パン生地と身体で男社会に抗う。ナディア・ブグレ『バーニング・ガールズ』 | Numero TOKYO
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パン生地と身体で男社会に抗う。ナディア・ブグレ『バーニング・ガールズ』

(c)Anne Volery
(c)Anne Volery

丸め、伸ばし、形を変えていくパン生地と、二人の女性の身体。西アフリカ・コートジボワールから、ユーモラスでパワフルな抵抗のダンスが東京にやってくる。

『バーニング・ガールズ』を手がけるのは、コートジボワール出身の振付家・ダンサー、ナディア・ブグレ。伝統舞踊からストリートカルチャー、実験的な身体表現までを横断しながら、ジェンダーやアイデンティティ、社会の周縁に生きる人々をテーマに作品を生み出してきた。2023年にはSACD新人振付家賞を受賞している。

舞台に立つのは、コートジボワール最大の都市アビジャン、その中でも貧困地域として知られるアボボで暮らすアヤとクリステル。作品は彼女たち自身の生活をもとに、男性中心主義や「女性はこうあるべき」という身体への規範に抗っていく。

そこで重要な役割を果たすのが、自由自在に形を変えるパン生地だ。身体にまとわりつき、引き伸ばされ、別の形へと変わっていく日常的な素材が、舞台上ではオブジェとなり、女性の身体を縛る規範や、それを突き破ろうとするエネルギーを可視化していく。

そして二人が踊るのは、もともとギャング文化や男性的な肉体の誇示と強く結びついてきたダンス。男性のものとされてきた身体表現を女性たちが奪い返し、自分たちの身体で思い切り踊る。その行為自体が、この作品では抵抗となる。

とはいえ、作品を覆っているのは重苦しい怒りだけではない。公開されている舞台写真からも伝わってくるのは、鮮やかな色彩と、身体からあふれ出すようなエネルギー。社会の抑圧に対して、力強く、明るく、毅然と立ち向かう二人の姿こそが『バーニング・ガールズ』の魅力なのだろう。

これはダンスであると同時に、身体と物体が関係を変え続けていくオブジェクトシアターでもある。「秋の隕石」が昨年に続いて紹介するこのジャンルを、パン生地というあまりにも身近な素材から体験できるのも面白い。

女性の身体を誰が決めるのか。どんな踊りを誰が踊っていいのか。そんな問いに、理屈ではなく身体そのものから答える二人の“バーニング・ガールズ”。その潔いエネルギーを浴びてみたい。

ナディア・ブグレ『バーニング・ガールズ』
アーティスティック・ディレクション/ナディア・ブグレ
出演/アヌラ・アヤ・ラリサ・ラバレ、クリステル・エウエ
日程/2026年10月23日(金)~25日(日)
会場/東京芸術劇場 シアターイースト
チケット(全席自由・入場整理番号付・税込)/一般:¥5,000 U29:¥3,000
U18:¥1,000 障害者割引:一般料金から10%引き
舞台芸術祭「秋の隕石2026東京」上演プログラム

Text:Reiko Nakamura

 

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