注目のアーティスト、熊谷亜莉沙の新作個展が開催 | Numero TOKYO
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注目のアーティスト、熊谷亜莉沙の新作個展が開催

Itʼs OK. Itʼs OK. Itʼs OK., 2025, triptych. Arisa Kumagai / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo by Hikari Okawara
Itʼs OK. Itʼs OK. Itʼs OK., 2025, triptych. Arisa Kumagai / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo by Hikari Okawara

熊谷亜莉沙の個展「天国泥棒」が、東京・銀座のギャラリー小柳で開催される。同会場では2年ぶり4回目の個展となり、新作絵画が公開。

遊郭街の裏で生まれた自身の生い立ちや家族史を出発点とし、制作する熊谷亜莉沙。家業のブティックで扱っていたイタリアンハイブランドのシャツを纏う祖父の姿や、玉石混交の煌びやかなジュエリーを身につけた母親や女性たちの手、孤独死した父親へ手向けられた花など、きわめてパーソナルな経験に基づくモチーフを捉えながらも、そこに富裕と貧困、生と死など、誰もが日常の中で直面しうるテーマを映し出し、個人的な背景を乗り越えた普遍的な作品へと昇華してきた。

近年はカトリック教会で学び、ニューヨークやパリ滞在中に目にした異国の信仰のかたちへ関心を深める一方で、日本における祈りに関するモチーフも描く。また絵画と自身が綴った詩を組み合わせるなど、新しい表現のフェーズに移行し始めている。

本展タイトルの「天国泥棒」は、キリスト教において死の間際に洗礼を受ける者のことを時にこう呼ぶ人がいることから名付けられたという。瀕死に際し、都合よく救いを求めようとする者に対し、思わず「卑怯だ」「ずるい」などという言葉が出てしまう、そのどうしようもなく人間らしい感情に、熊谷は自分の心のありようを重ねている。
三連画『Itʼs OK. Itʼs OK. Itʼs OK.』は、小さなスニーカーと花瓶に添えられた花を組み合わせた作品だ。「Itʼs OK(大丈夫だよ)」という一見優しげに聞こえるフレーズを矢継ぎ早に3回繰り返すことで、今なお後を絶たない児童虐待の問題への怒りを表したという。

Say yes to me, 2025, diptych. © Arisa Kumagai / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo by Hikari Okawara
Say yes to me, 2025, diptych. © Arisa Kumagai / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo by Hikari Okawara

一方、二点組の『Say yes to me』は、熊谷の「プリミティブなものが持つ、美しさと恐ろしさ」に対する畏怖の念から生まれた作品で、作家の象徴的な作品スタイルを継承し、シングルベッドサイズのキャンバスに描かれた大作である。
このほか4点の油絵の大作や小品など新作絵画全6点と、ドローイング10点を展示予定だ。また本展に併せて、作品ブックレットも500部限定で販売されるという。いま、注目の才能をこの機会にお見逃しなく。

Pool side, 2025.© Arisa Kumagai / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo by Hikari Okawara
Pool side, 2025.© Arisa Kumagai / Courtesy of Gallery Koyanagi, Photo by Hikari Okawara

※掲載情報は8月23日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。

熊谷亜莉沙「天国泥棒」
会期/2025年8月23日(土)〜10月11日(土)
会場/ギャラリー小柳
住所/東京都中央区銀座 1-7-5 小柳ビル 9F
時間/12:00〜19:00
休廊日/日・月曜、祝日
URL/gallerykoyanagi.com/exhibitions/arisakumagai-heavenstolen2025-jp/

Text:Akane Naniwa

 

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