
玉山拓郎の大規模な個展「PAST WORKS FLOORS」が、山梨県北杜市のGASBON METABOLISMにて開催されている。2025年2月28日(金)から5月5日(月)まで。
玉山拓郎は、お皿やモップなどの日用品や家具など、身近なオブジェクトや室内空間をモチーフに、光や音、映像を組み合わせたインスタレーションを手がける注目のアーティスト。最小限の方法で周囲の空間をも異化し、訪れた観客の身体感覚を揺さぶる。

本展では、これまでさまざまな場所で発表してきた作品を、1000㎡の床面積をもつGASBON METABOLISMで新たに再構成する。そしてまた豊田市美術館で、今年1月より5月18日(日)まで開催されている個展「玉山拓郎:FLOOR」とも並行する展示となる。

本展で再構成される作品の一つに、国立新美術館で展示された「Museum Static Lights」がある。2022年の展示では、鮮烈に光る蛍光灯を用いた作品が、黒川紀章設計の建物の構造と共鳴しながら、見慣れたエントランスロビーの景色を変容させていた。GASBON METABOLISMでの展示では、どのような感覚をもたらすだろうか。そもそもどこまでが作品なのだろうか、世界が拡がり始めるかもしれない。
一方、豊田美術館で開催中の「玉山拓郎:FLOOR」展では、建築家・谷口吉生が手がけた美術館建物を貫くような、一つのインスタレーションが展示されている。どこまでが壁なのか作品なのか、彫刻なのか立体作品なのか、さまざまな枠組みや境界を揺らがせる。
この展示を通して玉山は、現在の関心が「自分が作品とどう距離を取るか」にあるといい、本展では作家の恣意性に依存しない展示のあり方を模索したという。

作品と一体化したいくつものフロア(Floor)が広がっていく感覚、そしてそこに「ただ存在する」オブジェクト。GASBON METABOLISMの大規模空間で、これまでの軌跡と、新たに作品と出会える貴重な機会。ぜひ訪れてほしい。
玉山拓郎個展「PAST WORKS FLOORS」
期間/2025年2月28日(金)〜5月5日(月)
会場/GASBON METABOLISM
住所/山梨県北杜市明野町浅尾新田12
開館日/金~月 11:00〜17:00
※他曜日はアポイントメント制にて開館可能
URL/www.instagram.com/gasbon_gasbook
協力/ANOMALY
Text:Hiromi Mikuni