フェンディ(Fendi)が、ミラノで2026-27年秋冬コレクションを発表。新たにチーフ クリエイティブ オフィサーに就任したマリア・グラツィア・キウリによるデビューコレクションとなる今季は、「Less I, more us(“私”よりも“私たち”)」というメッセージをテーマに、フェンディの新章が幕を開けた。
会場には、日本から俳優の清原果耶とHANAのメンバーYURIが来場。さらに、Stray Kidsのバンチャン、i-dleのウギ、俳優のティファニー・タンら、各国のブランドアンバサダーがショーに華を添えた。
キウリが提示したのは、個の強さではなく、関係性の中で立ち上がる創造性。フェンディ家の5人姉妹が築いた歴史へのオマージュとともに、共に働き、共に作ることの価値を再定義する。多様性は個性を打ち消すものではなく、むしろビジョンを現実にするためのプロセス。その視点がコレクション全体を貫く。ランウェイではブラックを基調としたルックが印象的に並び、視覚的な統一感を演出。
今季は、フェミニンとマスキュリンの境界も曖昧に。両者を対立ではなく共有される資質として再解釈し、ランウェイには男女が並ぶ。ワードローブは軽やかに越境し、衣服は性別を定義するものから、日常や感情に寄り添う存在へとシフトしていく。

さらに、女性アーティストの作品を取り入れることで、世代や視点の違いが軽やかに交差する。イタリアの芸術家ミレッラ・ベンティヴォーリオとのコラボレーションによる限定ジュエリーは、彼女自身が1970年代初頭に手がけたデザインをベースに現代的に再構築。ジュエリーを「身につけられる詩」と捉え、思考や記憶を内包するピースとして、静かに存在感を放っていた。
アーティスト兼アスリートのサグ・ナポリとのコラボは、よりストレートな表現でコレクションテーマを体現。「Rooted but not stuck(根ざしているが、とらわれていない)」「Loyal but not obedient(忠実だが、盲従ではない)」といったフレーズがフットボールスカーフやTシャツに落とし込まれ、コミュニティに属しながらも自分を見失わない、そのバランス感覚を浮かび上がらせる。
新たな取り組みとして展開された「Echo of Love(エコー・オブ・ラブ)」プロジェクトにも注目したい。ヴィンテージファーを職人の手で解体・再構築し、フィット感やボリュームを整えながら美しく生まれ変わらせている。素材や耐久性に配慮しつつ、思い出や記憶を宿す「物語」として評価される取り組みだ。

コレクション全体に貫かれるこうした価値観は、バッグをはじめとするアクセサリーにも反映されている。目を引いたのは、ファーで仕立てられたフットボールマフラー。「Five Sisters(5人姉妹)」の文字があしらわれ、歴史へのリスペクトを象徴していた。
アイコンバッグ「バゲット」も、装飾性と実用性のバランスを保ちながら今のムードに寄り添う形でアップデート。日常に溶け込みつつ、個性をさりげなく主張する。

“私”から“私たち”へ。個の表現が飽和した時代において、キウリが示したのはファッションを通じた新たな連帯のかたち。その静かな強さが、フェンディの新章の幕開けを印象づけた。
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