
マームとジプシーの最新作は、『演劇』に関するものになる。ある俳優が劇場に到着して開演時間を迎えるまでの数時間を、演出の藤田貴大独自の視点でリアリティを持って描いていく。
ウォーミングアップを行う俳優、衣装やヘアメイクを整え、舞台監督、照明、音響などのスタッフが準備を進める中、それぞれにたわいのない会話が交わされ、やがて開演に向けて全員が集中していく。作中での開演がおとずれると同時にこの上演は終わりを迎える。
逆説的なようだが、旅行をするときは準備をしているときが最も充実して感じることがあるように、演劇も幕が開くまでの準備の過程にドラマがあると言っても過言ではない。
「マームとジプシー」は、これまで様々な社会で起きる問題を「演劇」という形で取り上げてきた。コロナ禍で制作した、日本の沖縄県にある那覇文化芸術劇場なはーととの共同製作作品「Light house」は、その地域で暮らす多くの人々との対話を重ね、それぞれの営みをテーマとして舞台作品にした。その中で、演劇も社会の一部であるということを再確認したという。
今回は、手法としての演劇ではなく、社会の中にある「演劇」そのものをテーマとしていく。この作品が「フィクションと現実の境界を超えた新たな表現の可能性を追求する意欲的な試み」と位置付けられているように、観客は、芝居が進むにつれ、舞台の上に一つの社会があることに気づくだろう。「演劇」には、作品に出演する俳優、芝居の方向性を打ち出す演出家、俳優の印象を作り上げるメイク、場面に合った装いを提案する衣装など、多種多様な立場が存在し、一人一人に役割が振り分けられている。
自分は、あの舞台の上の誰に当たるのだろうか。そんな思いが客席に生まれ、演劇を観ることが自分を観ることにつながる。そんな根本的な作品になりそうだ。
舞台「Curtain Call」
作・演出/藤田貴大
出演/青柳いづみ 石井亮介 渋谷采郁 成田亜佑美 長谷川七虹
日程/2025年5月8日(木)-5月11日(日)(5月9日15:00、5月11日18:00追加公演あり)
会場/LUMINE0
住所/〒151-0051 東京都渋谷区千駄ケ谷5丁目24-55 NEWoMan Shinjuku 5F
チケット料金(日時指定/整理番号付き/全席自由)
早割料金/一般5,500円 60歳以上4,500円 25歳以下3,500円 18歳以下無料
*枚数限定
*日時指定/整理番号付き/全席自由
*チケット販売期間2025年2月15日10:00より3月14日23:00まで
*Peatixのみで販売予定
通常料金/一般6,000円 60歳以上5,000円 25歳以下4,000円 18歳以下無料(枚数限定)
発売開始:3月15日10:00
当日精算料金/一般 6,500円 60歳以上5,500円 25歳以下4,500円 18歳以下無料(枚数限定)
予約受付開始:3月23日10:00より
*当日精算でご予約のお客様は、観劇日当日、受付にてチケット料金をご精算ください。
URL/http://mum-gypsy.com/wp-mum/archives/news/curtaincall2025
Text:Reiko Nakamura