ホラー?コメディ?山崎静代、平田満出演の『ザ・ヒューマンズ─人間たち』 | Numero TOKYO
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ホラー?コメディ?山崎静代、平田満出演の『ザ・ヒューマンズ─人間たち』

家族をテーマにした舞台やドラマ、映画を見ると、幼い頃、親に「何にも問題のない家なんて無い」と言われたことを思い出す。

「あの家族はすごく問題がある」と周りから透けて見える家族はさほど多くはない。しかし、SNSの普及で、多くの人が自分の家族の内情を呟くようになった今、何でも無さそうに見える家にも大なり小なり問題があることが分かるようになった。

新国立劇場で6月に上演される『ザ・ヒューマンズ─人間たち』は、家族が集まる感謝祭の一夜を描くことで、貧困、老い、病気、愛の喪失への不安、宗教をめぐる対立などが浮き彫りになっていく様子を見せていく作品だ。

劇作家・脚本家として活躍するスティーヴン・キャラムのヒット作で、2014年にシカゴで初演、オフブロードウェイを経て、ブロードウェイに進出。2016年のトニー賞ベスト・プレイを受賞し、2021年にはキャラム自身が監督を務め、A24製作・配給で映画化もされている。

映画化作品は、キーパーソンになるようないわゆるスターが、登場するわけではない。ホラーなのか、コメディなのか分からない、という評され方が、この作品をより強く印象づけている。人生は、「クローズアップすれば悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」というのは言い古された表現だ。

演出の桑原裕子によれば、この作品からは「体感型の何か不安なアトラクションに取り込まれていくような感覚を覚えたり、自分自身の中にある不安と結びつくような体験」(『ザ・ヒューマンズ─人間たち』山崎静代×平田 満×桑原裕子 スペシャルインタビュー 新国立劇場HPより)を得られるかもしれないという。

現代のアメリカの問題でありながら、その一人一人が抱える不安は、多くの日本人も自分のこととして考えざるを得ない問題ばかりだ。観客たちはそのうち自分に訪れるかもしれないある一夜をジェットコースターに乗ったかのように疑似体験することになる。多くの人は、家族という小さな社会のメンバーで、たまたま同じコースターに乗り合わせた人同士のようなもの。そこには一体感もありながら、一人一人が感じる恐怖や楽しさは別であるという現実がある。

おかしさと不気味さを同居させるという意味で、長女役の山崎静代と父親役の平田満は、世代こそ違ってもその道の第一人者だ。他のキャストも含めて、形容しがたい力を持つ俳優たちがこの作品を演じてくれることに、期待が高まる。

年を重ねるということとは。
人と人とが関わっていくということは。
劇場を出た後も、いくつもの問いにじっくり向き合いたい作品になりそうだ。

舞台:シリーズ「光景―ここから先へと―」Vol.2
『ザ・ヒューマンズ─人間たち』

公演日程/2025年6月12日(木)~ 29日(日)
会場/新国立劇場 小劇場
作/スティーヴン・キャラム
翻訳/広田敦郎
演出/桑原裕子
出演/山崎静代 青山美郷 細川岳 稲川実代子 増子倭文江 平田満

主催/新国立劇場
料金(税込)/ A席 7,700円 B席 3,300円 Z席(当日)1,650円
チケット申し込み・お問い合わせ/新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス https://nntt.pia.jp/

<愛知公演>
公演日程/2025年7月5日(土)、6日(日)
会場/穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

<大阪公演>
公演日程/2025年7月19日(土)
会場/茨木市文化・子育て複合施設 おにクル ゴウダホール(大ホール)

Text:Reiko Nakamura

 

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