
ブシュロン(BOUCHERON)より、2025年ハイジュエリーコレクション「UNTAMED NATURE (手つかずの自然)」が発表された。メゾンのアーカイブを着想源に、現代的な解釈を加えて生み出される「ヒストリーオブスタイル」コレクション。今回、クリエイティブディレクターのクレール・ショワンヌがテーマにしたのは”ありのままの自然”。新たな発想と巧みな技術でクリエイションする。
創業者であるフレデリック・ブシュロンは、人間の手が加わっていない自然本来の姿に惹かれていたという。メゾンのアーカイブコレクションにはツタ、アザミ、ハエ、マルハナバチなど、野花や小さな生き物たちから着想を得た作品が残されている。ほかにも、ねじれた葉、風に吹かれて曲がった植物、しおれた花の姿までもが記録されており、あるがままの自然と向き合った様子がうかがえる。
そんな、メゾンに継承されるユニークな自然観を着想源に、クレール・ショワンヌは新たな視点を加え、28点の新作として発表した。形を変えられるマルチウエラブルな作品、身体を覆うように広がるアイビーや野バラなどのネックレス、風に揺れるように動く可憐な草花や小さな虫たち。まるで自然と一体化するかのよう。

アシンメトリーな組み合わせの「CYCLAMEN(シクラメン)」のイヤリングと野バラのネックレス「ROSIER(ロジエ)」。肩から降りる「LIERRE(リエール)」はアイビーがモチーフ。枝部分のパーツを取り外すことで、ネックレスからブローチ、ヘッドジェリーへと、マルチウェラブルに変形できる。また、葉の裏側にはトレンブラン(揺れる仕掛け)がほどこされ、自然に揺らぐよう設計されている。


野バラの木をモチーフにした、アイコニックなクエスチョンマークネックレス「ROSIER(ロジエ)」。茎の先端のドロップモチーフは、取り外し可能で、指輪にもできる。

今回のコレクションの中で唯一、アーカイブからのインスピレーションではなく、クレール・ショワンヌの構想から生まれたのは、野生の可憐なニンジンソウ「FLEUR DE CAROTTE(フルール ドゥ キャロット)」。小さな花の一つ一つがダイヤモンドで表現されている。

また、草花とともにある昆虫たちの存在も素晴らしい。羽をひらいた力強いカブトムシ、マザーオブパールのグラデーションが美しい蝶、ちいさなハエ、ハチとテントウムシのブローチ。異なる生物が共存する豊かな生態系を象徴しているかのようだ。細やかに美しく表現された姿に、自然への深い敬意が込められている。

図鑑のように精緻に、そして美しさのありかを追求したハイジュエリーコレクション。風にそよぎ、葉が重なり、朝露が光る。花開く直前の蕾、のびやかな茎。決して見飽きることのない自然の美しさが溢れ出る、至極のコレクションとなった。

手作業で作り上げられる様子を追った、こちらの動画もぜひ!
BOUCHERON
URL/www.boucheron.com
Photos : Courtesy of BOUCHERON
Text:Hiromi Mikuni