
ニューヨーク・ブルックリン出身のアレックス・カッツの個展「Four Seasons」が、東京・六本木にあるSCAI PIRAMIDEにて開催中だ。約80年にわたる活動において、特徴的なストローク、多様な⾊彩、洗練された構図を駆使し、抽象と具象の両⽅の側⾯を併せ持つ、独特なリアリズムを⽣み出したカッツの新シリーズが公開となった。
具象と抽象の間を軽快に行き来するペインターとして知られる、アレックス・カッツ。シンプルな構図における確信的なフォルムと情感の豊かさは、ビビッドな色彩と象徴的なイメージの使用によって増幅し、モチーフの特徴を明確かつ鮮烈に描き出し、何気ない日常の情景を永遠の瞬間に昇華させてきた。現在98歳のカッツは、80年におよぶキャリアの中で新写実主義とポップアートにおける地位を確立。世界中のアーティストに影響を与る存在だ。

本展では、2022年に始まった新シリーズ「Seasons」を公開。四季の移ろいを即興的な手法で捉え、iPhoneで撮影したスナップショットと簡単なスケッチから、広いキャンバスへと変換したシリーズだ。「夕日を描くときは、15分でスケッチします。つまり、その瞬間の記憶からスケッチを描き起こす」とカッツが語る通り、修正を重ねるのではなく即時性を優先し、直感的に描かれた作品であり、知覚を時間的な行為と捉えるカッツの信念を反映したものでもある。
「速やかにものごとが過ぎ去る(quick things passing)」カッツの作品世界は、絵画の中での移ろいに関する深い瞑想を体現するようだ。目まぐるしいイメージと変化と複製に満ちた現代の視覚文化の中で、季節を感じ取る一瞬の感覚を描写するカッツ作品。特有の色彩とストローク、リアリズムを、彼が捉えた四季の中で体感したい。会期は10月18日(土)まで。

※掲載情報は9月5日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
アレックス・カッツ「Four Seasons」
日時/2025年8月29日(金)〜10月18日(土)
会場/SCAI PIRAMIDE
住所/東京都港区六本木6-6-9
時間/12:00〜18:00
休廊/日・月・火・水曜、祝日
URL/www.scaithebathhouse.com/ja/exhibitions/2025/08/alex_katz_four_seasons/
Text:Akane Naniwa
