山城知佳子×志賀理江子と石橋財団コレクションによる展覧会@アーティゾン美術館 | Numero TOKYO
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山城知佳子×志賀理江子と石橋財団コレクションによる展覧会@アーティゾン美術館

山城知佳子 『Recalling(s)』 (2025年) © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子 『Recalling(s)』 (2025年) © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」が、東京・京橋のアーティゾン美術館にて開催。会期は、2025年10月11日(土)〜2026年1月12日(月・祝)まで。

志賀理江子 『褜がらみで生まれた』 (2025年) ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist
志賀理江子 『褜がらみで生まれた』 (2025年) ©Lieko Shiga. Courtesy of the artist

アーティゾン美術館が所蔵する石橋財団コレクションと、現代アーティストとの共演による美術の新たな可能性を探るシリーズ「ジャム・セッション」(※1)。第6回目となる今回は、沖縄と東北という異なる土地に根ざし、歴史や記憶に向き合ってきた山城知佳子と志賀理江子が登場する。

(※1)参考記事:Numero.jp「密やかにさざめくアートの時空。毛利悠子、国内初の大規模展@アーティゾン美術館」
Numero.jp「【インタビュー】山口晃:“やむに止まれぬ”日本を描く」

ビデオアーティストの山城知佳子は、写真、ビデオ、パフォーマンスを駆使し、沖縄の歴史、政治、文化を視覚的に探求。近年は、沖縄の問題を普遍的な命題として捉え、東アジア地域の歴史や人々を題材に、アイデンティティ、生と死の境界、他者の記憶や経験の継承をテーマに制作・思考を続けている。

一方、写真家の志賀理江子は、2008年に宮城県に移住し、その地に暮らす人々と出会いながら、人間社会と自然の関わり、何代にもわたる記憶といった題材をもとに制作を続ける。11年の東日本大震災以降、高度経済成長のデジャヴュのような「復興」に圧倒された経験から、人間精神の根源へと遡ることを追求している。

山城知佳子 『Recalling(s)』 (2025年) © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist
山城知佳子 『Recalling(s)』 (2025年) © Chikako Yamashiro. Courtesy of the artist

本展のテーマは、「中心と周縁」、「土地と記憶」。山城と志賀が約3000点におよぶ石橋財団コレクションから独自の視点で4作品を選定。彼女たちの新作を含めた作品との組み合わせにより、既存の文脈を拡張し、コレクション作品を多層的に読み解いていく試みだ。

そこでは、記憶、災害、移動、そして再生といったテーマが、コレクション作品と交差しながら空間全体で表現される。また、高さ約4メートルにおよぶ写真絵巻を空間全体に展開し、鑑賞者の身体感覚を巻き込む没入的な体験を生み出す。

志賀理江子 『なぬもかぬも』 (2025年) 「山城知佳子×志賀理江子 漂着」展示風景 アーティゾン美術館 © Lieko Shiga. Photo: kugeyasuhide
志賀理江子 『なぬもかぬも』 (2025年) 「山城知佳子×志賀理江子 漂着」展示風景 アーティゾン美術館 © Lieko Shiga. Photo: kugeyasuhide

そのほか、会期中は関連イベントも多数実施。申し込み方法などの詳細は、公式サイトをチェック。
両作家ともに、これまでの主題を深化させつつ、新たな展開を見せる意欲作を展示する本展。スケールの大きなインスタレーションによる強い視覚・聴覚体験と、深い思索を促す表現の力を、この機会にぜひ体験してみよう。

※掲載情報は10月19日時点のものです。
開館日時など最新情報は公式サイトをご確認ください。

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」
会期/10月11日(土)〜2026年1月12日(月・祝)
会場/アーティゾン美術館 6・5階展示室
住所/東京都中央区京橋1-7-2
開館時間/10:00〜18:00
※金曜は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日/月曜、11月4日、11月25日、 12月28日〜1月3日
※11月3日、11月24日、1月12日は開館
料金/ウェブ予約チケット¥1,200(税込)、窓口販売チケット¥1,500(税込)
※予約枠に空きがあれば、美術館窓口でもチケット購入可能
※日時指定予約制
※学生無料(要ウェブ予約、ただし中学生以下ウェブ予約不要)
※同時開催の展覧会「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 安井曾太郎」も入場可能
URL/https://www.artizon.museum/exhibition_sp/js_yamashiro_shiga/

Text : Akiko Kinoshita

 

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