
『欲望という名の電車』は1947年の初演以来、数多くの演劇人が挑んできたテネシー・ウィリアムズの名作戯曲だ。
映画版ではヴィヴィアン・リーが『風と共に去りぬ』と並ぶ当たり役を得た作品で、日本では杉村春子主演で文学座が長く上演を続けていた。その後も、多くの俳優、演出家が様々な解釈でこの物語を舞台にのせている。
名だたる俳優たちが目指す最高峰の一つともいえるこの作品に、篠井英介が女方として四度目の挑戦をする。
篠井英介は高校の文化祭以来特別な愛着を感じて、この作品のブランチ役を演じてきた。実は、過去には篠井がブランチを演じることを知った著作権の管理者によって上演直前でNGが出されたことも。
それだけに、二十数年前、女方としてこの作品に挑む篠井に話を聞いた際は、この演目の上演が実現したことを心から喜んでいた。
「“現代劇で女方の芝居を追求する”ことが目標だと気づいたとき、その旗が山の上に見えていれば、そこまではどのような道を通ってもいい、と思えるようになった」と篠井が清々しい眼差しで話してくれたのをよく覚えている。俳優は、必ずしも自分が望んだ仕事ばかりが来るわけではないし、やりたいことが頓挫することもある。だが、神経質そうなサラリーマンや高圧的な官僚といった篠井にしかできない役を見せる一方で、数多くの舞台でたおやかな女方を演じている姿を見ると、まだ、あの旗が見えているのだなと思う。
男性が女性を演じることは多くなっていても、篠井の女方のように、日本舞踊の素養に基づいた所作から生まれる芸は少ない。かつての劇団新派の女形よりも軽やかで、現代劇にフィットしたその表現は唯一無二と言えるだろう。
2023年には、どちらも女方として出演したイキウメ『人魂を届けに』と、ケムリ研究室『眠くなっちゃった』の公演で紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞し、高い評価を得た。目標は現実となりつつある。
『欲望という名の電車』のブランチは、危うい線の上をバランスを取りながら歩いていくような役だ。粗暴な男と結婚した妹を頼らざるを得ない、没落した家の娘でありながら、かつての栄光を捨てられない。だが、その姉を鼻持ちならないと感じる義弟スタンリーとの間には軋轢が生まれ、二人の間に挟まった観客は思わず目をつぶりたくなる。篠井の女方という独特の存在感が、ブランチの危ういプライドや緊張感をより際立たせてくれるだろう。翻訳も手掛けたG2が、どのようにそれを見せてくれるのか楽しみだ。
義弟のスタンリーは、2001年、2003年の上演でも共演した田中哲司。こちらは、男の傲慢さを漂わせ、汗の匂いのするスタンリーにぴったりだ。今回も、陰影の濃い芝居を見せてくれるに違いない。
<東京公演>
公演日程/2026年3月12日(木)~22日(日)
会場/東京芸術劇場 シアターイースト
チケット料金(全席指定・税込)/一般 8,800円 U24チケット 3,800円(枚数限定・公演当日要証明書)
※U24チケット=チケットぴあ、東京芸術劇場ボックスオフィスにて前売りのみ取扱い
一般発売日/2026年1月18日(日)
チケット取扱い/チケットぴあ イープラス カンフェティ050-3092-0051(平日10:00~17:00 オペレーター対応)
東京芸術劇場ボックスオフィス(※窓口販売有り 休館日を除く10:00~19:00 オペレーター対応)
<大阪公演>
公演日程/2026年4月4日(土)~5(日)
会場/近鉄アート館
チケット料金(全席指定・税込)/一般 8,800円 U24チケット 3,800円(枚数限定・公演当日要証明書)
※U24チケット=チケットぴあにて前売りのみ取扱い
一般発売日/2026年1月18日(日)
チケット取扱い/チケットぴあ イープラス ローソンチケット CNプレイガイド 0570-08-9999(10:00~18:00 オペレーター対応)
提携/近鉄アート館
制作協力/一般社団法人アーツインテグレート
協力/キョードー大阪
問合せ先/吉住モータース 03-5827-0632(平日11:00~18:00)
公式URL/https://yokubou2026.com/#news
