
2024年1月、約半世紀にわたり逃亡を続けていた桐島聡が、入院先の病院で自ら本名を明かし、その数日後に亡くなった。1970年代の連続企業爆破事件に関わったとして指名手配され、その後、一度も逮捕されることなく生き続けた人物だ。
そんな桐島聡と、1974年の三菱重工爆破事件を起こし、2017年に東京拘置所で亡くなった大道寺将司。二人の人物から着想を得た舞台『キリシマサトル、青春の蹉跌』が、9月2日(水)より新宿シアタートップスで上演される。作品が問いかけるのは、「逃亡とは何だったのか」「正義とは何だったのか」という、簡単には答えの出ない問いだ。
物語の主人公は、新潟市郊外で暮らす70代の土木作業員・トオル。癌で余命わずかと告げられた彼は、勤め先社長の息子・吉田厚に、自分がかつて丸の内爆破事件を起こし、50年間逃亡してきた人間だと告白する。そして両親の墓や事件の現場をめぐり、自らの過去を振り返る旅をドキュメンタリー映画として残してほしいと願う。1970年代と2025年、過去と現在を行き来しながら、一人の男の半生が浮かび上がっていく。
主人公トオルを演じるのはダンカン。若き日のトオル=桐島悟を大野瑞生、トオルから告白を受け、映像に残す役割を担う吉田厚を小早川俊輔が演じる。ダンカン自身が学生運動やあさま山荘事件をリアルタイムで見てきた世代である一方、大野や小早川にとって1970年代は生まれる以前の時代。異なる世代の俳優たちが同じ舞台でこの時代に向き合うことも、作品の重要なポイントになりそうだ。
扱われるのは、決して美化することのできない暴力を伴った事件だ。しかし同時に、なぜ当時の若者たちは「社会を変えたい」という思いを過激な行動へと結びつけていったのか。そして50年という歳月を経たとき、その思想や行動はどのように見えるのか。小早川も、この出来事を一言で断罪するのでも見過ごすのでもなく、演劇として身体を通して向き合いたいと語っている。
作・製作総指揮は久保田誠二。YouTuberとしての活動に加え、舞台の作・演出、イベントMCなど幅広い活動を見せるヴィヴィアン・モンローが演出を務め、映像感覚を取り入れた舞台表現にも挑戦するという。50年前の「正義」と現在の価値観、その間に横たわる時間を、舞台という同じ空間で見つめ直す。歴史上の事件を知る世代にも、それを教科書や映像でしか知らない世代にも、異なる問いを投げかける作品となりそうだ。
舞台『キリシマサトル、青春の蹉跌』
日程/2026年9月2日(水)~6日(日)
会場/新宿シアタートップス
作・製作総指揮/久保田誠二
演出/ヴィヴィアン・モンロー
出演/ダンカン 小早川俊輔 有栖川朋花 大野瑞生 土路生優里 彩雪ほか
料金/S席¥10,000(特典付き) A席¥7,500 B席¥6,500 U-25¥4,000
主催/株式会社GEトラスト
公式サイト/kirishima2026.jp
