街で普段何気なく目にするモノをユーモラスに擬人化したキャラクターを抽象絵画として描くDIEGO。東京・馬喰町のparcelにて、同所では2度目の開催となる個展「WRITER IN THE DARK」がスタートした。

錆びた壁や資材置き場、足場や木材が乱雑につまれた空間など、都市にひそむ構造や風景の「隙間」に目を向け、絵画やインスタレーションを通じて見過ごされがちな場所に新たな意味を与える実践を続けてきたDIEGO。アーティストにとって「都市の縁辺」に存在する、風景の中に沈殿する気配が街の要素へと転化する可能性が潜んでいるのだという。
本展「WRITER IN THE DARK」では、DIEGOがこれまで探ってきた「現場と展示空間」「感覚と記録」といったテーマに改めて向き合う。自身が制作を行う「夜のスタジオ」から、「白いギャラリー空間」に作品が展示されるときに生じる違和感に強い関心を寄せてきた。暗闇の中で構築された画面が、展示されることで意図せず明るく洗練されてしまうことへの違和感は、制作を内側から突き動かしてきたとも言える。

本展では照明の操作や空間構成を通じて、作品そのものが孕む「暗がりの中での存在感」の可視化に挑んだ。画面に落ちる影や、作品を取り巻く空気の温度、湿度といった要素から、都市の周縁に立ち現れる光と闇の関係性を空間全体で再構成する。

parcelでは2回目の個展となる本展。ギャラリー空間という制度的な白さの中に、いかにして外部の感覚や風景を持ち込むことができるのかという挑戦であり、都市との対話を通じて見出した「知覚のズレ」や「存在の予感」を観客と共有するための場でもあるという。新たな作品世界に注目だ。
※掲載情報は7月1日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「WRITER IN THE DARK」
日時/2025年6月28日(土)〜7月27日(日)
会場/parcel
住所/東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル 2F
休廊/月・火曜、祝日
URL/parceltokyo.jp/exhibition/writer-in-the-dark/
Text:Akane Naniwa
