
2022年の東京での初個展以来、日本での注目も高まっているアーティスト、ライアン・ガンダー。日本初公開作品や本展のためにつくられた新作が紹介される展覧会「ユー・コンプリート・ミー」が、神奈川・箱根のポーラ美術館にて開催中だ。
絵画、彫刻、映像、テキスト、VRインスタレーションから建築、出版物や書体、儀式、パフォーマンスに至るまで、幅広く多元的な作品と実践を通し、芸術の枠組みやその意味を問い直しながら国際的な評価を確立してきたライアン・ガンダー。2022年に東京で初の大型個展がひらかれ、話題を呼んだのも記憶に新しい。
(参考)東京初の大規模個展「ライアン・ガンダー われらの時代のサイン」@東京オペラシティ アートギャラリー
本展では、ポーラ美術館の館内のさまざまなスペースで、全18点におよぶ作品が公開。その大半が日本初公開の新作であり、本展のための新作も多数用意されたという。

中でも注目したいのが、ガンダー自身の家族とともに生み出された作品の数々。ガンダーの幼い子どもたちの声が使用された「アニマトロニクス」シリーズや、父親が記した手書き文字を抜き出し、作品に活かした絵画作品など、家族との関係や思い出がアート作品として新たな位相を見せる。

また、自然豊かな箱根の森に佇むポーラ美術館に、新たな動物たちを制作し配置。館内のさまざまな場所に、ガンダーによる不思議な動物たちが棲みついており、それらを探すのも楽しみのひとつだ。

「一種のネオ・コンセプチュアルであり、特定の様式をもたないアマチュア哲学者」と自称するガンダー。日常の中に潜む物語や多層的な意味を、知的な遊び心と鋭いユーモアを交えながら表現する。不在や死、不可視、潜在性といったテーマが、現実と虚構が複雑に絡み合う中で展開される様は必見だ。鑑賞者の解釈や、連想のプロセスによって新たな物語を創造させるガンダーの作品。2025年、再び出会いたい。同時期開催のゴッホをテーマにした展覧会「ゴッホ・インパクト―生成する情熱」と併せてお見逃しなく。いずれも会期は11月30日(日)まで。

※掲載情報は6月24日時点のものです。
開館日時など最新情報は公式サイトをご確認ください。
「ライアン・ガンダー:ユー・コンプリート・ミー」
会期/2025年5月31日(土)~11月30日(日)
会場/ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー、展示室4、ロビー ほか
住所/神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
時間/9:00〜17:00 ※入場は16:30まで
料金/大人2,200円、大学・高校生1,700円、中学生以下無料、障害者手帳をお持ちのご本人および付添者1名1,100円
休館/会期中無休
URL/www.polamuseum.or.jp/sp/ryan-gander/
Text:Akane Naniwa
