一人の男とその娘の物語をトリプルキャストで上演する『キャプテン・アメイジング』 | Numero TOKYO
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一人の男とその娘の物語をトリプルキャストで上演する『キャプテン・アメイジング』

世田谷パブリックシアターの「せたがやアートファーム」は、夏の期間に開催される多ジャンルのアートフェスティバルだ。三軒茶屋のキャロットタワー内にある劇場や生活工房、稽古場などが、演劇・ダンス・音楽・サーカス・落語・ファッション・現代美術など、老若男女を問わずさまざまなジャンルが楽しめる“アートの農園”になる。そんなチャレンジングな場で公演が予定されているのが『キャプテン・アメイジング』だ。

一人芝居だというこの公演のチラシには、タイプの異なる3人の俳優が写っていて、一瞬、頭の中が混乱したが、これは一人芝居をトリプルキャストで上演する企画だという。

英国出身の劇作家アリスター・マクドウォールの原作を、田中麻衣子演出により日本初演する。ある男と娘の6年間の物語を、一人の俳優が様々な役を演じることで進行していく。

マクドウォールは本作を「記憶の芝居であり、ある種、ベッドで読み聞かせをする大人にとっての子どもの本」と表現。また、俳優が観客と深い関係性を作る「俳優の芝居」として作りあげている。

撮影:木村塁
撮影:木村塁

同じ演目をトリプルキャストで見られるのは、贅沢だ。しかも、タイプが異なる俳優たちの一人芝居を見比べることができるというのは、観客にとってこの上ない経験だろう。

演劇というものの面白さは、同じ演目の同じ役の同じセリフであっても、俳優が違えば全く違う印象になるところだ。そして、時間や季節や劇場や観客が違えば、同じ俳優が演じても毎回違うものになる。観客の心のうち、何なら芝居を観る前に食べたものによっても、受け取るものが異なってくるのではないだろうか。

今回、この作品を演じる俳優たちは、繊細な演技力を持つ近藤公園、ミュージカルを主戦場にしてきた田代万里生、役によって全く異なる顔を見せる松尾諭と、様々な持ち味を持っている。

作品は、ファンタジーと現実が交差する世界。宿敵との戦いから娘の学校への送迎までなんでもこなすスーパーヒーローの物語だ。ホームセンターで働く、世界で最も地味で不健康でさえないスーパーヒーローは、さまざまなジャンルのアートが集う「アートファーム」の中で、どのような輝きを見せるのだろう。暑い夏が待ち遠しくなる作品だ。

舞台『キャプテン・アメイジング』
作/アリスター・マクドウォール
翻訳/永田景子
演出/田中麻衣子
出演/近藤公園 田代万里生 松尾諭(トリプルキャスト・五十音順)

<東京公演>
公演日程/7月26日(土)~8月3日(日)
会場/シアタートラム
チケット料金(全席指定・税込)/一般7,000円 高校生以下2,000円 ペア(一般1名+高校生以下1名)8,000円 トリプルキャストセット券18,000円(枚数限定)
チケット取扱い/世田谷パブリックシアターチケットセンター setagaya-pt.jp
TEL(03-5432-1515)及び 窓口は10:00~19:00
問合わせ/世田谷パブリックシアターチケットセンター setagaya-pt.jp/
TEL/03-5432-1515(10:00~19:00)
主催/公益財団法人せたがや文化財団
企画制作/世田谷パブリックシアター

<愛知公演>
日程/8/23(土)、24日(日)15:00開演
出演/近藤公園(8/24出演) 松尾諭(8/23出演)(ダブルキャスト・五十音順)
会場/ 春日井市東部市民センター
主催/公益財団法人かすがい市民文化財団
問合せ/ かすがい市民文化財団 0568-85-6868

公式URL/https://setagaya-pt.jp/stage/25010/

Text:Reiko Nakamura

 

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