日常に潜む不安を描く、岩松了演出作品『私を探さないで』 | Numero TOKYO
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日常に潜む不安を描く、岩松了演出作品『私を探さないで』

岩松了が『クランク・イン』(2022年、眞島秀和主演)、『カモメよ、そこから銀座は見えるか?』(2023年、黒島結菜主演)、『峠の我が家』(2024年、仲野太賀主演)など、M&Oplaysと定期的に行っているプロデュース公演に、新たな作品が加わる。

ピューリッツァー賞を受賞したアメリカの小説家スティーブン・ミルハウザーの短編小説『イレーン・コールマンの失踪』を、岩松は現代の日本へと置き換えた。

結婚の報告のために帰省した古賀アキオは、高校時代に失踪した少女晶のことを思い出す。自分にもその原因があるのではないかと思うアキオは、その謎を解き明かそうと、高校の時の担任で、今は作家になった大城ユイ子と再会する。アキオの前に現れる少女は、現実なのか…それとも幻なのか…。

岩松は、失踪した本人だけでなく、周りの人間を被害者的な感覚に陥れる、という原作の視点に興味を惹かれたという。また、キャストも岩松に作品上演へのインスピレーションを与えた。特に失踪する少女役については、「河合優実という女優が、この失踪者であると思った時、私の中でドラマが動き始めたのは、ふと姿を消し我々を不安に陥れる何かを彼女の中に見たからでしょう」と語っている。

主人公の古賀アキオ役は、舞台『いのち知らず』以来4年ぶりの岩松作品参加となる勝地涼。物語の重要なキーパーソンとなる謎の失踪を遂げた少女・三沢晶役は、今回が岩松作品初参加となり、連続テレビ小説「あんぱん」に出演中の河合優実が演じる。

アキオと晶の元担任で、現在は作家となっている大城ユイ子役には、2016年の舞台『家庭内失踪』以来の岩松作品参加となる小泉今日子が出演する。

ノスタルジーの裏側に流れる不穏さと幻想的な場面を、実力派俳優たちがどのように魅せてくれるのか、期待したい。

舞台 M&Oplaysプロデュース『私を探さないで』
作・演出/岩松了
出演/勝地涼 河合優実 富山えり子 篠原悠伸 新名基浩 岩松了 小泉今日子
公演日程・会場/
2025年10月11日(土)~11月3日(月・祝)本多劇場
2025年11月6日(木)~11月10日(月)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2025年11月12日(水)富山県民会館ホール
2025年11月15日(土)・11月16日(日)東海市芸術劇場 大ホール
2025年11月19日(水)JMSアステールプラザ 大ホール
2025年11月22日(土)・11月23日(日)岡山芸術創造劇場 ハレノワ 中劇場

公式HP/https://mo-plays.com/watashi/

Text:Reiko Nakamura

 

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