ワシントン・カラー・スクールの重要な作家であるケネス・ノーランド個展「Paintings 1966-2006」およびサム・ギリアム個展「The Flow of Color」が東京・麻布台ヒルズ内のPace 東京で開催中だ。いずれもPace ソウル（韓国）と二部構成からなる。
アメリカにおける戦後の抽象芸術を形成する上で重要な役割を果たしたケネス・ノーランド。フォルムと色彩に対する実験的なアプローチを通して、絵画というメディアを再定義する数々の先鋭的な作品を生み出した。米・ノースカロライナ州のブラック・マウンテン・カレッジで学び、ヨゼフ・アルバースやジョン・ケージらの思想に触れ、色彩と偶然性がもたらす表現の可能性に早くから関心を寄せてきたノーランド。作品の成熟に伴い、円やシェヴロン（V字型）、その他の幾何学的形態を特徴とする抽象作品に共鳴力のある色彩を取り入れ続けた。
戦後アメリカ絵画の最も革新的なアーティストの一人として知られるサム・ギリアム。ルネサンス絵画の色彩、線、動き、さらにはモダニズム美術におけるフォーマリズムの⻑い歴史から着想を得て、従来の絵画と彫刻の領域を超える先鋭的なヴィジョンを育み、のちにインスタレーションとして知られる新たな制作様式を志向するようになったという。技法や動作、物質性、色彩、空間に関するたゆまぬ実験を通して、自らの実践を繰り返し刷新し、生涯を通して抽象の表現力、美学、そして哲学的な可能性を探求してきた。ノーランド、ギリアムともにワシントン・カラー・スクールの重要な作家である。
会場は本誌も注目するメガギャラリーの東京拠点、Pace 東京だ。
（参考）【Pace ギャラリー】日本上陸を果たしたメガギャラリーの雄
本展はPace ソウルならびにPace 東京での二部構成として企画され、2025年始めにソウルでオープンした展覧会に続くもの。ケネス・ノーランド個展「Paintings 1966-2006」では、『ストライプ』『シェイプ』『プレイド』『シェヴロン』などといった代表的な絵画シリーズに焦点を当て、1960年代から2000年代初頭にかけて制作した絵画が公開。
サム・ギリアム個展「The Flow of Color」では、2018年から2022年にかけての晩年の数年間に制作した一連の水彩画と、キャリアの後半で取り組んだ実験の変遷を辿るような『ドレープ』ペインティングを展示する。
ともに晩年まで制作と探求を繰り返したノーランドとギリアム。貴重な機会をぜひお見逃しなく。
※掲載情報は3月17日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
ケネス・ノーランド「Paintings 1966-2006」
サム・ギリアム「The Flow of Color」
日時／2025年3月7日（金）〜5月6日（火）
会場／Pace ギャラリー
住所／東京都港区虎ノ門 5-8-1麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 1-2階
時間／11:00～20:00（日は18:00〜20:00、それ以外は19:00〜20:00でアポイントメント制）
休日／月曜
URL／www.pacegallery.com/
Text：Akane Naniwa
