
「飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき」展が水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催されている。2026年5月6日(水)まで。
人間の知覚というのは曖昧なもので、時間の感じ方は人それぞれであるし、見えている世界もちょっとしたきっかけで違うものが現れることもある。飯川雄大(いいかわ たけひろ)はそんな人々の認識の不確かさや、社会で見過ごされがちな存在に目を向ける作品を制作してきた。
部屋いっぱいに現れる巨大なピンクの猫の小林さん。会場のあちらこちらに置かれたリュックやスポーツバッグ、壁から出ているロープ。「??」となって、思わず解説や但し書きを探したくもなる。スマホを向けても、この気持ちは誰かに簡単に伝えられる気がしない。ちなみに本展のはじまりの入口もブルーの壁で塞がれている。

これらは2007年から発表しているシリーズ作品「デコレータークラブ」。それは世界中に生息する擬態する蟹の名前から由来している。目撃した人は興奮して語るが、彼らが見た蟹の姿は人によってさまざまで、正確な姿はわからないという。作品もまた、一見、かわいらしかったり、日常的に馴染みのあるものによって構成されているが、何か違和感があったりする。作品に出会った鑑賞者たちは、考えたり、作品に触れたり、関わったり、自らの意思で参加することもできる。それは美術館という枠にもとどまらない。時間や場所や距離を超えて、なにかを届けることもできる。
飯川雄大の作品は、とにかく出向いて、まず出会ってほしい。展覧会タイトルの「大事なことは何かを見つけたとき」はまさにそのもの。
訪れた人たちそれぞれが体験し、その場で誰かと何かを共有すること。答えがあるわけではない。「??」が「?????」に増幅して終わるかもしれない。でも、自分に回帰する、そしてそんな人たちに出会う、または目撃する展覧会でもある。当日に限り入退場自由なので、ぜひ出たり入ったり行ったり来たりしてほしい。(たぶん何度も楽しめます)

また、本展出品作『デコレータークラブ―新しい観客』と連携する展覧会が、都内で開催されている。横浜みなとみらい線高島駅にあるギャラリーArt Center NEWでは特別展示「横浜、猫、卓球台」が5月23日まで開催。東京天王洲のKOTARO NUKAGAでは、「デコレータークラブ:重いバッグの中身」を5月23日(土)まで開催。東京のgallery αMでは「立ち止まり振り返る、そして前を向く|vol.5」が6月13日(土)まで。
飯川雄大 大事なことは何かを見つけたとき
会期/2026年2月28日(土)~5月6日(水・振)
開場時間/10:00~18:00(入場は17:30 まで)
会場/水戸芸術館現代美術ギャラリー
休館日/月曜日 ※5月4日(月・祝)は開館
入場料/一般900円、高校生以下・70 歳以上・障害者手帳などをお持ちの方と付き添いの方1名は無料
URL/www.arttowermito.or.jp
Text:Hiromi Mikuni
