
今年は「昭和80年」とも呼ばれ、各分野で昭和を振り返る企画が相次いでいる。奇しくも、日韓国交正常化から60周年という節目の年でもある。近くて遠い隣国・韓国との関係は、時に緊張し、時に歩み寄りながら今日まで続いてきた。その記念すべき年に、新国立劇場で上演されるのが『焼肉ドラゴン』だ。
2008年、ソウルの芸術の殿堂とのコラボレーションで生まれたこの舞台は、鄭 義信が作・演出を手がけ、初演は数多くの賞を受賞した作品だ。1970年前後、大阪万博で活気づく関西の地方都市を背景に、在日コリアン一家のたくましくも切ない日々を描く。どこか可笑しく、そして胸をえぐるような悲しみが同居する物語は、初演当時、日韓両国で大きな反響を呼んだ。

鄭 義信は映画『月はどっちに出ている』『愛を乞うひと』などの脚本でも知られ、人間の生き様を鮮やかにすくい取る作品作りが特徴だ。その視線は時に残酷なほど鋭く、だからこそ観客たちの心に残る。『焼肉ドラゴン』もまた、そのまなざしの結晶といえるだろう。
2025年10月、新国立劇場小劇場での幕開けを皮切りに、11月にはソウル公演、12月には北九州や富山を巡り、年末には中劇場での凱旋公演が控える。まさに国境を越え、人々の記憶をつなぐ旅路のような公演スケジュールだ。今年は大阪で再び万博が開催される年でもあり、失われつつある在日コリアンの暮らしを演劇として体感する意義は、より一層深い。

できれば、新国立劇場の小劇場、韓国での公演、日本国内の公演、中劇場での凱旋公演のすべてを体験してみたい。各会場にいる観客の空気や熱量によって大きく雰囲気の違う作品となるだろう。
舞台 日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』
<日本語・韓国語上演/日本語字幕付>
作・演出/鄭 義信
出演/千葉哲也 村川絵梨 智順 櫻井章喜 朴 勝哲 崔 在哲 石原由宇 北野秀気 松永玲子 イ・ヨンソク コ・スヒ パク・スヨン キム・ムンシク チョン・スヨン
芸術監督/小川絵梨子
主催/ 文化庁/新国立劇場
協力/芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)
後援/駐日韓国大使館 韓国文化院
<小劇場公演>
公演日程/2025年10月7日(火)~27日(月)
会場/新国立劇場 小劇場
チケット料金/A席 8,800円 B席 3,300円 Z席(当日)1,650円
<凱旋公演>
公演日程/2025年12月19日(金)~21日(日)
会場/新国立劇場 中劇場
一般発売日/中劇場:2025年10月12日(日)10:00~
チケット料金/S席 8,800円 A席 6,600円 B席3,300円 Z席(当日)1,650円
チケット申し込み・お問い合わせ
新国立劇場ボックスオフィス/03-5352-9999(10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス/https://nntt.pia.jp/
<韓国公演>
公演日程/2025年11月14日(金)~23日(日)
会場/芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター) CJトウォル劇場
<福岡公演>
公演日程/2025年12月6日(土)13:00開演、7日(日)13:00開演
会場/J:COM北九州芸術劇場 中劇場
<富山公演>
公演日程/2025年12月12日(金)18:30開演、13日(土)13:00開演
会場/オーバード・ホール 中ホール
