
抽象絵画の先駆者として再評価が進む、ヒルマ・アフ・クリントのアジア初上陸となる個展が開催中。大回顧展「ヒルマ・アフ・クリント展」は、東京・竹橋の東京国立近代美術館にて、2025年6月15日(日)まで。
抽象絵画の代名詞、ワシリー・カンディンスキーやピート・モンドリアンらに先駆けてその道を切り開いた先駆者として、近年再評価が進むヒルマ・アフ・クリント。王立芸術アカデミーで正統的な美術教育を受け、肖像画や風景画で評価を得るも、一方では神秘主義などの秘教思想やスピリチュアリズムに傾倒。アカデミックな絵画とはまったく異なる抽象表現を生み出していったが、その多くは、存命中、また死後においても長らく人目に触れることはなかったという。
そんな彼女の作品が、2013年からヨーロッパを巡回した回顧展で注目を集めると、18年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館で大規模回顧展が開催され、同館史上最多となる60万人以上を動員。その評価は一気に世界規模へと広がり、以降、各国で大規模展が続いている。


アジアで初開催となる今回の展覧会では、すべて初来日となる約140作品が集結する。会場では、自身で構想した“神殿”を飾るために約10年をかけて描いた全193作品から構成される、アフ・クリントの代表的作品群「神殿のための絵画」を中心に紹介。ここには、高さ3メートルを超える10点組の大作『10の最大物』(1907年)が含まれるとあって高い注目を集めている。そのほかノートやスケッチなども公開され、秘教思想や自然科学、社会思想、女性運動など、制作の背景にあるさまざまな思考に触れることができる内容に。
長らく光の当たることのなかったアフ・クリントの知られざる世界へ、足を踏み入れてみてはいかが。
※掲載情報は4月25日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
ヒルマ・アフ・クリント展
会期/2025年3月4日(火)〜6月15日(日)
会場/東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
住所/東京都千代田区北の丸公園3-1
料金/当日券 一般 2300円、大学生 1200円、高校生 700円、中学生以下 無料
時間/10:00〜17:00(金・土曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館/月曜日(5月5日は開館)、5月7日(水)
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/art.nikkei.com/hilmaafklint/