コンセプチュアルアートの重要作家 ソル・ルウィットの注目展が開幕 @東京都現代美術館 | Numero TOKYO
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コンセプチュアルアートの重要作家 ソル・ルウィットの注目展が開幕 @東京都現代美術館

ソル・ルウィット『ウォール・ドローイング #283 青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置』(初回展示 1976年、
2017年 イェール大学美術館ウェストキャンパス・コレクションセンター(コネチカット州ウェストヘイブン)での展示) © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.
ソル・ルウィット『ウォール・ドローイング #283 青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置』(初回展示 1976年、 2017年 イェール大学美術館ウェストキャンパス・コレクションセンター(コネチカット州ウェストヘイブン)での展示) © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.

コンセプチュアルアートの先駆者であり彫刻家のソル・ルウィットによる、日本の公立美術館では初の展覧会が開催中。東京・清澄白河の東京都現代美術館にて、2026年4月2日(木)まで。

 

20世紀後半を代表するアメリカ出身の現代アーティスト、ソル・ルウィット(1928–2007)。1960年代後半、目に見える作品そのものよりも、作品を支えるアイデアや制作のプロセスに重きを置く試みで、その後の現代アートのあり方を大きく転換。1967年には、美術誌で発表したエッセイ『コンセプチュアル・アートについてのパラグラフ』によって「コンセプチュアルアート」という言葉を定義し、欧米圏のアートシーンに多大な影響を与えた。

ソル・ルウィット『ウォール・ドローイング #1164 ドローイング・シリーズ I 2 (A & B)』構想(1969 年、初回展示 2005 年、2010 年グラッドストーン(ブリュッセル)での展示) © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.
ソル・ルウィット『ウォール・ドローイング #1164 ドローイング・シリーズ I 2 (A & B)』構想(1969 年、初回展示 2005 年、2010 年グラッドストーン(ブリュッセル)での展示) © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.

そんなルウィットによる、日本の公立美術館では初の個展「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」が現在開催中。彼の代表シリーズである「ウォール・ドローイング」から、6点が展示される。シリーズ1作目の『Wall Drawing #1』(1968年)以降、1300点を超えるウォール・ドローイングが制作されてきたが、その多くはルウィット自身の文章や図面による指示をもとに、他者の手で壁に描かれ、展示終了後には塗りつぶされてきた。こうした手法やプロセスは、作者性や唯一性、物質的な永続性といった、それまでの芸術の前提を見直すきっかけを与えている。
また会場では、立方体を基本単位とするモジュールを組み合わせた『ストラクチャー(正方形として1, 2, 3, 4, 5)』(1978–80年)などの立体作品のほか、平面作品も展示。さらには、自らのアイデアを人と共有するために、晩年まで制作を続けた多くのアーティストブックや書籍を通して、ルウィットの思考の軌跡をたどることができる構成に。

ソル・ルウィット『ストラクチャー(正方形として 1, 2, 3, 4, 5)』(1978-80 年)滋賀県立美術館蔵 © 2025 The LeWitt Estate /Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.
ソル・ルウィット『ストラクチャー(正方形として 1, 2, 3, 4, 5)』(1978-80 年)滋賀県立美術館蔵 © 2025 The LeWitt Estate /Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery.

なお、同館企画展示室3Fでは、梅田哲也と呉夏枝の作品が紹介されている。中堅アーティストを対象とした現代美術の賞「TokyoContemporary Art Award」の受賞を記念した同展では、水をテーマに、呉は鑑賞者の記憶に働きかけるプロジェクトを軸とし、梅田は展示会場に新たな導線を設定することで物事の構造を可視化。両者の作品がせめぎ合い、時に重なり合いながら、観る者に新たな見方や気づきをもたらす。こちらは、2026年3月29日(日)まで。

どちらもどうぞお見逃しなく。

※掲載情報は12月26日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー
会期/2025年12月25日(木)〜2026年4月2日(木)
会場/東京都現代美術館 企画展示室 1F
住所/東京都江東区三好 4-1-1
料金/一般 1600円、大学生・専門学校生・65歳以上 1100円、中高生 640円、小学生以下 無料
時間/10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館/月曜日(但し、1月12日、2月23日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月13日(火)、2月24日(火)
URL/www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/

Text:Manami Abe

 

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