「フェティコ」が切り拓く、身体に宿る静謐な気品【2026-27年秋冬コレクション】 | Numero TOKYO
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「フェティコ」が切り拓く、身体に宿る静謐な気品【2026-27年秋冬コレクション】

晴れやかな日差しが差し込む東京現代美術館にて、デザイナー舟山瑛美が手がける「フェティコ(Fetico)」の2026-27年秋冬コレクションショーが開催された。テーマは「The Contours of Grace」——“気品をまとう女性像”。

今季のフェティコは、ブランドのアイデンティティである身体を美しく見せる構築的シルエットと日常性を両立させ、飾らない美しさと静かな強さを宿す現代女性のためのワードローブを提示した。
ミューズに据えられたのは、激動の時代を自らの意思で切り拓いた三人の女性たち、画家のヴァネッサ・ベル、写真家のリー・ミラー、そしてデザイナーのガブリエル・シャネル。それぞれの分野で女性の自立を体現してきた人物像を重ね合わせることで、コレクションには実用性と官能性の均衡がバランスよく落とし込まれている。モノトーンを基調としたカラーパレットもまた、成熟した女性に宿る気品を静かに物語る。

ショーは、静かなウォーキングとともに幕を開けた。ファーストルックはブラックのワントーンで統一。ハイネックのロングスリーブによって露出を抑えたミニマルなスタイルでありながら、タイトなシルエットと素材のコントラストによって女性の身体性を際立たせ、軽やかさと重厚感の共存を印象づけた。

象徴的だったのは、トレンチコートやピーコートといったメンズウェア由来のアイテムを用いたスタイル。絞り込まれたウエストラインやランジェリーライクなシアー素材を組み合わせることで、ジェンダーニュートラルでありながら女性の輪郭を美しく際立たせる設計が随所に見られた。

さらに今季の鍵となったのが、直線と曲線の対比である。シャープなショルダーラインと流れるようなウエストライン、構築的なジャケットと柔らかく揺れるスカート。これらのコントラストが身体の輪郭を彫刻のように浮かび上がらせ、視覚的な奥行きを生み出していた。

フェティコが描いたのは、強さと品格が共存する理想の成熟像。装飾としての衣服ではなく、自己表現としての衣服を提示していた。声高に主張せずとも伝わる気品こそが、いまという時代を切り拓く最も強いエレガンスのかたちなのかもしれない。

Text:Manami Hotta

 

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