「東京ビエンナーレ2025」 今年のテーマは、“いっしょに散歩しませんか?” | Numero TOKYO
Art / News

「東京ビエンナーレ2025」 今年のテーマは、“いっしょに散歩しませんか?”

東京の街を舞台にした国際芸術祭「東京ビエンナーレ2025」が今年も開幕。東京都心の各エリアにて、2025年10月17日(金)〜12月14日(日)まで。

 

東京の街を舞台にした、2年に1度の国際芸術祭「東京ビエンナーレ」。国内外からアーティストやクリエイターが集まり、地域の人々と関わりながらイベントを作り上げてきた。3回目を迎える今回は、8カ国から39組のアーティストが参加。二つの会場を拠点にして、都内の六つのエリアにある12会場と、街中の31カ所で作品の展示が行われる。

今年のテーマは「いっしょに散歩しませんか?」。街を歩く芸術祭としての魅力を掘り下げる試みだ。

藤原信幸『種子のかたち(小文間の植物シリーズ)』(2015年)
藤原信幸『種子のかたち(小文間の植物シリーズ)』(2015年)

数ある展示エリアのなかでも、イベントの魅力を凝縮したおすすめのおさんぽコースは、拠点会場の東叡山 寛永寺からエトワール海渡リビング館までを歩くルート。東叡山 寛永寺では、普段は入ることのできない貴賓室や葵の間廊下、渋沢家霊堂前庭が公開され、歴史的空間と現代アートの対話を堪能できる。藤原信幸や森淳一らの作品に加え、幕末の将軍・徳川慶喜ゆかりの空間に展示される、小瀬村真美の写真作品にも注目したい。

東叡山 寛永寺が位置するこの上野・御徒町エリアでは、鈴木昭男の『点音(おとだて)』や黒川岳の『石を聴く』など、音をテーマにした作品も登場。また、片山真理、SIDE CORE、豊嶋康子らが作品を撮影した場所が点在しており、それらをたどることで彼らの視点を追体験できるほか、海外アーティストの公募プロジェクト「SOCIAL DIVE」も展開される。

黒川岳『石を聴く』(2022年) photo:鈴木陽介
黒川岳『石を聴く』(2022年) photo:鈴木陽介

さらに、神田須田町、岩本町、東神田、馬喰町では、洋風の外観を持った昭和の店舗併用住宅「看板建築」も会場に。会期中には、建築家の藤森照信によるレクチャーと散歩ツアーも予定されている。

日本橋・馬喰町エリアに到着すると、もう一つの拠点展示会場であるエトワール海渡 リビング館に到着。6フロアにわたり多彩な作品が展示されている。
同館での見どころは、ハノイを拠点とするチュオン・クエ・チーとグエン・フォン・リンによるインスタレーション作品『BREATHE』。まるで生き物のように立ち現れる二つの作品が呼応し合う姿は圧倒的だ。

チュオン・クエ・チー/ グエン・フォン・リン 参考作品『Sourceless Waters: White. Shadow』(2024年) アジアン・アート・ビエンナーレ2024
チュオン・クエ・チー/ グエン・フォン・リン 参考作品『Sourceless Waters: White. Shadow』(2024年) アジアン・アート・ビエンナーレ2024

また、1992年から続く渡辺英司の人気シリーズもお見逃しなく。植物図鑑や蝶図鑑から図像を切り抜き、床面や壁面に配置する「名称の庭」の新作がお披露目。加えて会場では、本作に関連する作品『CATCH & RELEASE』の展示や、来場者が作品に関わることのできるインタラクティブな仕掛けも展開される。

自分だけのお気に入りのおさんぽルートを見つけて、街歩きを楽しんでみてはいかが。

 

※掲載情報は10月17日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

東京の地場に発する国際芸術祭「東京ビエンナーレ2025」
会期/2025年10月17日(金)〜12月14日(日)
会場/拠点展示:東叡山 寛永寺、エトワール海渡リビング館、展示エリア:上野・御徒町エリア、神田・秋葉原エリア、水道橋エリア、日本橋・馬喰町エリア、八重洲・京橋エリア、大手町・丸の内・有楽町エリア
料金/一般 3000円、学生 1800円、高校生以下 無料(会期中販売券、2会場共通チケットの場合)
※エトワール海渡リビング館および東叡山 寛永寺以外は無料
※東叡山 寛永寺においても、根本中堂周辺、開山堂両大師、不忍池辨天堂は無料
URL/tokyobiennale.jp/tb2025/?lang=ja

※開催時間や開催時間は会場によって異なるため、特設サイトを確認のこと。

Text:Manami Abe

 

Magazine

JANUARY / FEBRUARY 2026 N°193

2025.11.28 発売

The New Me

あたらしい私へ

オンライン書店で購入する