坂口健太郎、TWICEのサナらが来場。本能から生まれた表現を創作に昇華した「Prada」2025秋冬メンズコレクション
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坂口健太郎、TWICEのサナらが来場。本能から生まれた表現を創作に昇華した「Prada」2025秋冬メンズコレクション

プラダ(PRADA)は、2025年秋冬メンズコレクションを現地時間の2025年1月19日にミラノにあるプラダ財団 Depositoで発表。ランウェイ形式で開催されたショーのフロントロウには、ブランドアンバサダーを務める俳優の坂口健太郎をはじめ、サナ(TWICE)、キム・テリ、キム・スヒョンら豪華セレブリティが顔を揃えた。

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約1年前に行われた2024年秋冬コレクションにおいて、“本来の人の在り方”や“人間性”をテーマにしたプラダ。「UNBROKEN INSTINCTS(不屈の本能)」と題した今回のコレクションでは、前回のテーマをさらに推し進め、創造性のツールである人間の本性や基本的本能を模索。それらは、誰かに学ぶわけではなく自然に身に付くものであり、人間誰しもが備える初期衝動であると説いた。そして、理屈や道理を超えた本能的なものの中に、新たな洗練のカタチや飾らないエレガンスを発見できるのだと付け加える。

オランダの建築家 レム・コールハース主宰の建築組織「OMA」のシンクタンク部門AMOが手掛けた会場には、インダストリアルなムードを醸す足場を組んだような大掛かりな構造物を設置。その間を縫うように設けられたランウェイ上には、キャサリン・マーティンがデザインしたブルーの絨毯が敷かれている。

数々の映画音楽を手掛ける日本のコンポーザー、梅林茂の『On the Lake(From“Yumeji”)』の重厚なストリングスと共にショーはスタート。ファーストルックは、タイトなショートスリーブニットと黒のスラックス、足元にはボタニカル柄のウエスタンブーツを合わせたシンプルなスタイルだ。続いて、肩周りから身頃にかけてファーをあしらったロングジャケット、淡いマドラスチェックのコートにチェックシャツを合わせ“パターン オン パターン”のレイヤードで着崩したスタイルなど、シルエットがスリムであること以外は、とくに共通項のないルックが矢継ぎ早に続く。

また、テーラリングを軸とした端正なルックの合間に、シンプルなカットソーとデニム、さらにパジャマシャツと共地のパンツといった、ぐっとドレスダウンした装いが差し込まれ、意図的に散漫さを演出したかのような、どこか取り止めのない印象で前半は進んでいく。ディテールに目を向けると、コートやダウンベストに用いられた大胆なファー使いが目を引く。また、クロップド丈も含めて細身のボトムスに合わせた、色柄や素材の異なるウエスタンブーツは、今コレクションを象徴するキーアイテムと言えるだろう。

サウンドトラックがマイケル・ナイマンの『Memorial』に変わった中盤以降では、シルエットの対比や異素材の組み合わせなど、コレクションノートから引用するに「偶発的なコントラストから、意外性のある魅惑的な組み合わせが生まれた」ルックが続く。シアリングはコートのラペルと前立てだけでなく、インナーアイテムにもふんだんに用いられている。襟元にコサージュをつけた2Bジャケットと鮮やかなサテンシルクのタイトパンツの組み合わせやシャイニーなダウンアイテムのレイヤリング、さらに、エスキモーが被るようなファー付きのフードは、背面を70sライクなヒッピーフラワー柄の異素材で切り替えるなど、何かしらの引っ掛かりが新鮮な違和感となって、観る者の機微に触れ、奥底にある本能を揺さぶる。

強固なメッセージやコンセプチュアルな演出に頼らず「衣服」を媒介に、じんわりと情感に訴えるようなコレクションではあるが、“ロマンス”のエレメントも点在。例えば、ニットウェアの首元やシューズに施された船のイカリやバスケットボールのモチーフが連なるネックレスやハードウェアは、何か意味を見出すものではなく、心身を保護するお守りのような装飾だという。

小物類では、スエードやエイジングされたようなレザーなど、マテリアルごとに異なる表情が楽しめるダッフルバッグや、レトロクラシックなカラーブロックが新鮮なボストンバッグ、さらにラフに携えたバックル付きのクラシカルなウエストポーチなどが印象に残った。また、ウィメンズにおいては近年、ブレイクの兆しを見せるウエスタンブーツだが、本コレクションきっかけにメンズの世界でもトレンドの大きな潮流を生み出しそうな予感だ。

前述したコレクションノートには、「自然な形でとっさに表われた仕草は、私たちの生身の人間性を反映しています」というラフ・シモンズらしき言葉が綴られている。一見、混沌とした無秩序のようなコレクションの、瞬間瞬間に垣間見える新しい洗練さやエレガンスの提案。それは、偶発的に発露される感情の高まりや溢れ出す情熱といった自然発生的な本能=(イコール)生身の人間性が、創造性においても寄与することを示している。

PRADA
プラダ クライアントサービス
TEL/0120-45-1913
URL/www.prada.com

Text: Tetsuya Sato

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