
2025年3月11日(火)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の2025-26秋冬ウィメンズ・コレクションが発表された。ファッションショーの会場は、パリ北駅のすぐ隣にある、かつて鉄道会社だった19世紀の建物「レトワール・デュ・ノール」。「北極星」の意味を持つこの"秘密の駅"にゲストが招かれ、アンバサダーのリサ(BLACKPINK)、エマ・ストーン、日本からは清原果耶、ドラマ『SHOGUN 将軍』に出演した穂志もえかも訪れた。
窓に沿ってバルコニーが巡るアトリウム、ボザール様式の美しい会場には長椅子が配置され、まるで駅のコンコースのよう。
やがて列車の音と共にショーが始まり、颯爽と登場したのは、シースルーのトレンチコートと燃えるような赤が印象的なファーストルック。
浮き上がるような花の刺繍、ゴープコア、大ぶりのハットにボリュームのあるオーガンジーのチュールスカート、複雑なドレープが美しいケープコート、通勤しているようなコートスタイル。
まるで駅を行き交う人々のように、ルックごとに、時代やシーンが異なり、日常着だったりゴージャスなドレスだったり、そして旅へ向かうスタイルだったりと、さまざまな物語が交錯する。
アンバサダーを務めるStray Kidsのフィリックスもランウェイに登場。オーバーサイズのシルエットで、新作バッグ「レクスプレス(L’Express)」を手に。その軽やかさに思わず旅へ出たくなる。
バッグでは、バイオリン型のトランクや、鉄道員のランプのようなプレイフルなバッグも。さらには1960年代後半より活動するテクノミュージックの先駆者、クラフトワークとのコラボレーションも。アイコニックなアルバム『ヨーロッパ特急』のジャケットデザインとコラボレーションしている。
ショーの後半では、センシュアルなシルクのドレスから1980年代のアブストラクトなデザイン、立体的なフォルムのニットウェアへ。そしてラストルックの胸元には、1988年に誕生したトラベルウォッチ「LVⅡ」が新たにアクセサリーとして添えられた。手首や首などにかけて着用することもできる。
アーティスティック·ディレクターのニコラ・ジェスキエールが描いたのは、「冒険と魅惑」、二つの意味を合わせもつ「トランスポーテーション」でのストーリー。
「時計が時を刻む音と共に高まる焦燥感。1つのプラットフォームの両端にあるのは、希望に満ちた恋の気持ち、あるいは別れの憂鬱。旅立ちへの興奮、あるいは帰郷の安らぎ。発見の幸福感や旅の爽快感……。」
そんな、名付けることのない、けれども誰もが知っている感情、その一つ一つが物語となる。旅に出たり、動き出すことによって、私たちが出会うことのできる”感情”がコレクションに詰まっている。
ショーの終わり、モデルたちはランウェイではなく、バルコニーに現れた。そうして観る側と観られる側が一体化するフィナーレとなった。旅も日常も、ほんの少し視線を変えることで新しい発見がある。ぜひ冒険へ。
Louis Vuitton
ルイ・ヴィトン クライアントサービス
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URL/louisvuitton.com
Text: Hiromi Mikuni