LVMHが大阪・関西万博に出展。「Louis Vuitton」「Dior」「Celine」等の展示を通して日仏の職人技と自愛の精神を発信する | Numero TOKYO
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LVMHが大阪・関西万博に出展。「Louis Vuitton」「Dior」「Celine」等の展示を通して日仏の職人技と自愛の精神を発信する


世界最大のファッションコングロマリット、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(以下、LVMH)は、4月13日に開幕した日本国際博覧会(大阪・関西万博)に参加。フランスパビリオンのメインパートナーとして、グループ傘下のルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)ディオール(Dior)セリーヌ(Celine)ショーメ(Chaumet)、モエ ヘネシー(Moët Hennessy)が出展し、各メゾンに息衝く職人技と創造性を広く国内外に発信する。

世界160を超える国と国際機関が参加する今回の万博で、フランスパビリオンは、1日2万人、総計300万人の来場者を見込む。劇場の舞台を思わせる巨大なカーテンに覆われたファサードが目を引く同パビリオンは、1200平米にわたる常設展示の中心に、2つの特別スペースを設け、ルイ・ヴィトンとディオールの展示を紹介。LVMHは、グループを代表する5つのメゾンを通して、フランスが誇るサヴォアフェール(卓越した職人技)とアール・ド・ヴィーヴル(自分らしく、美しく豊かに生きる)の精神を伝えていく。なお、パビリオンに用いられた鉄骨等の資材は、会期終了後の再利用を前提とした組み立て式モジュールで構成。ヒートアイランド現象を軽減し、雨水を再利用する屋根構造や、自然換気を利用して、冷暖房によるエネルギー消費を削減する外壁など、持続可能性を考慮したつくりとなっている。

ルイ・ヴィトンは、建築家・重松象平(OMA)設計による2つの空間で、没入型のインスタレーションを展開。壁一面を84個のワードローブトランクで覆い尽くした空間では、トランクの内側にアトリエで作業する職人の姿が映し出される仕掛けが。メゾンを象徴するモノグラムキャンバスのルーツを辿れば、日本の家紋が着想源のひとつとも言われており、インスタレーションを通じて、サヴォアフェールへの敬意と日本への愛情を表現した。なお、写真中央に見えるのは、ロダン美術館から貸与されたオーギュスト・ロダンの彫刻作品で、それぞれ愛の仕草を表したもの。フランスパビリオンのメインテーマである“愛の讃歌”を体現する作品として、各空間の入り口で来場者を出迎えるという。

次の空間では、トランクのスフィアや壁面にアーティストの真鍋大度が手掛けた映像を投影。会場内には、ルイ・ヴィトンのアトリエでの作業音をフィールドレコーディングしてリズムに変換したフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)との共同制作によるオリジナルのサウンドトラックが流れており、メゾンに通底する「旅」というテーマを盛り込みながら、鑑賞者の五感をくすぐる幻想的な旅路へと連れ出す。

具象的なモチーフで「旅」を想起させたルイ・ヴィトンに対し、ディオールは職人技と手仕事へのオマージュとして、目くるめくオデッセイ(冒険旅行)へと誘う。清爽なピュアホワイトで彩られた空間には、70余年にわたるデザイン画を起こした約400体のトワルや、3Dプリントで再解釈されたフレグランスボトルが整然と並ぶ。スペースの一角には、タイムレスな「バー」スーツが3色のバリエーションで展開されるほか、世界的な建築家・妹島和世が手がけた「レディ ディオール」のバッグ、さらにアイコニックな「メダリオン チェア」をリ・デザインした吉岡徳仁の作品を展観。壁面のモニターに映し出された、高木由利子の作品が静謐な空間に詩的なムードを添えるなど、ここでもメゾンと日本の深いつながりを讃える内容となっている。

セリーヌは、期間限定(5月11日まで)で特別展示を行う。メゾンのエンブレムである「トリオンフ」が、石川県輪島を拠点とする漆芸職人集団、彦十蒔絵(ひこじゅうまきえ)の手によって漆塗りのアートピースへと生まれ変わった。漆と同じカラーを纏い、梅のモチーフをあしらった特別仕様の「トリオンフ」バッグや、LEDスクリーンに映し出される現代美術家の中村壮志とコラボレーションした映像作品など、日本の伝統工芸に光を当て、セリーヌのエスプリを効かせた展示は一見の価値ありと言えよう。


なお、ショーメは、会期後半の9月1日(月)から10月13日(月・祝)の出展が予定されている。

またパビリオン4階に位置するレストラン「ビストロ(Le Bistrot)」では、本格的なガストロノミーとともに、ホスピタリティパートナーとして参加するモエ ヘネシーの「モエ・エ・シャンドン」「ヴーヴ・クリコ」「ルイナール」のシャンパーニュやロゼワインが楽しめる。

これから大阪・関西万博へ訪れるなら、まず目指すべきはフランスパビリオンだ。ファッション好きはもちろん、アートや建築、クラフトなどに興味があれば、ぜひ足を運んで、その崇高なサヴォアフェールに触れてみてはいかがだろう。

フランスパビリオン 公式サイト
www.expo2025.or.jp/official-participant/france/

Text: Tetsuya Sato

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