700年先の未来から、「わたし」は何者かを問い直す。瀬戸康史主演『キュー』 | Numero TOKYO
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700年先の未来から、「わたし」は何者かを問い直す。瀬戸康史主演『キュー』

第二次世界大戦、現代、そして700年以上先の未来。三つの時間を横断しながら、テクノロジーが発達し続ける人間社会の中で、「人間とは何か」「“わたし”とは誰なのか」という問いを投げかける上田岳弘の長編小説『キュー』が、白井晃の演出で舞台化される。主演は瀬戸康史。共演には有村架純、石田ニコル、井内悠陽、加治将樹、田中哲司らが名を連ねる。

原作『キュー』は、2017年から18年にかけて文芸誌「新潮」とYahoo! JAPANで連載され、2019年に単行本化。上田が『ニムロッド』で芥川賞を受賞した後、最初に刊行された作品でもある。AIやネットワークによって現実と情報との境界が曖昧になっていく世界の中で、人間の記憶や存在の意味が描かれていく。

物語の中心にいるのは、心療内科医・立花徹(瀬戸康史)。製薬会社に勤める東藤恭子(石田ニコル)との出会いをきっかけに、高校時代に忽然と姿を消した同級生・渡辺恭子(有村架純)の記憶が蘇る。彼女がかつて口にしたのは、「私の中には第二次世界大戦が入っている」という不可思議な言葉だった。さらに103歳になる祖父(田中哲司)の失踪をきっかけに、徹は人類の過去と未来をめぐる大きな物語へと巻き込まれていく。

実は、この舞台化には長い時間がかかっている。白井は原作刊行後から舞台化を望み、上演を計画していたがパンデミックによって企画は中断。そこから生まれたのが、高橋一生の一人芝居『2020』だった。『キュー』の登場人物をスピンアウトさせ、上田と白井、高橋が創作した作品を経て、構想から数年。今回、瀬戸康史を主人公に迎えて、ようやく原作そのものが舞台に立ち上がる。

白井自身、この小説に惹かれた理由として、AIが発展していく世界で人間の思考がどう変化し、私たちはどこへ向かうのかという、まさに現在進行形の問いを挙げている。舞台美術を石原敬、衣装を伊藤佐智子、振付を山田うん、映像を上田大樹が担当するなど、視覚面のスタッフにも注目したい。言葉だけでは捉えきれない時間と記憶、人間の身体とテクノロジーとの関係が、劇場でどのように形を与えられるのだろう。

700年以上先から振り返ったとき、「私」という存在はまだ残っているのか。急速にAIが生活へ入り込みつつある今だからこそ、上田岳弘が描いた未来は、小説が刊行された2019年よりもさらに近く感じられるかもしれない。

舞台『キュー』
原作/上田岳弘『キュー』(新潮社刊)
演出/白井晃 上演台本/上田岳弘、白井晃
出演/瀬戸康史 有村架純 石田ニコル 井内悠陽 加治将樹 田中哲司ほか

<東京公演>
公演日程/2026年11月15日(日)~29日(日)
会場/東京芸術劇場プレイハウス
チケット料金(全席指定・税込)/
オープニングチケット:11/15・16・17公演 S席 10,500円/A席 9,000円
平⽇:S席 11,000円 A席 9,500円
⼟⽇祝:S席 12,500円 A席 10,500円
U22(全⽇程):7,500円 ※⼀般発売より「チケットぴあ」のみの取り扱い(枚数限定・要証明書・当日引換券)

<大阪公演>
公演日程/2026年12月4日(金)~6日(日)
会場/梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
チケット料金(全席指定・税込)/平⽇:11,000円 ⼟⽇祝:12,500円
U22(全⽇程):7,500円 ※⼀般発売より「チケットぴあ」のみの取り扱い(枚数限定・要証明書・当日引換券)
URL/https://the-9.westage.jp/
※両公演とも未就学児⼊場不可

Text:Reiko Nakamura

 

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