“金属”の世界を、音楽・映像・造形でひもとく「メタル」展@銀座メゾンエルメス ル・フォーラム
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“金属”の世界を、音楽・映像・造形でひもとく「メタル」展@銀座メゾンエルメス ル・フォーラム

Maiko Endo『Space』(2025年) ©Maiko Endo
Maiko Endo『Space』(2025年) ©Maiko Endo

エルメス財団による書籍の刊行を記念し、金属の素材性に焦点を当てた展覧会が開催されている。「メタル」展は、東京の銀座メゾンエルメス ル・フォーラムにて、2026年1月31日(土)まで。

 

青銅器時代から現代まで、人類の文明とともに進化してきた素材、金属。原材料となる鉱物の種類の豊富さと加工技術の多様さによって育まれ、装飾品から建築、産業にまで広く用いられてきたその歩みは、社会や文化の発展と深く結びついている。そして、鉱石から金、銀、鉄、鉛、真鍮などを取り出して加工する営みは、古代から人々の想像力をかき立て、神話や魔術の象徴としても人々を強く惹きつけてきた。

本展「メタル」は、金属の“両義性(アンビヴァレンス)”がテーマ。中世の錬金術や近代の合理性、音の象徴性、光と影、階層や権力の構造といった金属が持つ特性を、音楽・映像・造形の3つの視点から探る試みだ。
音楽を通じて哲学や自然科学などを探求するエロディ・ルスールは、記号論の観点からメタル音楽を解き明かす。また、短編映画『自在』(2024)が世界各国で上映され、国際的にも注目される映像監督・遠藤麻衣子は、日本古来の朱と水銀を媒介として内的宇宙と外的象徴を表現。さらに、前衛グループ「JAPAN KOBE ZERO」での活動や、銃や大砲を用いた作品で知られる榎忠(えのき・ちゅう/※1)は、金型職人として培った経験をもとに、鉄球を通して人と地球の関わりを提示するという。

(※1)参考記事:Numero.jp「ヘアにまつわる現代アートの展望6選/榎忠」

Élodie Lesourd『Walking Through the Land of Falsity(courtesy K.Smolenski)』(2016年) ©Élodie Lesourd
Élodie Lesourd『Walking Through the Land of Falsity(courtesy K.Smolenski)』(2016年) ©Élodie Lesourd

Chu Enoki『RPM-1200』(2006-2011年) Hyogo Prefectural Museum of Art Photo: Seiji Toyonaga ©Chu Enoki
Chu Enoki『RPM-1200』(2006-2011年) Hyogo Prefectural Museum of Art Photo: Seiji Toyonaga ©Chu Enoki

なお本展は、エルメス財団による書籍『Savoir & Faire 金属』(岩波書店)の刊行を記念したもの。自然素材をテーマに、職人技術の再考と継承を目指すプログラム「スキル・アカデミー」の一環として行われるもので、『木』(2021年)、『土』(2023年)に続く第3弾となる。

ぜひお見逃しなく。

 

※掲載情報は11月12日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

メタル展
会期/2025年10月30日(木)〜2026年1月31日(土)
会場/銀座メゾンエルメス ル・フォーラム
住所/東京都中央区銀座5-4-1 8・9F
料金/無料
時間/11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館/水曜日
※年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる。また、開館日時は予告なしに変更の可能性あり。
URL/https://www.hermes.com/jp/ja/content/maison-ginza/forum/251030/

Text:Manami Abe

 

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