
「来たる世界」をテーマに、テクノロジーの進化がもたらす現代の美と畏れについて考察する「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」が、東京・表参道のGYRE GALLERYにて開催中。アンドレア・サモリー、井田大介、牧田愛、イオナ・ズールが参加。
絶え間なく振り続ける雨、無限に乾燥した砂漠。映画や文学などで断片的に描写される「来たる世界」。この「来たる世界」とは、人間と自然との関係をテーマに真の緊急性を与え、気候変動、種の絶滅、汚染、再生可能エネルギー、人口過剰などの課題を浮かび上がらせている。
かねてより人類は自然を明確に関係的な観点から考えることにより、自然に対する超越的知識と日常的知識の両方の中で、新しい知識とテクノロジーを生み出してきた。その結果、テクノロジーは「来る世界」の自然環境に適応できる私たち人間の心身の変容をもたらすものになったと言えるだろう。
本展「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」は、テクノロジーが人間のスケールや理解の限界を超え、畏怖や不安を引き起こすことを「技術的崇高」と呼び、それを感じさせる4名のアーティストによる現代アートを考察し、現代の美と畏れについて問い直そうという試みだ。

アンドレア・サモリーはイタリア出身、現在は東京を拠点に活動するアーティストだ。インターネット以後の情報化された「自然と人間」をテーマに、神話的な作品を制作する。
井田大介は彫刻という表現形式を問いながら、彫刻・映像・3DCGなど多様なメディアを用いて、目には見えない現代の社会の構造やそこで生きる人々の意識や欲望を視覚化する。
またキャンバスに油彩で絵画を制作する牧田愛は、機械的なモチーフを用いることで、無機的な要素から有機的なイメージを生み出すことを目指す。生成AIを作品制作に取り入れ、キャンバス絵画にとどまらず、ビデオやプリント、インスタレーションなど、そのスタイルは多岐にわたることも特徴的だ。
西オーストラリア大学(UWA)に国際的なバイオアートの機関SymbioticAを設立するなどして知られる、バイオアートの先駆者のひとりイオナ・ズールも参加する。

本展は2025年3月16日(日)まで。お見逃しなく。
※掲載情報は3月4日時点のものです。
開館日や時間など最新情報は公式サイトをチェックしてください。
「来たる世界2075 テクノロジーと崇高」
日時/2025年2月11日(火・祝) 〜 3月16日(日)
会場/GYRE GALLERY
住所/東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
URL/gyre-omotesando.com/artandgallery/technology-and-the-sublime/
Text:Akane Naniwa