなんです。だから、本当にズンと落ち込むみたいな時間って、あんまり経験したことないんですよ」

「なるほど。接し方に答えはないですからね。それで救われる方もいっぱいいるでしょうし」

「この連載のテーマが“不都合”なのですが、日常生活で何か不便に感じることってありますか」

「う〜ん、なんでしょう。絶対あるんだけどな」

「じゃあ、僕から1個だけいいですか。インスタを見てていいなって思うお店の住所を見ると、本町1-2-3とかまでしか書いていないことがあるんです。どこの都道府県かもわからないので、せっかく行きたいのにやめたってなります。それでお客さんを逃している部分もあると思います」

「そうなんですね。あ、不都合かわからないですけど、起きると布団がぐしゃぐしゃになっていることがあって。余力があるときはきれいに整えますけど、誰も見るわけじゃないし、やらなくてもいいのかなと(笑)。ぐちゃぐちゃなままにしておいても。また帰ってきて、自分が寝るだけなので」

「いや、そうなんですよ。やっぱり部屋を片付けるのも、人が来るときしかしないとかありますからね。では、その不都合の解決法を考えてみますね」

衣装(西野七瀬): ロングニットカーデ¥139,700スカート¥172,700 タンクトップ¥85,800 ソックス¥13,200 サンダル¥110,000/すべてPlan C (ブルーベル・ジャパン03-5413-1050)イヤリング 左耳[オバケ]¥79,200 右耳[キノコ]¥86,900 リング 右手[オバケ]¥135,300 左手[ロボット]¥59,400/すべてALIITA(ブルーベル・ジャパン03-5413-1050)

『君の忘れ方』

森下昴は付き合って3年が経つ恋人・美紀との結婚を間近に控えていたが、ある日、彼女は交通事故で亡くなってしまう。言葉にならない苦悩と悲しみで茫然自失の日々を過ごす中、母・洋子に促され、久々に故郷の岐阜へと帰省する。洋子もまた、不慮の事故で夫を亡くし、未だに心に傷を抱えていた。悲しみは癒えないと思っていたが、ある不思議な体験を通して、昴は美紀の死と向き合っていく。

監督・脚本/作道 雄
出演/坂東龍汰、西野七瀬、円井わん、小久保寿人、森 優作、秋本奈緒美、津田寛治、岡田義徳、風間杜夫(友情出演)、南 果歩
エンディング歌唱/坂本美雨
https://kiminowasurekata.com/
1月17日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開

配給/ラビットハウス
©️「君の忘れ方」製作委員会2024

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Photo: Ayako Masunaga Hair & Makeup: Mai Tokunaga(BEAUTRIUM) Styling: Kanako Onitsuka Edit & Text: Yukiko Shinto

Profile

西野七瀬Nanase Nishino 1994年5月25日生まれ、大阪府出身。2011年より乃木坂46のメンバーとしてキャリアをスタートし、18年にグループを卒業後、本格的に俳優として活動を開始する。ドラマ「あなたの番です」(19)での演技で注目を集め、その後も数々のドラマに出演。主な出演映画に、『あさひなぐ』(17/英勉監督)、『シン・仮面ライダー』(23)、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)、『52ヘルツのクジラたち』(24)、『帰ってきた あぶない刑事』(24)など。『孤狼の血 LEVEL2』(21)では日本アカデミー賞優秀助演女優賞と新人俳優賞、『恋は光』(22)でヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。公開待機作にW主演を務める『少年と犬』(25)がある。
パントビスコPantovisco Instagramで日々作品を発表する話題のマルチクリエイター。これまでに6冊の著書を出版し、現在は「パントビスコの不都合研究所」(Numero.jp)をはじめ雑誌やWebで連載を行うほか、三越伊勢丹、花王、ソニーなどとの企業コラボやTV出演など、業種や媒体を問わず活躍の場を広げている。著書に『パントビスコ ここだけの話だよ。』(扶桑社)、『やさ村やさしの悩みを手放す108の言葉』(主婦の友社)ほか。初の絵本『おれたクレヨン』(日本能率協会マネジメントセンター)が発売中。Instagram: @pantovisco

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