振付家アクラム・カーンが名作を舞台化『ジャングル・ブック』 | Numero TOKYO
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振付家アクラム・カーンが名作を舞台化『ジャングル・ブック』

Photo: Camilla Greenwell
Photo: Camilla Greenwell

イギリスの小説家、詩人であるジョセフ・ラドヤード・キプリングは、1865年のイギリス統治下のインドに生まれている。イギリス人として初めてノーベル文学賞を受賞した彼の代表作が『ジャングル・ブック』だ。

今ではそうしたセット自体が少なくなってしまったが、少し前まで少年少女向けの世界の名作全集には必ずと言っていいほど『ジャングル・ブック』が収録されていた。1967年にはディズニーのアニメーション映画として制作され、2016年には同じくディズニーから実写映画化もされている。

Photo: Camilla Greenwell
Photo: Camilla Greenwell

ジャングルに取り残された子どもが動物たちに守られながら成長し、自分の居場所を見つけていく壮大な物語で、自然と動物たちとの絆、さらには人間社会との葛藤を描いている。国や世代を超えて多くの子どもたちを魅了してきた名作だ。

今回、その物語が、世界的な振付家であるアクラム・カーンの作品として彩の国さいたま芸術劇場、そして愛知県芸術劇場にやってくる。

Photo: Camilla Greenwell
Photo: Camilla Greenwell

自身も10歳の頃にインド舞踊の作品として主人公モーグリを演じたカーン。今回は、豊かな自然を舞台にした作品に“気候変動”という今日性を加味し、長く少年として描かれてきた主人公も、「伝統的な男女の役割分担から自由に」(埼玉アーツシアター通信NO.114)なって、少女がその責を負う。

動物たちの役はダンサーたちが演じるが、単に動きを真似るだけではなく、動物たちそれぞれのたたずまいや存在感といったものも併せて体現されるという。

Photo: Camilla Greenwell
Photo: Camilla Greenwell

また、舞台美術はリサイクルできるダンボールに限定、アニメーションも併用される。コンパクトに世界中をツアーできる作品は、こうした世界中で読まれる名作の舞台化として相応しく、作品のテーマにのっとった持続可能な表現方法では無いだろうか。

 

古典作品は、そのまま美しく箱に入れて飾られるだけでなく、その時代時代のニーズに合わせた表現でブラッシュアップされると、なお輝きを増すものだ。

親しみやすく美しく、そして深く、“地球で生きる意味”を訴えかけてくる『ジャングル・ブック』は、今年の必見作品のひとつと言えるだろう。

舞台アクラム・カーン『ジャングル・ブック』 Akram Khan’s “Jungle Book reimagined”
演出・振付/アクラム・カーン
出演/アクラム・カーン・カンパニー
クリエイティブ・アソシエイト&コーチ/マーヴィン・クー
脚本/タリク・ジョーダン
ドラマトゥルギー・アドバイザー/シャロン・クラーク
作曲/ジョスリン・プーク
音響デザイン/ギャレス・フライ
照明デザイン/マイケル・ハルズ
舞台美術/ミリアム・ブーター
アート・ディレクション&アニメーション・ディレクター/アダム・スミス(YeastCulture)
ビデオデザイン・プロデューサー&ディレクター/ニック・ヒレル(YeastCulture)
ロトスコープ・アーティスト&アニメーター/ナーマン・アザリ、ナターシャ・セトナー、エドソン・R・バザーリン
英語上演・一部日本語字幕有
※演出の都合により、開演時間を過ぎての入場や途中退場されますと、ご予約席へのご案内ができません。予めご了承ください。

公演日時/2025年6月20日(金)19:00
21日(土)・22日(日)14:00(開場は開演の30分前)
会場/彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
チケット料金(全席指定・税込)/一般:S席 6,500円、A席 4,000円、U-25*:S席 3,500円、A席 2,000円
*公演時、25歳以下対象。入場時要身分証明書
※未就学児入場不可(10歳以上推奨)。
※やむを得ない事情により公演等に変更が生じる場合がございます。

チケット/[Web]SAF オンラインチケット https://www.saf.or.jp/t/
[電話]SAF チケットセンター 0570-064-939(劇場休館日を除く 10:00~18:00)
[窓口]彩の国さいたま芸術劇場(休館日を除く 10:00~18:00)埼玉会館(休館日を除く 10:00~18:00)
[プレイガイド]イープラス https://eplus.jp/
チケットぴあ https://t.pia.jp/
 HP/ https://www.saf.or.jp/stages/detail/103429/
主催・企画・制作/公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団(彩の国さいたま芸術劇場)
助成/大和日英基金、文化庁文化芸術振興費補助金、劇場・音楽堂等機能強化推進事業(劇場・音楽堂等機能強化総合支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
後援/ブリティッシュ・カウンシル、埼玉県教育委員会、さいたま市教育委員会

<愛知公演>
公演日程/6月28日(土)16:00
会場/愛知県芸術劇場 大ホール
URL/ https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/20250628.html
TEL/052-211-7552(10:00~18:00)

Text:Reiko Nakamura

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