アートが生まれる場へ。水戸芸術館現代美術センター
水戸芸術館現代美術センターは、展覧会などの企画や開催に力を入れる「アートセンター」として、1990年の開館以来アーティストとともに作品をつくり出し、地域の人々とさまざまなプロジェクトを続けてきた。現在開催中の「アートセンターをひらく 2023-地域をあそぶ」では、ギャラリーを「アートが生まれる場」として、作品展示に加えて、アーティストと訪れた人が創作に参加したり交流するワークショップなどが行われている。2023年10月9日まで。
2023年7月、水戸芸術館の隣に、伊東豊雄が設計を手がけた「水戸市民会館」がオープンした。
「アートセンターをひらく 2023-地域をあそぶ」は、この市民会館のオープンを記念する企画展。そして2019年から20年の間に開催された「アートセンターをひらく」の第2弾でもある。今回は「地域」「あそぶ」をテーマに、市民会館やその周辺地域へ拡大して展開する。
中心となる会場は、水戸芸術館現代美術ギャラリー。一番目の展示室は、前回と同様に創作と交流の場になっている。
アーティストの曽谷朝絵による、本展期間中常設のぬり絵ワークショップ「もりのいろ」では、曽谷が描いた絵に、参加者はそれぞれに色を塗る。完成した絵を、壁に貼ってつなげることで、大きな作品を作り上げる。
日本とインドネシアを拠点とする、アート・コレクティブ KITAによるプロジェクト「KITAの間」では、境界を越えてどこかとつながる“離れ”が現れる。
広場には、水戸芸術館のコレクション作品の展示として、約50メートルの巨大バッタ『飛蝗(プロジェクト・インセクト・ワールド)』が9月に登場する。(日程は同館ウェブサイト参照)
椿昇+室井尚による本作は、2001年に横浜トリエンナーレで注目を集めた大型作品。9年ぶりの展示となるが、今回は一部修復のために「バッタ復活ボランティア」(9月9日・10日、先着順30名)も募集している。巨大すぎて多くの手助けが必要とのこと、こちらもぜひ参加してほしい。
さらには水戸芸術館、水戸市民会館、そして京成百貨店が並ぶ一帯は、「MitoriO」(ミトリオ)と名づけられ、曽谷朝絵による色彩と光があふれる大型インスタレーションが3館をつなぐ。
MitoriOでは、2005年から継続している、日比野克彦によるプロジェクト「明後日朝顔プロジェクト2023水戸」も。3館それぞれで朝顔を育て、種を繋いでいる。
そのほか、アートとスポーツが融合したワークショップ「HIBINO CUP」(9月30日、要申込み)も広場にて開催。小学生以上が対象なので、ぜひ子どもたちと楽しんで。
参加型のプログラムや、市民が自発的に始める部活動、変化していく企画もある。30年以上にわたり、アーティストとともに、地域と関わってきた水戸芸術館現代美術センターの積み重ねが、人々の創造性を広げていく。
なお開催期間中は、1枚のチケットで何度でも再入場可能とのこと。大人も子どもも、ぜひ何度も訪れて、遊んでほしい!
アートセンターをひらく 2023―地域をあそぶ
期間/2023年7月22日(土)〜10月9日(月・祝)
会場/主会場 水戸芸術館現代美術ギャラリー
連携会場 水戸市民会館、京成百貨店ほか
開場時間/10:00〜18:00(入場は17:30まで)
水戸市民会館 8:30〜22:00 /京成百貨店 10:30〜19:00
休館日/水戸芸術館 月曜日(※ただし9月18日、10月9日開館)、9月19日(火)
京成百貨店 8月23日(水)、9月13日(水)、10月4日(水)
入場料/パス一般 900円、大学生以下・70 歳以上は無料、障害者手帳などをお持ちの方と付き添いの方1名無料
*証明書が必要です。大学生の入場無料は本展限定。
*連携会場への入場は無料です
URL/www.arttowermito.or.jp
Text:Hiromi Mikuni