
ポーランドを舞台に、ちぐはぐ父と娘が家族の歴史を辿る旅を描いた『旅の終わりのたからもの』が2026年1月16日(金)公開される。これに先駆け、1月8日(木)に開催されるトークイベント付き試写会に5組10名様をご招待。
父と娘、ポーランドでルーツをたどる旅が始まる
家族の記憶に触れ、辿り着いたものとは

ニューヨークで生まれ育ったルーシーは、ジャーナリストとして成功しているが、どこか満たされない想いを抱えている。その心の穴を埋めるため自身のルーツを探そうと、父エデクの故郷ポーランドへと初めて旅立つ。ホロコーストを生き延びながら、その後は一度も祖国に戻ろうとしなかった父も、娘に付き添って旅に出る。ところが、同行したエデクは娘の計画を妨害して自由気ままに振る舞い、ルーシーは爆発寸前。かつて家族が住んでいた家を訪ねても、父と娘の気持ちはすれ違うばかり。互いを理解できないままアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を訪れた時、父の口から初めて、そこであった辛く痛ましい家族の記憶が語られる──。

民主国家として歩み始めた1991年のポーランドを舞台に、ニューヨークで育った娘と、約50年ぶりに祖国を訪れる父の旅を描いたロードムービー。全く噛み合わない二人の珍道中かと思いきや、一方で物語は、それぞれが抱えてきた心の痛みにも目を向けていく。長く向き合うことを避けてきた過去と直面することで、二人が少しずつ前へ進もうとする姿が描かれている。
また本作が特徴的なのは、ホロコーストを過去の出来事としてではなく、現在にも影響を及ぼす問題として捉えている点だ。生存者の娘を主人公に据え、戦争を直接経験していない世代に残された影を描くことで、現代を生きる私たちにも重なる物語が完成した。

ルーシー役を務めるのは、TVシリーズ「GIRLS/ガールズ」で製作・主演・監督・脚本を手がけたレナ・ダナム。20代女性の日常を飾らずに描いた同作は、“キラキラしていない『セックス・アンド・ザ・シティ』”とも評され、話題を集めた。自身の体型や病気について率直に発信し続ける姿勢が、多くの女性から共感を呼び、本作でも、うまくいかないダイエットに一喜一憂したり、別れた夫を忘れられず深夜に無言電話をかけてしまったりと、ダメな自分をごまかさずおとしめずまっすぐに見つめる姿が、生きづらい今の時代に日々あがく私たちの肩の力を抜いてくれる。

エデクを演じるのは、『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』や『ホビット』シリーズで知られるスティーヴン・フライ。英国を代表する俳優の一人であると同時に、作家やジャーナリスト、コメディアン、司会者、ナレーター、映画監督など、幅広い分野で活動してきた。また、双極性障害であることを公表し、メンタルヘルスに関する啓発や環境問題、慈善活動への貢献が認められ、ナイトの称号を授与された。本作では、自由奔放で出会った人々を魅了する陽気でチャーミングな一面と、その内側に抱えた深い痛みを丁寧に表現している。

原作はホロコーストを生き抜いた父を持つオーストラリアの著名な作家、リリー・ブレットが実体験をもとに書き上げた小説「Too Many Men」。監督は2024年にヴェネチア映画祭審査員も務めたドイツの俊英、ユリア・フォン・ハインツ。ハインツ自身もホロコースト生存者の孫で、原作に魅了され映画化を実現させた。
本作は第74回ベルリン国際映画祭でプレミア上映され、トライベッカ映画祭2024にも出品された。
『旅の終わりのたからもの』
監督/ユリア・フォン・ハインツ
出演/レナ・ダナム、スティーヴン・フライ
2026年1月16日(金)kino cinéma 新宿ほか全国ロードショー
https://treasure-movie.jp/
© 2024 SEVEN ELEPHANTS, KINGS&QUEENS FILMPRODUKTION, HAÏKU FILMS
配給/キノフィルムズ
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